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7. ピロートークの波乱 ※

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 タカシは優しく微笑むと、自分の服を脱ぎ始めた。ナツは息を呑んだ。タカシの体は均整が取れて美しく、程よく筋肉のついた上腕と、引き締まった腹筋が目を引いた。



 タカシは避妊具をつけると、ゆっくりとナツの上に覆い被さった。「入れるよ」と囁き、ゆっくりと挿入を始めた。

「んっ……あぁ……」ナツは息を呑んだ。タカシの肉棒が徐々に膣内を満たしていく。完全に挿入されると、「大丈夫?」タカシが囁く。ナツは小さく頷いた。

 また軽く微笑むと、タカシはナツに優しくキスをした。舌を絡ませながら、結合した部分の密着度を互いに感じ合う。

 しばらくすると、タカシはゆっくりとグラインドを始めた。最初は小さく、でも確実に。ナツの中を擦り上げる。ナツは徐々に快感を覚え始めた。

「あっ……はぁ……気持ち、いい……」

 タカシは優しく微笑むと、ナツの快感の泉を探し当てるかのように、少しずつ体位を変化させていく。両足首を肩に乗せてみたり、ヒザ裏を持って持ち上げてみたり、そうかと思うと上体を密着させてキスしたり。その度にゆっくりとグラインドし、ナツの反応を確かめる。

 ナツはその都度変わるタカシの肉棒の触感に悶えた。

 最後にタカシがナツの腰の下に枕を挟み込んでグラインドを始めると、ナツが今まで味わったことのない快感が、ナツの体中を震わせた。

(あぁ…奥まで入ってる……こんな感覚はじめて……)

 ナツの喘ぎ声が大きくなり、快感が全身を駆け巡る。無意識のうちに、タカシに合わせて腰を動かしていた。

「アイ…好きだ…」

 ナツの中で、タカシが大きくなっていくのを感じる。ナツの中で、何かが膨らんでいく。

「あぁ…イク…またイッちゃう…!」

「俺もイっちゃいそう…一緒にイくよ…!」

 タカシの腰の動きが激しくなる。ナツは全身を反らせ、タカシにしがみついた。

「あぁっ!」

 二人同時に絶頂を迎えた。ナツの中に、タカシの熱いものが注ぎ込まれる。

 しばらくの間、二人は抱き合ったまま息を整えていた。

  ・
  ・
  ・

 やがてタカシがゆっくりと体を起こすと、自らの肉棒をナツから抜き、避妊具を処理してから体を横たえた。上半身を横に向けると、ナツに腕枕をしてその横顔を見つめる。その表情は優しさに満ちていたが、同時に真剣な表情だった。

「アイってさ、中学のときどんな部活やってた?」

「……」

「あとさ、中学はどこだった?」

「……」

 ナツにはタカシの疑いの正体がわかった。もう隠し通すことはできないと悟り、自分が本当は中学時代の後輩のナツであること、既婚者であること、マッチングアプリを潜入調査のために始めたことを打ち明けた。

