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307 闘争からの逃走⑥
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突如飛来した杭に吹き飛ばされ、マサキは地面を転がる。
長距離からの狙撃。それも高重量の金属の杭による質量攻撃は、魔力だけの攻撃とは一線を画す破壊力を生む。纏う魔力は相手の魔力を相殺し、内包した魔力は杭の強度を上げ、持てる質量を遺憾なく発揮する。
遠方の建物の屋根には、白い法衣から右腕の代わりに、平行な二本の棒を突き出した白が、杭を再装填している姿があった。
レールガン……電磁の代わりに、大量の魔術式を何層にも重ねて作られた二本の棒の間を、弾丸代わりの杭が走る事で、驚異的な一撃を生み出す。撃ちだす弾体も、術式を重ねて作られた特別製で、その分通常の弾丸よりも長い杭の形をしていた。
肉がひしゃげ骨が軋む……マサキの体から響く異音が、地面へと落ちた杭の甲高い音に打ち消される。対人ではなく対物兵器に分類されて然る可き一撃は、マサキの体に致命的な損傷を与えていた。
「撃退するだけであれば、如何とでもなったでしょう。殺すとなれば、手段を択ばなければどうとでもなるでしょう。ですが生きたまま捕らえるとなると、少々面倒であると判断しましたので、余所のお仲間と合わせて、少々手間を掛けました」
逃がしませんよと布が話を振る間にも、甲虫脚の【貫杭破槌】が転がるマサキの脇腹に突き刺さり、建物の壁まで吹き飛ばす。壁に叩き付けられたマサキは体を押さえ、痛みに悶えながら吐血する。
いままで全ての攻撃を受け止めていたマサキであるが、圧倒的なステータスによる防御力も、度重なる衝撃に身に纏う魔力による装甲が剥ぎ取られ著しく低下。内側まで届く衝撃はダメージを着実に蓄積し、回復力を奪っていた。
魔力操作による力の集中運用、身体能力や回復力の向上などを行えば、防ぐことも回復することも可能だろう。だが、高いステータスに物を言わせ剣を振るうだけのマサキに、スキルを効率よく運用する技術など欠片も無かった。
必要な場面が無かったと言えばそれまでだが、それだけに、体力を削られている現状に、マサキは谷底に突き落とされたかの様な恐怖を味わっていた。
歯を食いしばり、ふらつく体を動かそうとするマサキだが、その力を奪うかのように再び杭が飛来し、脇腹に突き刺さる。くの字に折れ曲がるマサキの目には、顔面へ向け武器を振り上げ迫る、甲虫脚の姿が映っていた。
着実に増える苦痛と消耗、にわかに現実味を帯びる死の可能性。恐怖と絶望が心身を蝕み、
極限まで高まった集中力は時間感覚を引き延ばす。それは、より眼前の脅威を鮮明に感じ取り……反射的に、本能のままに、恐怖に対し場当たり的な最悪の選択を取った。
「▲▲▲―――!」
マサキの全身から、今までとは比較にならない量の魔力が噴出する。
<開魂>……それは魂から溢れた余剰魔力でなく、魂から魔力を引き出し、全ての能力を上げる切り札であり、諸刃の剣。
使わないのが最善。能力の発動に最も力を使う為、発動したならば決着をつける。それが<開魂>を使える者の使い方である。
故に、そう……こうなるのは自明の理である。
迫る甲虫脚を噴き出す魔力で押しのけ、一度目同様に延長された長剣で斬りつける。上体逸らしによって余裕で躱されると、追撃に移ろうと一歩踏み出した瞬間、マサキの全身から力が抜け、その場で両膝を付いた。
「おや、もう限界ですか。魔力の運用が下手すぎますね」
瞬間的とはいえ日に二度の<開魂>は、底抜けのバケツから水が抜けるかのように、膨大だったマサキの魔力を吐き出させる。思う通りに動かない体に困惑するマサキであるが、今の状態が危険であることは明白。切り札が使えない事を悟ったマサキは壁に手を突き立ち上がると、這う這うの体で駆け出した。
「ッケ」
無様な姿で逃げ出すマサキの後ろ姿に対し、甲虫脚は追いかけるでもなく呆れたように息を吐く。
その呆れの意味に答える様に、路地裏から白い法衣が滑る様に現れると、マサキの進路を塞ぐ様に立ち塞がる。
