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1色目 雨上がりの空の色
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「…で、何色かな!?」
質問からは逃してくれず、もう一度聞き直してくる彼女。よくわからないが答えないと終わらなさそうだった。
「…青、ですけど」
「なるほど、これも青!でも当たった!」
彼女が嬉しそうに笑う。よくわからないことだらけだ。
「あの入道雲は白かな!?」
「…はい、白ですね」
「灰色じゃない?」
「はい、白です」
「…敬語やめないかな!?私1年生だし!」
「は、はい…あ、うん。僕も1年生です」
「おぉ、先輩じゃなくて良かった!」
うんうんと頷いて、彼女の大きな瞳が閉じる。
サングラス越しでもわかるが、彼女は表情が豊かだった。謎の色に関する問答に答えながらそう思った。
しかし、彼女の柔らかな空気に当てられて忘れていたが、僕は人を怖がらせてしまう見た目であることを思い出した。
「ぼ、僕のこと怖くない…?」
「え、さっきも言ったけど怖くないよ?」
「…身長大きいし茶髪だし」
「茶髪?あぁ、リュウくん茶髪なんだ!そっか、茶色…それはわからなかったなぁ」
おぉ!と言った驚きの表情。見ればわかるだろうに、と思った。
不思議を抱えて空に目を向けると、雨上がりの青い空に綺麗な虹が掛かっていた。
7色に輝く光。とても幻想的に見えた。
「…綺麗」
「え!?」
僕が虹を見てそう呟くと、彼女はまた一つ驚き姿勢を糺す。
「意外と大胆だね。いきなり綺麗だ、なんて言われると照れる!」
「え?いや…」
盛大な勘違い。
「えーっと、虹のことだったんだけど…」
言うかどうか悩んだが、ナンパしていると思われたくないので傷つけない程度にやんわりと答える。
「…虹!?虹が出てるの!?」
しかし僕の気遣いは杞憂だったようで、彼女は虹と聞いて目を光らせる。
「ほら、あそこ…」
見えていないのだろうか?
僕が指さして彼女を見ると…彼女は指の先ではなく僕のことを見ていた。
「…え?」
「今日の虹も7色なの!?」
「…いつも7色だけど」
「綺麗!?」
「う、うん」
気になるのなら、僕に聞かずに見ればいいのに。
「あそこにあるけど、見えない?」
虹は光の反射だから角度によったら見えないかも。そう思って尋ねてみた。
すると彼女はサングラスの奥からまっすぐ僕を見て─
「うん、見えないよ!たぶん一生!」
底抜けに明るい、太陽のような笑顔で答えた。
質問からは逃してくれず、もう一度聞き直してくる彼女。よくわからないが答えないと終わらなさそうだった。
「…青、ですけど」
「なるほど、これも青!でも当たった!」
彼女が嬉しそうに笑う。よくわからないことだらけだ。
「あの入道雲は白かな!?」
「…はい、白ですね」
「灰色じゃない?」
「はい、白です」
「…敬語やめないかな!?私1年生だし!」
「は、はい…あ、うん。僕も1年生です」
「おぉ、先輩じゃなくて良かった!」
うんうんと頷いて、彼女の大きな瞳が閉じる。
サングラス越しでもわかるが、彼女は表情が豊かだった。謎の色に関する問答に答えながらそう思った。
しかし、彼女の柔らかな空気に当てられて忘れていたが、僕は人を怖がらせてしまう見た目であることを思い出した。
「ぼ、僕のこと怖くない…?」
「え、さっきも言ったけど怖くないよ?」
「…身長大きいし茶髪だし」
「茶髪?あぁ、リュウくん茶髪なんだ!そっか、茶色…それはわからなかったなぁ」
おぉ!と言った驚きの表情。見ればわかるだろうに、と思った。
不思議を抱えて空に目を向けると、雨上がりの青い空に綺麗な虹が掛かっていた。
7色に輝く光。とても幻想的に見えた。
「…綺麗」
「え!?」
僕が虹を見てそう呟くと、彼女はまた一つ驚き姿勢を糺す。
「意外と大胆だね。いきなり綺麗だ、なんて言われると照れる!」
「え?いや…」
盛大な勘違い。
「えーっと、虹のことだったんだけど…」
言うかどうか悩んだが、ナンパしていると思われたくないので傷つけない程度にやんわりと答える。
「…虹!?虹が出てるの!?」
しかし僕の気遣いは杞憂だったようで、彼女は虹と聞いて目を光らせる。
「ほら、あそこ…」
見えていないのだろうか?
僕が指さして彼女を見ると…彼女は指の先ではなく僕のことを見ていた。
「…え?」
「今日の虹も7色なの!?」
「…いつも7色だけど」
「綺麗!?」
「う、うん」
気になるのなら、僕に聞かずに見ればいいのに。
「あそこにあるけど、見えない?」
虹は光の反射だから角度によったら見えないかも。そう思って尋ねてみた。
すると彼女はサングラスの奥からまっすぐ僕を見て─
「うん、見えないよ!たぶん一生!」
底抜けに明るい、太陽のような笑顔で答えた。
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