「そっか…やっぱり。…じゃあそのメイクやキャラは、旦那さんにバレないように作った偽のプロフィールに合わせてたってことなんだね。納得したよ」

「ごめんなさい…嘘をついて」

 タカシは優しく微笑んだ。

「いいんだ。ナツと再会できて、こうやって結ばれて、幸せだなって思ってる」

 ナツはかつて思い焦がれていた相手と15年越しに結ばれた幸せを改めて実感して、胸が熱くなった。当時の思いを打ち明けるなら今だと思った。

「実は…私も中学のとき、タカシ…先輩のこと、ずっと好きだったの」

「えっ!そうだったの!?」

「意識しすぎて会話するのも難しいどころか、目を合わせるだけで死にそうになってた。試合の観戦のときだけ正々堂々と見れたから、この涙ボクロにずーっと見とれてた」

 そう言って、ナツはタカシの涙ボクロを撫でた。

「そうだったんだ……両思いだったんだね…」

 そうタカシは口にすると、しばし沈黙の後、さらに付け加えた。

「あーっ中学時代やり直したいな、今戻れるんだったら真っ先にナツのところ行って告白するっ」

 互いの目が合い、自然に笑みがこぼれる。改めて、15年前にそうできていたらと切ない願いを込めながら、唇を触れ合わせ、舌を絡ませ合う。

 キスの応酬が終わると、二人はまたしばらく沈黙した。

  ・
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  ・

 沈黙を破ったのは、タカシのほうだった。

「こういう言い方が適切なのかわからないけど、…俺と付き合ってほしい。…俺はナツのすべてを受け止めるつもりだよ。既婚者だってことも含めて」

 ナツは躊躇した。沈黙していたのはタカシと同じく、これからについて考えていたからだったが、既婚者の身で、これからどうタカシと付き合っていくべきか分からなかった。

「……」

 ナツの逡巡を見て取って、タカシがあえて軽い調子で畳み掛ける。

「ほら、今どき婚外恋愛なんて珍しくないしさ。旦那さんも浮気してたんでしょ?それならおあいこさまだし。…何より、ナツと今日限りで会えないなんて俺が嫌なんだ。ナツも同じ気持ちじゃない?」

「それは…そうだけど…」

「大丈夫、離婚してとか、旦那とはエッチしないでとか、そういう重いこと言ったりしないから。その代わり俺と会ってるときは俺がナツのこと独占するけどね」

 ナツはそれでもしばらく沈黙していた。タカシも黙り、ナツの返事を待った。やがてナツがようやく、口を開いた。

「うーん…少し考えさせてもらっても良いかな……私もタカシのこと大事だし、今日は超幸せだったし、今日限りでタカシと会えないなんて考えられないんだけど…まだ心の整理ができてなくって」

「もちろん、待つつもりだよ。たださ、もう一回会うことだけ約束しない?」

「…わかった…」

「ありがとう。約束のキスね」

 そう言ってタカシはまた、ナツに唇を重ね合わせた。

 体に残る快感の余韻をキスの快感が塗り重ねていく。ナツはこの難題について考えることを後回しにしようと思った。いや、もう一つ聞きたいことがあった。

「……私が後輩だって、…いつから気づいてたの?」

「初めて会った瞬間から、ずっと疑ってはいた。でも、メイクや性格の感じが中学のときの印象とはかけ離れてて確信が持てなかったんだ。エッチしてる様子で確信した。エッチ中の素のナツは、俺の知ってるナツだったよ」

「え…」

「こんなこと言うの失礼かもだけど、ナツってさ、エッチ好きな割には、エッチに対して受け身だよね」

 突然の指摘に、ナツは戸惑った。

「そうなの…今まで夫も含めて2人しか経験がなくて…」

 タカシはナツの頬を撫で、耳を撫でた。

「そうなんだ。でも今日エッチして、俺はナツは本当は、もっといくらでもエロくなれる女なんだって思ったよ」

「え…そうかな…?」

「うん絶対そう。だってナツって絶対エッチ好きだもん」

「やめて…恥ずかしいよ…」

「いや、冗談に聞こえるかもだけど本気だよ。ナツがセックスにもっと貪欲になったら、もっと可愛くてセクシーで魅力的だと思うな。俺が開発してあげよっか?」

 ナツは驚きながらも、どこか期待を感じていた。

「うーん……」

「ま、これも考えといてよ。オレはナツが、ほんとはそういうのにめっちゃ興味あるエッチな女だって今日わかったから」

 茶目っ気たっぷりなタカシの言葉に、ナツは固まり、頬を赤らめた。返事する代わりに、ナツはタカシに抱きついた。目を閉じ、自分から唇を重ねに行く。今はまだ想像もつかない、刺激的な未来が待っている気がした。
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