「▲▲―――!!」
マサキは、怒りと苛立ちと絶望が混ぜこぜになった表情を浮かべながら、立ち塞がる白へ向けて怒声を上げる。そこには悪を裁き、勇者などともてはやされ、正義に燃えていた時の姿など完全に消え去っていた。
「……」
立ち塞がる白に、マサキは乱暴に斬りかかろうとするが、白が頭をすっぽり覆う頭巾を脱ぐと、マサキの動きがピタリと止まる。露になった白の顔に在ったのは、大小さまざまな人外の瞳の群れ。瞳の正体は、人工的に造られた多種多様な魔眼の群れだ。
瞳に収めるだけで効果を発揮するそれは、全てがマサキの姿を捉え、込められた魔力が心身を捕らえて放さない。必死に視線を逸らそうとするマサキであるが、能力が落ちた今の彼では、その拘束を解くことは叶わない。
「もう何もありませんか? 何もできませんか? 無様を晒す事しかできませんか? スペックが高くても、使い手がこれでは無用の長物とはこのことでしょうか。その力の使い手が貴方でなければ、まだマシだったでしょうね、勇者様?」
「~~~!」
失笑を交え煽り立てる布の白の言葉にプライドが傷つけられたのか、マサキは残り少ない力を振り絞る。
「……」
「ふむ、9ちゃんの拘束を振りほどけないとなると、もう限界のようですね」
「…………?」
「……確かに、思いの外簡単に拘束できたのは否めませんが、失敗するよりは良いでしょう。まぁ、結果オーライということで。他の手段も無い様子ですし、このまま捕獲すると致しましょう」
拘束する視線を引き千切るかの様に僅かに動くが、立ち止まっている事に変わりは無く、それは致命的な隙となった。
必死の形相で身体を捻り、無理やり魔眼の白から視線を外そうとする。隣の壁に背を向けたタイミングで、マサキに突如衝撃が襲った。
全身の力が抜け、自然と下がる視線の先。そには、マサキの腹から突き出す、金属の棒があった。
「▲▲?」
壁の奥から唸る様な稼働音と共に、返しが付いたそれがキリキリと巻き上げられ、マサキを壁まで引っ張り込む。すると、壁を突き破り重厚な金属塊が現れ、左右から抱きかかえる様に、両腕ごとマサキの腰をガッチリと固定した。
「……それもそうですね。捕縛する前に念のため、抵抗できない様に手足を取っておきましょうか。5ちゃん、やっちゃっていいですよ」
「▲? ▲? ▲?」
布の了承に応える様に、壁の奥から放たれる稼働音がいっそう激しくなる。
壁を削り、粉塵を撒き散らしながら現れたのは、分厚い金属板が上下に二本ずつ。縁を魔力の刃が高速で走り、触れた物体を削り取るそれは、壁を削りながらマサキへと迫り、両肩と両太ももに食い込んだ。
「▲―――!?」
ガリガリと表皮を削る魔力の刃は、止まることなくマサキが纏う魔力を削り取り、火花となって飛び散る。すり減った刃はすぐに補給され、欠けることなく、その切れ味を維持する。
正常時のマサキの防御力であれば、余裕をもって防ぐことができただろうが、それはもう叶わない。纏った魔力は局所的に削られ回復速度を超え、とうとう火花に代わり血粉が舞った。
「▲▲▲―――!!??」
言葉の意味が伝わらなくとも分かる……悲痛な悲鳴をマサキは上げる。
舞い散る血肉。骨を削る異音。魔力は既に底を突き、魔眼による拘束も相まって足掻くことすら許されない。足掻く力も手段も仲間もない、誰が見ても完全な詰みである。布の白と言えば、捕らえた獲物を如何運び管理するか、次へと思考を移していた。
そんな中、マサキが抱いていた感情は、後悔でも諦めでもなく、理不尽な現実に対する憎悪だった。自分は正しいのだと根拠のない確信を元にした、思い通りに成らない世界に対する怒りだった。
「▲▲▲―――!!??」
……その身勝手な思いが、マサキに都合のよい展開を引き寄せる。人はそれを、奇跡と呼ぶのかもしれない。
何かに目覚めたかのように、マサキから突如魔力が溢れ出す。手足を削り取る刃を押し返し、抑え込む魔眼を弾き、拘束する金属塊と腹に刺さった銛を力任せに引き千切る。
「ッチ」
「よしなさい!」
