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267 冒険者⑤(迷宮)
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近くに来ると、塔の大きさが良く分かる。
直径数十メートル、全長数百メートル。正確な規模は分からないが、見た事のない建築様式の塔は、新築の様であり、どっしりと大地に聳えていた。
入り口と思われる場所から中の様子を窺えば、広大な広場。視線を上に向ければ天井は無く、この塔が筒状である事が分かる。そして壁には、上と地下に向かう螺旋状階段と、シンプルな構造となっていた。
「完っっっ全に、人工物ね」
「近づくに連れ薄くなる魔力濃度に、入った途端に急激に上がる濃度。迷宮の特徴ですわね」
「あぁ、魔物の気配が減ったのは、それが原因か。気配が無い訳じゃないから、弱い魔物の避難空間になっているみたいだな」
迷宮には、周囲の魔力を吸い溜め込む性質がある。コアの生成とその地の修復に魔力を使う為だ。魔力の出入り口となる部分から、呼吸する様に不要となった魔力が漏れ出す事はあるが、周辺の魔力濃度が下がるのが常である。
また、ダンジョンや迷宮と聞くと魔物が溢れる危険地帯と勘違いする者が多いが、すべてが危険な訳ではない。寧ろ何もしなければ、知らぬ間に消えている。危険と言われるものは、大概が外敵に襲われたコアが自己防衛を行うようになったものだ。
つまり、資源目当ての人が原因であり、人が刺激していないダンジョンは、案外安全なのである。極偶に、魔物や野生動物が原因で、防衛機構を持つダンジョンもあるが、それは入って来ない様にするのが主で、殺そうとするのは稀である。
但し、補修の為に大量のエネルギーを必要としている場合は別であるが……。
「逃げる準備、よし! <結界>良し!……入るわよ」
何処から何が来るか分からない現状、全方位に<結界>の防御を張れるマリアが、先ず塔に入り……途端に、周囲の空気が重くなる。
塔の外部と内部での魔力濃度の差に躊躇するマリアであるが、濃度自体はそれ程でも無いと、そのまま歩を進める。
「……ふぅ、大丈夫そうね。見られている気配も<鑑定>されている気配もないわ」
マリアの言葉に、危険なダンジョンでは無いだろうと、他の者たちも塔の中へと足を踏み入れる。その後は広場の探索だ。
先ずは気になっていた地下へと続く階段を見るが、魔力濃度はそれ程高くない事が分かる。これであれば、突然強力な魔物が現れる事は滅多にないだろう。それでも絶対ではない? そんなモノ、気にしていたらきりがない。
ここまで来たなら、安全な範囲をできるだけ確認しておきたいと、彼等は先ず狭い地下では無く、視界が開けており、最悪飛び降りれば逃げられそうな上の確認に向かう。
「てか、この、はぁはぁ、階段、何処まで、有るのよ!?」
「それは当然、頂上までですわよ。マリアさん」
「ふぇん」
魔力の流れに淀みも無い為、魔力で動く迷宮特有のトラップの類も見当たらず、外と違い生き物の気配も無いので、本当に何も起きることなく、無事に塔の頂上に到着する。
登り切った彼等を出迎えたのは、頬を撫でる優しい風と、日光とは異なる淡い光。地上と同じく開放的な広間となっていた頂上は、壁の代わりに腰ほどの高さの柵が外周を囲い、幾本もの柱が一定間隔で天井を支えていた。その為視界を遮るものが殆ど無く、外の風景を一望できる造りとなっていた。
何より目立つのは、天井中央に生えた巨大な水晶だろう。周囲の魔力を吸収し、淡い光を放つそれは、彼等の記憶にも新しい物質であった。
「おぉ……すげぇ」
「こんな大きな【魔力結晶】……驚きですわ」
この地で初めて発見された物質である【魔力結晶】。当然の事、冒険者である彼等が知らない訳が無い。その希少性と巨大さが相まって、嫌でも目を引くこととなる。
「……あれ、なに?」
そして、結晶の真下……広場の中心にこれ見よがしに置かれた、巨大な結晶球が目に入るのは、当然ことだっただろう。
無色透明な結晶球の表面には、所々に色や模様が映し出され、中には小さな球形の結晶が浮き、巨大な【魔力結晶】から放たれる光を反射していた。
「あれ……滅茶苦茶怪しいんだけど」
「かと言って、他に見る物も無いですわよ」
「ちょっと待って、<鑑定>するから……【9番塔認証端末】と【9番塔通行証】?」
