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第四話 狸捕獲大作戦
狸捕獲大作戦1
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隠神刑部は、伊予の国(現在の愛媛県)発祥の妖怪で、八百八匹の狸を束ねる狸の総大将である。その隠神刑部とおきつねさまとは、どうやら浅からぬ因縁があるようで、私が狸の話を持ち出すと、おきつねさまは途端に嫌そうな顔をするようになった。
「昔からあいつら狸は気に入らなかった。特に隠神刑部のやつは、ことあるごとに儂と張り合ってきおって」
私の部屋の中央に浮かんだまま、腕を組み不機嫌そうに口をへの字に曲げるおきつねさま。先日のことをつい口にしてしまったことで、おきつねさまの不機嫌スイッチを押してしまったらしい。
「まあまあ、狐と狸なんて、似たもの同士じゃない。似たもの同士、仲良くしたら……」
私がそう口にした瞬間、ものすごく怖い目つきでおきつねさまはこちらを睨んできた。
「似たもの同士!? 今似たもの同士と言ったか? しかも仲良くと!?」
なんだかとても怖い……。どうやら非常にまずいNGワードを私は口にしてしまったようだ。私は思わず部屋の隅にいたほこりんに視線をやる。しかし、ほこりんは不思議そうな顔をするばかりでなんの役にも立ちそうになかった。
「儂と狸なんぞを同列に扱うとは、心外千万、言語道断。狐は稲荷神に仕える神の使いとして神聖な獣でもあるのじゃ。変化の術が得意だという共通点だけで似たもの同士などと決めつけてもらっては困る。だいたい、あの狸の置物知っておるか? あれをゆにーくとか可愛いとか言っておる人間がおるようじゃが、儂からしてみたらお下品、見るに堪えぬ代物。その点、狐はすまーとで美しい。それを似たもの同士とは、心外にも程がある」
「ああ、そ、そうよね。人間が勝手に似たもの同士とか言っちゃダメよね。前言撤回するから落ち着いて」
慌てて私が言い繕うと、ようやく斜め四十五度くらいにつり上がったおきつねさまの目が下がっていった。
「フン。わかればよいのじゃ」
相変わらず居丈高な狐である。
季節は五月下旬、新緑の木々に辺りの景色が彩られている。爽やかな朝の空気を吸い込みつつ学校へ行くと、いつものように亜矢子が話しかけてきた。
「さあ、結月。今日も放課後、みんなで部活動頑張るよ!」
「あ、う、うん」
あのトイレ事件のあと、倒れて保健室に運ばれた亜矢子だったが、少しの間気を失っていたものの、他には特になんの問題もなく、元気に復活を遂げていた。
復活した亜矢子は、それからがりがりと新聞を作り始めた。そして、完成させた新聞をたずさえて顧問に直談判し、その結果見事新聞部の存続を学校に認めさせたのだった。
「この間のトイレ事件の記事はなかなかの評判だったし、次もいいネタをスクープしないとね」
亜矢子は、『旧校舎トイレに潜む怪奇!』という見出しで、さも恐ろしげな怪奇現象がトイレで起こると豪語し、それをおもしろおかしく記事にして、学校中の話題をさらっていた。記事には亜矢子が体験したトイレでの気絶体験を中心に、その他の生徒の体験談なども載せていて、なかなかに面白く書けていたが、事件の全貌及び真相を知らない亜矢子の記事は、私や乾くんからしてみれば見当違いもいいところだった。
だけど、本当のことを記事にしてしまったら、いろいろと面倒なことになってしまうことは容易に想像が出来る。なので、真相については悪いけれども亜矢子には秘密にしておくことにした。口裏を合わせたわけではなかったが、乾くんも亜矢子の記事に対して、特になにも言うことはなかった。(乾くんの場合、単に口下手が原因という可能性もあるが)
まあ、亜矢子が元気を取り戻してくれたのならなんでもいいのだけど。
「でも、放課後そんなに時間は取れないからね」
一応おきつねさまがいるとはいえ、できるだけ妖怪の多く出没する逢魔時になる前に帰宅をしておきたいという気持ちは変わらない。けれど、亜矢子への友情と同情から入部することになった新聞部だが、これまで避けていたそういった活動に参加できて、ちょっとだけ、本当にちょっとだけだけれど、青春を感じている私もいた。