布の制止が入るよりも早く、甲虫脚が拘束から解放されたマサキへと迫る。だがマサキは、甲虫脚の一撃すら片手で受け止め、剰え鷲掴みにすると、甲虫脚ごと振り払い投げ飛ばしてみせる。
「……ッケ!」
投げ飛ばされた甲虫脚は、器用に体をくねらせ四本の脚で着地する。苛立たしげに舌打ちすると、捕まれた際にひしゃげた【貫杭破槌】を放り投げ、すぐさま懐から新たな獲物を引っ張り出す。同じく戦槌の形をした長物だが。柄頭の形状が異なる別物である。
全快時以上のマサキの力に、これは予想外と、布が撤退を視野に入れた指示を方々に飛ばす。<念話>による指示は瞬時に白達に伝わり、甲虫脚も押し留まる。
対してマサキは餓えた獣の様に、焦点が合わず揺れ動く瞳をギラつかせ、呼吸荒く周囲を睨む。見るからに正常な状態ではないマサキは、神々しさすら感じる汚らわしい魔力を振り撒いていた。
到底近づきたいとは思えないその気配は、特に彼女たちにとっては神経を逆なでされる思いだろう。放たれるその悍ましい気配は、ケルドに酷似したモノだったからだ。
いや、それよりももっと酷い。ケルドを煮詰めて濃縮した、原液をぶちまけたかの様な濃厚な気配。
恥辱し、侮蔑し、世界を汚染して行く……この世界に生きる全てのモノに、嫌悪と憎悪を抱かせるに十分な、世界の敵だった。
世界に存在する事すら許せない。とにかく全力で排除したい衝動に駆られる白達であるが、布の指示には逆らわず、じりじりとマサキとの間に距離を取る。
他者に依存することで、如何にか人格を維持している者達。抗いがたい衝動であろうとも、精神的支柱となっている強靭な精神を持った狂人の指示決定には逆らわない。そうでなければ彼女ら白は、感情に呑まれ、壊れ、人として存在できないのだ。
彼女たちが壊れない為の、そして暴走しない為のストッパーでもある布は、どうしたものかと思案する。
正直なところ、自分達白で対処できるレベルでない事は既に判っていた。どれだけ上手く立ち回ろうと、上手く捌こうとも、生身の人が重機を抑えられないのと同じで、今のマサキは、出力的に対処不可能な相手であると結論が出ていた。
それと同時に、安易に捕らえ運び込まなかった事に安堵もしていた。こんな化け物を恩主と慕うダンマスやその眷属の下へと献上していたと考えると、身の毛がよだつ思いだった。あの方々であれば、御することも容易かもしれないが、それとこれとは別である。事前に分かっているのとそうでないのとでは、対処の難度が桁違いだからだ。
もうこれは、上に救助を求めるしかないかと、情けない気持ちが広がる中、マサキの視線が布へと向けられる。
これは死んだかと簡単に覚悟を決め、迷宮への救助要請を出す。今までの戦闘や相手の特徴など、分かっている範囲での情報は既に送信済み。ここでの情報が失われることはもうない。役目としては十分だろうと思いつつ、最後に何か引き出せないかと、布を波打たせ、あえて自らマサキへと距離を詰める。
反撃も攻撃も回避も考えず、相手の行動をその目に焼き付け、情報として送る為……それはそれは、相手からしたらさぞ不気味に映った事だろう。何かされるのではないのかと、勘繰るぐらいには。
打ちのめされた経験は、怒りを恐怖に、押さえつけられた経験は、開放感を疑念に塗り替える。
またやられるのでは? 痛い思いをするのでは? 余裕があるから簡単に振り解けたのでは? 疑心暗鬼に呑まれたマサキの瞳から力が失われ、疑念と恐怖が渦巻く。
対して布は、マサキの様子が変わったことに気付き、コテンと首をかしげる。余裕すら見えるその動作に、ますます怯えを抱いたマサキは、衝動のままに……一目散に逃走した。
「………………5ちゃん?」
「……無、り」
「5ちゃんの馬力でも抑えられませんでしたか、では物理的に抑えるのは不可能でしたね。9ちゃんは?」
「……」
「あら、<精神魔法>も<幻覚魔法>も<鑑定>も通りませんでしたか。まぁ、あれだけ魔力が噴き出していては、魔眼であろうとも魔力そのものを弾いて干渉できないでしょうし、仕方がないですね」
しばしの沈黙の後、布が口を開き、他の白に先ほどの戦闘の確認を取る。
