上 下
142 / 195
本編

やっと見つけた!

しおりを挟む
結局選んだのは白に青を一滴だけ垂らした様な薄い水色のお花にした。
お爺さまやパパに選んだ物とは違う小さな花だ。
お花の形が少し星に似ている。
ベクストに聞けば名前を教えてくれるだろう。

自分の中での勝手な妄想なのだが、ギル兄様は森を守護する神様だと思っている。
出会いが森の中だったからかもしれないが、あの神々しいお姿は自然の中で一際輝いていた。
あの神秘的な御神木の様なツノ。
光を浴びて煌めく鱗。
お留守番の時にメイドさんのお手伝いで一度だけ見たあの薄い緑色の服を着てもらいたい。
立襟で横にスリットの入った丈の長い、あの神様専用と思われる衣装だ。
まだ1度も着ているお姿を見た事は無いが、一体どういったタイミングで着られるのだろうか。
今日はお爺さまのお出迎えもあるし、着てくれないだろうか。

森のイメージが強い所為か、自分の中ではギル兄様のイメージカラーは緑系統だ。
薄い緑色なんてドンピシャである。
そこに来て、あの着る人を選ぶだろう服だ。
あの服は間違いなく足の長い人にしか着こなせないだろう。
ギル兄様はお顔が小さく、スラッとした長い手足の持ち主だ。
絶対に似合う。
誰か絵姿に残してくれないかな。

虎のお宅訪問を終え、次に移動しようと箱に乗り込むと目の端に素敵な物が映り込んだ。
慌てて箱から降りて近づいてみる。
虎も着いてきてくれた様だ。

「こりぇ!?!」

素晴らしい。
ここまで見事な物は見た事がない。
少し小ぶりだが、形が良い。
こういった物が無いかいつも騎士団では探していたのだが、なかなか見つからなかったのだ。
まさか庭にあったなんて。
盲点だった。

触ってみると手触りも素晴らしい。
思ったよりも軽量なのも気に入った。
コレは絶対に持ち帰らなければいけない。
意気揚々と手に入れた物を天高く掲げた。

そう。
それは。
ギル兄様の御神木の様な素敵なツノにそっくりな枝だ。

ここまで似ている物は珍しいだろう。
移動しようと思ったが、まだ探さなければいけない。
1本では足りないのだ。
ギル兄様には素晴らしいツノが2本ある。
なんとしても、もう1本手に入れたい。

今まで誰にも言わなかったが、ずっと思っていたのだ。
いつかギル兄様とお揃いのツノが欲しいと。
小枝なら大量にどこででも見つけられるのだが、ギル兄様とお揃いにするには粗末すぎて話にならなかった。
庭師のお爺ちゃん達に頼めば加工してくれるだろうとは思っていたが、それでは何かが違うのだ。
やはり天然物でなければ、あの神秘的な雰囲気は出せない。

「ソラちゃ、カゲちゃ、こりぇ、もういっこ、みちゅけるの!」

お揃いまでもう少しです。
待っていて下さい。
ギル兄様!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
────妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの高校一年生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の主人公への好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?

俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中

油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。 背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。 魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。 魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。 少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。 異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。 今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。 激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ

腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います

たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか? そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。 ほのぼのまったり進行です。 他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。

贖罪公爵長男とのんきな俺

侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。 貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。 一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。 そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。   ・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め ・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。 ・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。 ・CP固定・ご都合主義・ハピエン ・他サイト掲載予定あり

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

処理中です...