だからちょっとだけは妥協。規制緩和。
「えっへへ。いいよー。それでも一緒に活動してくれるだけで嬉しいっす」
するりと私の腕に抱きつく亜矢子。
まあ、こんなに亜矢子が喜んでくれるんなら、入部してあげてよかったかなと思う。
そんなこんなでさっそく放課後である。私と亜矢子は隣のクラスにいた乾くんを捕まえると、新聞部の部室がある旧校舎へと向かった。
亜矢子の強引な勧誘で、新聞部に入部することになってしまった乾くんではあるが、彼も結構嫌そうではない様子なので、なんとなくほっとする。
「まあ、俺も入部したからには頑張るよ」
以前よりは口数も増えて、取っつきやすくなった印象の乾くん。彼にはまだいろいろ訊きたいこともあるが、ひとまず部活動中はそちらのことに集中しようと思う。
私たちが旧校舎に足を踏み入れたそのとき、一階の廊下にこんな声が響き渡った。
「いい加減にしてくれよ!」
そしてすぐにこんな声も聞こえてきた。
「仕方ないじゃない!」
何事かと私が声の聞こえたほうを振り向くよりも早く、亜矢子が前を走り出した。
「これはスクープの予感! 二人もついてきて!」
声の聞こえたほうへ行ってみると、そこには四人の男女が言い争いをしている姿があった。
「だから、もう少し静かにやってくれないかなって言ってるんだ!」
「そんなの無理に決まってるじゃない。ダンス部には音楽が必要なのよ!」
「そうだ! 軽音部に静かにしろって、部活をするなと言ってるのと同じだろう」
「囲碁や将棋は繊細な競技なんです! あなたたちのお陰で全然集中できません!」
どうやら言い争いをしているのは、将棋部、囲碁部の部長と、ダンス部、軽音部の部長たちのようだった。将棋、囲碁とダンス、軽音とで意見の相違があったらしい。
一触即発の雰囲気に、私は思わず足を止める。しかし、そんな雰囲気を察しないのか、単に胆が座っているのか、構わずに間に入っていく人物がいた。
「あなたたち、ちょっといいかしら? その争い、詳しく聞かせてくれる?」
新聞部部長の亜矢子は、黒縁眼鏡をきらりと光らせながら、不穏な空気を醸し出している四人の男女の中に入っていった。
「なんだ? きみは」
そう誰何したのは、静かにしてほしいと訴えていた銀縁眼鏡をかけた男子生徒だった。
「あなたは将棋部部長の三浦仙太郎さんですね。私は新聞部部長の樋口亜矢子。ちょっとこの争議について、取材させていただきたく思い、声をかけさせていただきました」
「取材? 新聞部が? なにを言っているんだ。僕たちは今それどころじゃないんだ」
「そうよ! ただでさえ騒がしくて困ってるのに、これ以上うるさくされちゃ迷惑よ」
「そうだ。部外者は黙っていてくれ」
案の定、亜矢子の登場は火に油のようだった。空気読めない残念な我らが亜矢子部長。さすがに憐れな気もして、私が助け船を出すことにした。
「亜矢子。ちょっとここは下がってて。まずここは、落ち着いて話を聞いてからにしよう?」
「え? これからが取材本番なのに~」
不服そうな声を出す亜矢子だが、彼女の情熱と事態の収拾は反比例するばかりでうまくいきそうもない。
「いいからとにかく下がってて」
そして代わりに私が四人の部長たちの間に立つことになった。
なにやら険悪な雰囲気の場に、私は一気に緊張する。
「今度はあなた? あなたも新聞部の人?」
ダンス部の部長らしいポニーテールの勝ち気そうな女性徒がこちらを怪訝そうに見つめてきた。
「はい。新聞部の新人、東雲結月と言います。まず、先程の勝手な取材交渉についてはお詫びさせていただきます」
私がそう言うと、少し周囲の険が薄れたように思えた。
「ふうん。さっきの部長より、きみのが話が通じそうだね。けど、新聞部に用がないのは確かだ。そこをどいてくれないか」
「いえ。まだここをどくわけにはいきません。あなたたちが私たち新聞部を迷惑に思っているように、ここで言い争いを続けられるのもいい迷惑なんです。それを解決するためにも、少し話を聞かせてもらえないでしょうか」