壁の奥から5と呼ばれた白が、引き千切られたペンチやチェーンソーに酷似した各種装備を体の中に仕舞い込みながら顔を出し、9と呼ばれた魔眼の白が、路地裏からひょっこりと顔を出す。
分かっていた事ではあるが、全員無事な姿を見る事ができたことで、布の白は安堵の溜息を零す。
「ッケ」
「1ちゃん……気に入っていたのは分かるけど、諦めなさい。修理して貰えばいいことでしょう?」
「……ン」
「修理費も無いの? ……散財する癖、治した方がいいわよ」
1と呼ばれた甲虫脚の白は、ひしゃげた【貫杭破槌】を拾い上げ、物悲し気に肩を落とす。直せばよいだろうと布は言うが、その言葉に決まり悪気にぼそりと返す。
因みに、散財理由は先ほど引っ張り出した新しい魔武器だったりする。彼女たちが持つ武器道具は全て有料で、当然修理にも金がかかる。
他と比べても給金はそれなりに貰っているのだが、抑えの効かない彼女たち。当然の様に欲望にも忠実なものが多いのだ。
5と9が1を囲み、慰める様にわちゃわちゃしているが、1が物悲し気に視線を向けると、二人共一斉に視線を逸らす。金の貸し借りをする気はないらしい。
「はぁ、しかし最後のあれは何だったのでしょう。あの出力で襲われなかった事を喜べばよいのか、逃した事に落胆すればよいのか」
張りつめていた空気が弛緩するのに合わせ、布が大きく息を吐く。
逃した獲物は大きいが、損傷は軽微……彼女たち白からすれば、恩主に被害が出なければ全て軽微である。なので、危険人物の情報を得られた分、収支はプラスかと、結論付ける。
「お~い!」
丁度その時、避難誘導を終えた衛兵が白たちの下へと駆けつける。
あの逃走速度では、追いかけるのも無理かと判断した布は、周囲の警戒と避難した市民の警護にでも当たるかと、他の白に指示を出す。
「あぁ、そういえば」
先ずは、簀巻きにしたまま忘れていた重症人を、引き渡す事から始める布であった。
長距離からの狙撃。それも高重量の金属の杭による質量攻撃は、魔力だけの攻撃とは一線を画す破壊力を生む。纏う魔力は相手の魔力を相殺し、内包した魔力は杭の強度を上げ、持てる質量を遺憾なく発揮する。
遠方の建物の屋根には、白い法衣から右腕の代わりに、平行な二本の棒を突き出した白が、杭を再装填している姿があった。
レールガン……電磁の代わりに、大量の魔術式を何層にも重ねて作られた二本の棒の間を、弾丸代わりの杭が走る事で、驚異的な一撃を生み出す。撃ちだす弾体も、術式を重ねて作られた特別製で、その分通常の弾丸よりも長い杭の形をしていた。
肉がひしゃげ骨が軋む……マサキの体から響く異音が、地面へと落ちた杭の甲高い音に打ち消される。対人ではなく対物兵器に分類されて然る可き一撃は、マサキの体に致命的な損傷を与えていた。
「撃退するだけであれば、如何とでもなったでしょう。殺すとなれば、手段を択ばなければどうとでもなるでしょう。ですが生きたまま捕らえるとなると、少々面倒であると判断しましたので、余所のお仲間と合わせて、少々手間を掛けました」
逃がしませんよと布が話を振る間にも、甲虫脚の【貫杭破槌】が転がるマサキの脇腹に突き刺さり、建物の壁まで吹き飛ばす。壁に叩き付けられたマサキは体を押さえ、痛みに悶えながら吐血する。
いままで全ての攻撃を受け止めていたマサキであるが、圧倒的なステータスによる防御力も、度重なる衝撃に身に纏う魔力による装甲が剥ぎ取られ著しく低下。内側まで届く衝撃はダメージを着実に蓄積し、回復力を奪っていた。
魔力操作による力の集中運用、身体能力や回復力の向上などを行えば、防ぐことも回復することも可能だろう。だが、高いステータスに物を言わせ剣を振るうだけのマサキに、スキルを効率よく運用する技術など欠片も無かった。
必要な場面が無かったと言えばそれまでだが、それだけに、体力を削られている現状に、マサキは谷底に突き落とされたかの様な恐怖を味わっていた。
歯を食いしばり、ふらつく体を動かそうとするマサキだが、その力を奪うかのように再び杭が飛来し、脇腹に突き刺さる。くの字に折れ曲がるマサキの目には、顔面へ向け武器を振り上げ迫る、甲虫脚の姿が映っていた。
