コレは流行りの転生ですか？〜どうやら輪廻転生の方でした〜

本編

水遊び

何度か挑戦しているうちに、ちょっとだけ空気を押し出せるようになった。
だが、シャボン玉としては膨らまないので失敗だ。

「ふぅ…ちゅかれた」
「ルシー、休憩しよう？ソラとシーザーもルシーと遊びたいみたいだよ？」

しまった。
シャボン玉に集中しすぎて熊や虎の事を忘れていた。
しかも、せっかく紹介してもらった兄犬の事も放置してしまっていた。
これはいけない。
今日はお爺さまだけではなく、兄犬とも親睦を深めたいと思っていたのだ。

「ちゅぎは、みんなで、あしょぶ！」

何をしようか。
追いかけっこは自分の1人負けが確定しているので除外したい。
かくれんぼだと、嗅覚に優れた獣を相手に隠れる事が出来るのか疑問しかない。
なんとなくだが、ギル兄様やお爺さまは隠れられそうな気がするので、コチラも自分の1人負けだろう。
そうなると、いつものおままごとになってしまうのだが、わざわざ森で遊ぶ事ではないので却下だ。

「にいしゃま、おみじゅ、いい？」

もう、湖でキャッキャ、ウフフと掛け合うアレしか無いだろう。

「いいよ。一緒に行こうね」

ギル兄様からも許可がおりたので、休憩後は水辺で遊ぶ事にした。

「ケルベロスは水が苦手……では無いのか…。わかった、いらん事はもう言わん」

なにやらお爺さまと兄犬の間で行き違いがあったみたいだ。

「ケロちゃん、ベロちゃん、スーちゃん。おみじゅ、きらい？」

犬は泳げると思うので勝手に大丈夫だと思い込んでいたが、お風呂が嫌いな犬もいるのだ。
もしかしたら兄犬もそうかもしれない。
熊や虎は偶にお風呂で洗ってあげているので、水は平気だろう。
もし、兄犬が水が苦手なのであれば別の遊びを考えようと思う。

「水遊びは大好きらしい……いやいや、今までは水溜りだって踏みたくなさそうだったと思うんじゃが…」

水溜りはあまり綺麗な水ではないから仕方がない。
兄犬はきっと綺麗好きなんだろう。
汚れた水を触りたくない気持ちはよくわかる。
この湖の水は透き通るほどキレイなので、そういった意味では大丈夫だ。

「おみじゅ、おしょべる？」

兄犬は尻尾をぶんぶんと振って嬉しそうにワフッと鳴いた。
ギル兄様から自分のふくらはぎくらいまでの水嵩の場所までしか行ってはいけないと言われたので、みんなからしたら相当浅瀬だと思う。
それでも、熊も虎も兄犬も、文句も言わずに着いてきてくれた。

こうなったら、自分が一生懸命みんなに水をキャッキャしてやろう。

みんなは精一杯、ウフフをするがいい。