すると、将棋部の三浦部長が少し驚いたふうに眉を上げた。そして、他の三人の顔を見つめたあと、うなずいて見せた。
「確かにきみの言うことにも一理ある。わかったよ。僕たちが争うことになった事情をまずは説明することにしよう」
「昔からあいつら狸は気に入らなかった。特に隠神刑部のやつは、ことあるごとに儂と張り合ってきおって」
私の部屋の中央に浮かんだまま、腕を組み不機嫌そうに口をへの字に曲げるおきつねさま。先日のことをつい口にしてしまったことで、おきつねさまの不機嫌スイッチを押してしまったらしい。
「まあまあ、狐と狸なんて、似たもの同士じゃない。似たもの同士、仲良くしたら……」
私がそう口にした瞬間、ものすごく怖い目つきでおきつねさまはこちらを睨んできた。
「似たもの同士!? 今似たもの同士と言ったか? しかも仲良くと!?」
なんだかとても怖い……。どうやら非常にまずいNGワードを私は口にしてしまったようだ。私は思わず部屋の隅にいたほこりんに視線をやる。しかし、ほこりんは不思議そうな顔をするばかりでなんの役にも立ちそうになかった。
「儂と狸なんぞを同列に扱うとは、心外千万、言語道断。狐は稲荷神に仕える神の使いとして神聖な獣でもあるのじゃ。変化の術が得意だという共通点だけで似たもの同士などと決めつけてもらっては困る。だいたい、あの狸の置物知っておるか? あれをゆにーくとか可愛いとか言っておる人間がおるようじゃが、儂からしてみたらお下品、見るに堪えぬ代物。その点、狐はすまーとで美しい。それを似たもの同士とは、心外にも程がある」
「ああ、そ、そうよね。人間が勝手に似たもの同士とか言っちゃダメよね。前言撤回するから落ち着いて」
慌てて私が言い繕うと、ようやく斜め四十五度くらいにつり上がったおきつねさまの目が下がっていった。
「フン。わかればよいのじゃ」
相変わらず居丈高な狐である。
季節は五月下旬、新緑の木々に辺りの景色が彩られている。爽やかな朝の空気を吸い込みつつ学校へ行くと、いつものように亜矢子が話しかけてきた。
「さあ、結月。今日も放課後、みんなで部活動頑張るよ!」
「あ、う、うん」
あのトイレ事件のあと、倒れて保健室に運ばれた亜矢子だったが、少しの間気を失っていたものの、他には特になんの問題もなく、元気に復活を遂げていた。
復活した亜矢子は、それからがりがりと新聞を作り始めた。そして、完成させた新聞をたずさえて顧問に直談判し、その結果見事新聞部の存続を学校に認めさせたのだった。
「この間のトイレ事件の記事はなかなかの評判だったし、次もいいネタをスクープしないとね」
亜矢子は、『旧校舎トイレに潜む怪奇!』という見出しで、さも恐ろしげな怪奇現象がトイレで起こると豪語し、それをおもしろおかしく記事にして、学校中の話題をさらっていた。記事には亜矢子が体験したトイレでの気絶体験を中心に、その他の生徒の体験談なども載せていて、なかなかに面白く書けていたが、事件の全貌及び真相を知らない亜矢子の記事は、私や乾くんからしてみれば見当違いもいいところだった。
だけど、本当のことを記事にしてしまったら、いろいろと面倒なことになってしまうことは容易に想像が出来る。なので、真相については悪いけれども亜矢子には秘密にしておくことにした。口裏を合わせたわけではなかったが、乾くんも亜矢子の記事に対して、特になにも言うことはなかった。(乾くんの場合、単に口下手が原因という可能性もあるが)
まあ、亜矢子が元気を取り戻してくれたのならなんでもいいのだけど。
「でも、放課後そんなに時間は取れないからね」
一応おきつねさまがいるとはいえ、できるだけ妖怪の多く出没する逢魔時になる前に帰宅をしておきたいという気持ちは変わらない。けれど、亜矢子への友情と同情から入部することになった新聞部だが、これまで避けていたそういった活動に参加できて、ちょっとだけ、本当にちょっとだけだけれど、青春を感じている私もいた。
だからちょっとだけは妥協。規制緩和。
「えっへへ。いいよー。それでも一緒に活動してくれるだけで嬉しいっす」