着実に増える苦痛と消耗、にわかに現実味を帯びる死の可能性。恐怖と絶望が心身を蝕み、
極限まで高まった集中力は時間感覚を引き延ばす。それは、より眼前の脅威を鮮明に感じ取り……反射的に、本能のままに、恐怖に対し場当たり的な最悪の選択を取った。
「▲▲▲―――!」
マサキの全身から、今までとは比較にならない量の魔力が噴出する。
<開魂>……それは魂から溢れた余剰魔力でなく、魂から魔力を引き出し、全ての能力を上げる切り札であり、諸刃の剣。
使わないのが最善。能力の発動に最も力を使う為、発動したならば決着をつける。それが<開魂>を使える者の使い方である。
故に、そう……こうなるのは自明の理である。
迫る甲虫脚を噴き出す魔力で押しのけ、一度目同様に延長された長剣で斬りつける。上体逸らしによって余裕で躱されると、追撃に移ろうと一歩踏み出した瞬間、マサキの全身から力が抜け、その場で両膝を付いた。
「おや、もう限界ですか。魔力の運用が下手すぎますね」
瞬間的とはいえ日に二度の<開魂>は、底抜けのバケツから水が抜けるかのように、膨大だったマサキの魔力を吐き出させる。思う通りに動かない体に困惑するマサキであるが、今の状態が危険であることは明白。切り札が使えない事を悟ったマサキは壁に手を突き立ち上がると、這う這うの体で駆け出した。
「ッケ」
無様な姿で逃げ出すマサキの後ろ姿に対し、甲虫脚は追いかけるでもなく呆れたように息を吐く。
その呆れの意味に答える様に、路地裏から白い法衣が滑る様に現れると、マサキの進路を塞ぐ様に立ち塞がる。
「▲▲―――!!」
マサキは、怒りと苛立ちと絶望が混ぜこぜになった表情を浮かべながら、立ち塞がる白へ向けて怒声を上げる。そこには悪を裁き、勇者などともてはやされ、正義に燃えていた時の姿など完全に消え去っていた。
「……」
立ち塞がる白に、マサキは乱暴に斬りかかろうとするが、白が頭をすっぽり覆う頭巾を脱ぐと、マサキの動きがピタリと止まる。露になった白の顔に在ったのは、大小さまざまな人外の瞳の群れ。瞳の正体は、人工的に造られた多種多様な魔眼の群れだ。
瞳に収めるだけで効果を発揮するそれは、全てがマサキの姿を捉え、込められた魔力が心身を捕らえて放さない。必死に視線を逸らそうとするマサキであるが、能力が落ちた今の彼では、その拘束を解くことは叶わない。
「もう何もありませんか? 何もできませんか? 無様を晒す事しかできませんか? スペックが高くても、使い手がこれでは無用の長物とはこのことでしょうか。その力の使い手が貴方でなければ、まだマシだったでしょうね、勇者様?」
「~~~!」
失笑を交え煽り立てる布の白の言葉にプライドが傷つけられたのか、マサキは残り少ない力を振り絞る。
「……」
「ふむ、9ちゃんの拘束を振りほどけないとなると、もう限界のようですね」
「…………?」
「……確かに、思いの外簡単に拘束できたのは否めませんが、失敗するよりは良いでしょう。まぁ、結果オーライということで。他の手段も無い様子ですし、このまま捕獲すると致しましょう」
拘束する視線を引き千切るかの様に僅かに動くが、立ち止まっている事に変わりは無く、それは致命的な隙となった。
必死の形相で身体を捻り、無理やり魔眼の白から視線を外そうとする。隣の壁に背を向けたタイミングで、マサキに突如衝撃が襲った。
全身の力が抜け、自然と下がる視線の先。そには、マサキの腹から突き出す、金属の棒があった。
「▲▲?」
壁の奥から唸る様な稼働音と共に、返しが付いたそれがキリキリと巻き上げられ、マサキを壁まで引っ張り込む。すると、壁を突き破り重厚な金属塊が現れ、左右から抱きかかえる様に、両腕ごとマサキの腰をガッチリと固定した。
「……それもそうですね。捕縛する前に念のため、抵抗できない様に手足を取っておきましょうか。5ちゃん、やっちゃっていいですよ」
「▲? ▲? ▲?」
布の了承に応える様に、壁の奥から放たれる稼働音がいっそう激しくなる。
壁を削り、粉塵を撒き散らしながら現れたのは、分厚い金属板が上下に二本ずつ。縁を魔力の刃が高速で走り、触れた物体を削り取るそれは、壁を削りながらマサキへと迫り、両肩と両太ももに食い込んだ。
