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2:私の人生が動くとき
目的地に到着しました
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「――あら、思ったよりも早かったじゃない」
私たちを見つけるなり、入院中にお世話になっていた女性職員がこちらにやってきた。彼女は怪我もなく元気そうで安心する。
私はシトリンに下ろしてもらい、向かい合う。
「早い……のですかね? こちらの被害はほぼないです」
私が手短に状況報告をすると、女性職員は私の後ろで控えていたルビとダイヤに目を向けた。
「鉱物人形が増えてる?」
「ええ、まあ……スタールビーさんの勧めで、喚び出してしまいました……問題ありますよね?」
恐る恐る確認すると、女性職員は首を横に振った。
「とんでもない。というか、他の部隊にいた鉱物人形と契約できるなんて、むしろなかなかすごい才能よ。相性の問題もあるから、簡単にいかないことの方が多くて。へえ、そうなのか……」
彼女がまじまじと私を見ていると、ルビが背後からぎゅっと抱きしめてきた。ビクッと身体が震えてしまったが、離すどころかしっかりくっついてくる。
何事ぞ⁉︎
どう対処したらいいのかわからなくて、身体がこわばってしまった。動かない。
耳元あたりに頬擦りされるとゾクッとした。
「彼女はとてもいい。俺としては申し分ないマスターだ。戻れと言われても俺は従わないぞ」
私の位置からはよくわからないのだけども、女性職員に対して威嚇しているように感じる。戦闘後だから気が立っているのもあるのかも知れない。
私がもがけるようになると、隣のダイヤがルビの首根っこを引っ張って私から剥がしてくれた。
やれやれ。
ホッと胸を撫で下ろす。背後を取られないように横を向くのも忘れない。
ダイヤはルビを呆れた目で見つめる。
「貴方はマスターを襲わないでください。風紀が乱れます」
「くぅ……堅物ダイヤ。こっちは戦闘で疲労しているんだから、回復くらいいいだろ? 彼女の魔力、すごく美味しいぞ」
「魔力が美味であることは否定しませんが、今後は許可をとるように」
「むっ。……嫌がっているようには思えなかったが。なあ?」
ルビが親しげに声をかけてくるので、私は両手を胸のあたりまで上げて拒絶を示した。
「いきなり触るのはなしです」
「ええー」
不貞腐れるルビを見て、ダイヤとシトリンが同時にため息をついた。
スタールビーの明るく笑う声が響く。
「相変わらずだな」
「ルビと一緒に呼ぶことを勧めてくださったことを感謝しましょう、スタールビー」
「性質的には俺も似たもんだから、止めにくいんでな」
「そうでしたね。貴方の面倒も私がみますよ」
「はっはっは」
彼らの関係もいろいろあるようだ。
熟考している余裕がなかったから勢いで喚んだけど、上手くやっていけるものかしらね……
不安に感じていると、抱きかかえていた封筒が持っていかれて、代わりのように左右から手を取られた。
私たちを見つけるなり、入院中にお世話になっていた女性職員がこちらにやってきた。彼女は怪我もなく元気そうで安心する。
私はシトリンに下ろしてもらい、向かい合う。
「早い……のですかね? こちらの被害はほぼないです」
私が手短に状況報告をすると、女性職員は私の後ろで控えていたルビとダイヤに目を向けた。
「鉱物人形が増えてる?」
「ええ、まあ……スタールビーさんの勧めで、喚び出してしまいました……問題ありますよね?」
恐る恐る確認すると、女性職員は首を横に振った。
「とんでもない。というか、他の部隊にいた鉱物人形と契約できるなんて、むしろなかなかすごい才能よ。相性の問題もあるから、簡単にいかないことの方が多くて。へえ、そうなのか……」
彼女がまじまじと私を見ていると、ルビが背後からぎゅっと抱きしめてきた。ビクッと身体が震えてしまったが、離すどころかしっかりくっついてくる。
何事ぞ⁉︎
どう対処したらいいのかわからなくて、身体がこわばってしまった。動かない。
耳元あたりに頬擦りされるとゾクッとした。
「彼女はとてもいい。俺としては申し分ないマスターだ。戻れと言われても俺は従わないぞ」
私の位置からはよくわからないのだけども、女性職員に対して威嚇しているように感じる。戦闘後だから気が立っているのもあるのかも知れない。
私がもがけるようになると、隣のダイヤがルビの首根っこを引っ張って私から剥がしてくれた。
やれやれ。
ホッと胸を撫で下ろす。背後を取られないように横を向くのも忘れない。
ダイヤはルビを呆れた目で見つめる。
「貴方はマスターを襲わないでください。風紀が乱れます」
「くぅ……堅物ダイヤ。こっちは戦闘で疲労しているんだから、回復くらいいいだろ? 彼女の魔力、すごく美味しいぞ」
「魔力が美味であることは否定しませんが、今後は許可をとるように」
「むっ。……嫌がっているようには思えなかったが。なあ?」
ルビが親しげに声をかけてくるので、私は両手を胸のあたりまで上げて拒絶を示した。
「いきなり触るのはなしです」
「ええー」
不貞腐れるルビを見て、ダイヤとシトリンが同時にため息をついた。
スタールビーの明るく笑う声が響く。
「相変わらずだな」
「ルビと一緒に呼ぶことを勧めてくださったことを感謝しましょう、スタールビー」
「性質的には俺も似たもんだから、止めにくいんでな」
「そうでしたね。貴方の面倒も私がみますよ」
「はっはっは」
彼らの関係もいろいろあるようだ。
熟考している余裕がなかったから勢いで喚んだけど、上手くやっていけるものかしらね……
不安に感じていると、抱きかかえていた封筒が持っていかれて、代わりのように左右から手を取られた。
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