するりと私の腕に抱きつく亜矢子。
まあ、こんなに亜矢子が喜んでくれるんなら、入部してあげてよかったかなと思う。
そんなこんなでさっそく放課後である。私と亜矢子は隣のクラスにいた乾くんを捕まえると、新聞部の部室がある旧校舎へと向かった。
亜矢子の強引な勧誘で、新聞部に入部することになってしまった乾くんではあるが、彼も結構嫌そうではない様子なので、なんとなくほっとする。
「まあ、俺も入部したからには頑張るよ」
以前よりは口数も増えて、取っつきやすくなった印象の乾くん。彼にはまだいろいろ訊きたいこともあるが、ひとまず部活動中はそちらのことに集中しようと思う。
私たちが旧校舎に足を踏み入れたそのとき、一階の廊下にこんな声が響き渡った。
「いい加減にしてくれよ!」
そしてすぐにこんな声も聞こえてきた。
「仕方ないじゃない!」
何事かと私が声の聞こえたほうを振り向くよりも早く、亜矢子が前を走り出した。
「これはスクープの予感! 二人もついてきて!」
声の聞こえたほうへ行ってみると、そこには四人の男女が言い争いをしている姿があった。
「だから、もう少し静かにやってくれないかなって言ってるんだ!」
「そんなの無理に決まってるじゃない。ダンス部には音楽が必要なのよ!」
「そうだ! 軽音部に静かにしろって、部活をするなと言ってるのと同じだろう」
「囲碁や将棋は繊細な競技なんです! あなたたちのお陰で全然集中できません!」
どうやら言い争いをしているのは、将棋部、囲碁部の部長と、ダンス部、軽音部の部長たちのようだった。将棋、囲碁とダンス、軽音とで意見の相違があったらしい。
一触即発の雰囲気に、私は思わず足を止める。しかし、そんな雰囲気を察しないのか、単に胆が座っているのか、構わずに間に入っていく人物がいた。
「あなたたち、ちょっといいかしら? その争い、詳しく聞かせてくれる?」
新聞部部長の亜矢子は、黒縁眼鏡をきらりと光らせながら、不穏な空気を醸し出している四人の男女の中に入っていった。
「なんだ? きみは」
そう誰何したのは、静かにしてほしいと訴えていた銀縁眼鏡をかけた男子生徒だった。
「あなたは将棋部部長の三浦仙太郎さんですね。私は新聞部部長の樋口亜矢子。ちょっとこの争議について、取材させていただきたく思い、声をかけさせていただきました」
「取材? 新聞部が? なにを言っているんだ。僕たちは今それどころじゃないんだ」
「そうよ! ただでさえ騒がしくて困ってるのに、これ以上うるさくされちゃ迷惑よ」
「そうだ。部外者は黙っていてくれ」
案の定、亜矢子の登場は火に油のようだった。空気読めない残念な我らが亜矢子部長。さすがに憐れな気もして、私が助け船を出すことにした。
「亜矢子。ちょっとここは下がってて。まずここは、落ち着いて話を聞いてからにしよう?」
「え? これからが取材本番なのに~」
不服そうな声を出す亜矢子だが、彼女の情熱と事態の収拾は反比例するばかりでうまくいきそうもない。
「いいからとにかく下がってて」
そして代わりに私が四人の部長たちの間に立つことになった。
なにやら険悪な雰囲気の場に、私は一気に緊張する。
「今度はあなた? あなたも新聞部の人?」
ダンス部の部長らしいポニーテールの勝ち気そうな女性徒がこちらを怪訝そうに見つめてきた。
「はい。新聞部の新人、東雲結月と言います。まず、先程の勝手な取材交渉についてはお詫びさせていただきます」
私がそう言うと、少し周囲の険が薄れたように思えた。
「ふうん。さっきの部長より、きみのが話が通じそうだね。けど、新聞部に用がないのは確かだ。そこをどいてくれないか」
「いえ。まだここをどくわけにはいきません。あなたたちが私たち新聞部を迷惑に思っているように、ここで言い争いを続けられるのもいい迷惑なんです。それを解決するためにも、少し話を聞かせてもらえないでしょうか」
すると、将棋部の三浦部長が少し驚いたふうに眉を上げた。そして、他の三人の顔を見つめたあと、うなずいて見せた。
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