「▲―――!?」
ガリガリと表皮を削る魔力の刃は、止まることなくマサキが纏う魔力を削り取り、火花となって飛び散る。すり減った刃はすぐに補給され、欠けることなく、その切れ味を維持する。
正常時のマサキの防御力であれば、余裕をもって防ぐことができただろうが、それはもう叶わない。纏った魔力は局所的に削られ回復速度を超え、とうとう火花に代わり血粉が舞った。
「▲▲▲―――!!??」
言葉の意味が伝わらなくとも分かる……悲痛な悲鳴をマサキは上げる。
舞い散る血肉。骨を削る異音。魔力は既に底を突き、魔眼による拘束も相まって足掻くことすら許されない。足掻く力も手段も仲間もない、誰が見ても完全な詰みである。布の白と言えば、捕らえた獲物を如何運び管理するか、次へと思考を移していた。
そんな中、マサキが抱いていた感情は、後悔でも諦めでもなく、理不尽な現実に対する憎悪だった。自分は正しいのだと根拠のない確信を元にした、思い通りに成らない世界に対する怒りだった。
「▲▲▲―――!!??」
……その身勝手な思いが、マサキに都合のよい展開を引き寄せる。人はそれを、奇跡と呼ぶのかもしれない。
何かに目覚めたかのように、マサキから突如魔力が溢れ出す。手足を削り取る刃を押し返し、抑え込む魔眼を弾き、拘束する金属塊と腹に刺さった銛を力任せに引き千切る。
「ッチ」
「よしなさい!」
布の制止が入るよりも早く、甲虫脚が拘束から解放されたマサキへと迫る。だがマサキは、甲虫脚の一撃すら片手で受け止め、剰え鷲掴みにすると、甲虫脚ごと振り払い投げ飛ばしてみせる。
「……ッケ!」
投げ飛ばされた甲虫脚は、器用に体をくねらせ四本の脚で着地する。苛立たしげに舌打ちすると、捕まれた際にひしゃげた【貫杭破槌】を放り投げ、すぐさま懐から新たな獲物を引っ張り出す。同じく戦槌の形をした長物だが。柄頭の形状が異なる別物である。
全快時以上のマサキの力に、これは予想外と、布が撤退を視野に入れた指示を方々に飛ばす。<念話>による指示は瞬時に白達に伝わり、甲虫脚も押し留まる。
対してマサキは餓えた獣の様に、焦点が合わず揺れ動く瞳をギラつかせ、呼吸荒く周囲を睨む。見るからに正常な状態ではないマサキは、神々しさすら感じる汚らわしい魔力を振り撒いていた。
到底近づきたいとは思えないその気配は、特に彼女たちにとっては神経を逆なでされる思いだろう。放たれるその悍ましい気配は、ケルドに酷似したモノだったからだ。
いや、それよりももっと酷い。ケルドを煮詰めて濃縮した、原液をぶちまけたかの様な濃厚な気配。
恥辱し、侮蔑し、世界を汚染して行く……この世界に生きる全てのモノに、嫌悪と憎悪を抱かせるに十分な、世界の敵だった。
世界に存在する事すら許せない。とにかく全力で排除したい衝動に駆られる白達であるが、布の指示には逆らわず、じりじりとマサキとの間に距離を取る。
他者に依存することで、如何にか人格を維持している者達。抗いがたい衝動であろうとも、精神的支柱となっている強靭な精神を持った狂人の指示決定には逆らわない。そうでなければ彼女ら白は、感情に呑まれ、壊れ、人として存在できないのだ。
彼女たちが壊れない為の、そして暴走しない為のストッパーでもある布は、どうしたものかと思案する。
正直なところ、自分達白で対処できるレベルでない事は既に判っていた。どれだけ上手く立ち回ろうと、上手く捌こうとも、生身の人が重機を抑えられないのと同じで、今のマサキは、出力的に対処不可能な相手であると結論が出ていた。
それと同時に、安易に捕らえ運び込まなかった事に安堵もしていた。こんな化け物を恩主と慕うダンマスやその眷属の下へと献上していたと考えると、身の毛がよだつ思いだった。あの方々であれば、御することも容易かもしれないが、それとこれとは別である。事前に分かっているのとそうでないのとでは、対処の難度が桁違いだからだ。
もうこれは、上に救助を求めるしかないかと、情けない気持ちが広がる中、マサキの視線が布へと向けられる。
これは死んだかと簡単に覚悟を決め、迷宮への救助要請を出す。今までの戦闘や相手の特徴など、分かっている範囲での情報は既に送信済み。ここでの情報が失われることはもうない。役目としては十分だろうと思いつつ、最後に何か引き出せないかと、布を波打たせ、あえて自らマサキへと距離を詰める。
反撃も攻撃も回避も考えず、相手の行動をその目に焼き付け、情報として送る為……それはそれは、相手からしたらさぞ不気味に映った事だろう。何かされるのではないのかと、勘繰るぐらいには。
打ちのめされた経験は、怒りを恐怖に、押さえつけられた経験は、開放感を疑念に塗り替える。
またやられるのでは? 痛い思いをするのでは? 余裕があるから簡単に振り解けたのでは? 疑心暗鬼に呑まれたマサキの瞳から力が失われ、疑念と恐怖が渦巻く。
対して布は、マサキの様子が変わったことに気付き、コテンと首をかしげる。余裕すら見えるその動作に、ますます怯えを抱いたマサキは、衝動のままに……一目散に逃走した。
「………………5ちゃん?」
「……無、り」
「5ちゃんの馬力でも抑えられませんでしたか、では物理的に抑えるのは不可能でしたね。9ちゃんは?」
「……」
「あら、<精神魔法>も<幻覚魔法>も<鑑定>も通りませんでしたか。まぁ、あれだけ魔力が噴き出していては、魔眼であろうとも魔力そのものを弾いて干渉できないでしょうし、仕方がないですね」
しばしの沈黙の後、布が口を開き、他の白に先ほどの戦闘の確認を取る。
壁の奥から5と呼ばれた白が、引き千切られたペンチやチェーンソーに酷似した各種装備を体の中に仕舞い込みながら顔を出し、9と呼ばれた魔眼の白が、路地裏からひょっこりと顔を出す。
分かっていた事ではあるが、全員無事な姿を見る事ができたことで、布の白は安堵の溜息を零す。
「ッケ」
「1ちゃん……気に入っていたのは分かるけど、諦めなさい。修理して貰えばいいことでしょう?」
「……ン」
「修理費も無いの? ……散財する癖、治した方がいいわよ」
1と呼ばれた甲虫脚の白は、ひしゃげた【貫杭破槌】を拾い上げ、物悲し気に肩を落とす。直せばよいだろうと布は言うが、その言葉に決まり悪気にぼそりと返す。
因みに、散財理由は先ほど引っ張り出した新しい魔武器だったりする。彼女たちが持つ武器道具は全て有料で、当然修理にも金がかかる。
他と比べても給金はそれなりに貰っているのだが、抑えの効かない彼女たち。当然の様に欲望にも忠実なものが多いのだ。
5と9が1を囲み、慰める様にわちゃわちゃしているが、1が物悲し気に視線を向けると、二人共一斉に視線を逸らす。金の貸し借りをする気はないらしい。
「はぁ、しかし最後のあれは何だったのでしょう。あの出力で襲われなかった事を喜べばよいのか、逃した事に落胆すればよいのか」
張りつめていた空気が弛緩するのに合わせ、布が大きく息を吐く。
逃した獲物は大きいが、損傷は軽微……彼女たち白からすれば、恩主に被害が出なければ全て軽微である。なので、危険人物の情報を得られた分、収支はプラスかと、結論付ける。
「お~い!」
丁度その時、避難誘導を終えた衛兵が白たちの下へと駆けつける。
あの逃走速度では、追いかけるのも無理かと判断した布は、周囲の警戒と避難した市民の警護にでも当たるかと、他の白に指示を出す。
「あぁ、そういえば」
先ずは、簀巻きにしたまま忘れていた重症人を、引き渡す事から始める布であった。
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とは言え、銃を使うことはプロでも造るのは全くの素人である石動は、「渡り人」のスキルや周りの人たちに助けられつつ、試行錯誤し苦労しながら鉄砲鍛冶の道を歩んでいくことになる。
本人は自覚せずとも新兵器である銃の影響は大きく、それにより石動の運命も変わっていくのだった・・・・・・。
*ガンマニアのおっさんが自分が読みたいと思う小説を書いてみました。
色々と読みずらい点もあるでしょうが、広い心で楽しんでいただけると嬉しいです。
また、本職の自衛官やハンターの方にはご不満な点もあると思いますが、御寛恕願います。
ガチのマニアの方には物足りない点もあると思いますが、一般の方が読んで退屈しないよう、マニアックな部分は出来るだけ軽い描写で済ませている事をご理解ください。例えばライフルのサイトインなど細かく書くと普通の人は読み飛ばすと思いましたので・・・・・・。
それでも読みにくいのは筆者の力量のせいです。
火薬や雷管など化学物質の描写もわざと暈したり、必要な成分を書かなかったりしています。
筆者の知識不足もありますが、自己規制のためとご理解願います。
*「小説家になろう」「カクヨミ」様でも公開中の作品を加筆修正したものです。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
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小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
【毎日更新】元魔王様の2度目の人生
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カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております!
森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~
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運命に裏切られた少年が、暴力と脅迫で世界をねじ伏せる! 不遇から始まる、最強無双の異世界冒険譚!
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転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます
藤なごみ
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※コミカライズスタートしました!
2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です
2023年9月21日に第一巻、2024年3月21日に第二巻が発売されました
2024年8月中旬第三巻刊行予定です
ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。
高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。
しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。
だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。
そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。
幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。
幼い二人で来たる追い出される日に備えます。
基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています
2023/08/30
題名を以下に変更しました
「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」
書籍化が決定しました
2023/09/01
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2023/09/06
アルファポリス様より、9月19日に出荷されます
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2024/3/21
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