対象が生物では無いと言う事で、ララが結晶に対し<鑑定>を仕掛ければ、全く予想外の結果が出る。対して、【9番塔の通行証】と出た浮遊する小さな結晶は、鑑定に反応したのか、【9番塔認証端末】と出た巨大な結晶球から出ると、ゆっくり移動し彼等の目の前で停止した。
「「「……」」」
怪しい。滅茶苦茶怪しい……が、害意ある気配は感じなかった彼等は、まじまじと結晶を見やる。
意を決したロットが手を出せば、まるでどうぞと言っているかの様に、小さな結晶球こと【9番塔の通行証】はぽとりとその手中に収まった。
「自然物じゃぁ……無いよな。鑑定結果からして、物質じゃ無くて魔道具の一種だとは思うけど」
「【9番塔の通行証】……問題は、何処を通る為の証なのか? ですわね」
扉も門も無い開けた空間を見ても、この証を使えるそれらしいものなど見当たらない。そんな中、巨大結晶球を眺めていたロビンが、表面に浮いた模様を指さしながら、ポツリと呟いた。
「地、図?」
ロビンの言葉に、視線が集まる。
薄緑色で塗られた場所の中心に赤丸と、その上下には灰色の丸が描かれ、その左には濃い緑色とその色を上下に割る様に黒い線が引かれ、更に左に行けば薄茶色が広がり、青丸が描かれていた。
「この赤丸が、今居る塔。その周囲の薄い緑が、草原。その左の濃い緑が、森。森の中にある黒い縦線が、谷」
「距離も分布も、ほぼ同じか?」
ロビンが結晶の模様を横にスライドさせながら順に説明すれば、自分達が辿って来た道中と、結晶の模様が頭の中で合致したのか、ロットがロビンの考察に参加する。
「そうすると、上が北、下が南。黒い縦線の左の青丸は……距離からして、探索拠点の付近じゃないか? ん?」
そして、ロットが青丸模様を指さすと、それが合図になったのか、青丸の近くに文字が浮かび上がる。
「転移塔……外周18番?」
― ピコン ―
「え?」
浮かび上がった文字を読み上げると、室内に聞きなれない音が響き、天井の巨大【魔力結晶】が光り輝く。その光は天井を伝い、柱を伝い、床に幾何学模様の光となって浮かび上がる。
「魔術陣!?」
「マジかよクソ!?」
逃げる間もなく眩い光が包み込むと、一瞬の内に視界が切り替った。
「……転移、トラップ?」
穏やかな風の音色の代わりに彼等の耳に届いたのは、人々が慌てふためく喧騒。
柵から外を覗けば、先ほど彼等が居た塔よりも小さいながらも、立派な塔の頂上に居る事が分かる。
そして、大体の位置も把握する。そこは、彼等が探索の拠点としている町のど真中であった。
「あれって、やっぱりダンジョン……なんだよね?」
「だ、ろう、な……って事は、この塔もダンジョンなんだろうけど。いつの間にできた? 俺等がここを出た時には、こんな分かりやすいもん無かったぞ?」
事前に準備し、早朝に移動を開始した彼等は、事前のルート選択と持ち前の身体能力を生かし、無駄なく進行した彼等は当日の内に、塔へと辿り着いたのだ。
つまりこの塔は、一日と経たない内に建てられた事となる。それは、人の手に余る所業である。
「う~む、転移はともかく、ここに飛ばされるとは思っとらんかったわい」
混乱する弟子達を余所に、傍観を決め込んでいた【破壊者】が口を開く。その言葉に周囲を見渡せば、この塔が、探索拠点の中でも何処に位置しているかを知る事となり、更に彼等を困惑させる要因が浮かび上がる。
「…………ここら辺って、真面な店が無かったところじゃ?」
「確かに。バラン商会とその子会社以外の、クソ店しか無かったところだな」
「立地的に交通の便が良くて、おかしいと思っていたので、私も覚えています」
「成る程、この塔が立つことが分かっとったから、誰もここに店を構えんかったのか。納得納得、ガハハ!」
嫌な予想に顔が引きつる弟子4人を余所に、【破壊者】が何の気なしに彼等の懸念を口にする。それは、バラン商会がこの塔の存在を知っていた事に他ならず、ダンジョンの一部と思われるこの塔の出現を知っていた事を意味する。
こんな情報を手に入れられる者が、普通な訳が無かった。
「これを利用できれば、移動が楽になるわい!」
……気付いているのかいないのか、はたまた些細な事でしかないのか……不安を抱く弟子とは打って変わって、便利になったと喜ぶ【破壊者】であった。
直径数十メートル、全長数百メートル。正確な規模は分からないが、見た事のない建築様式の塔は、新築の様であり、どっしりと大地に聳えていた。
入り口と思われる場所から中の様子を窺えば、広大な広場。視線を上に向ければ天井は無く、この塔が筒状である事が分かる。そして壁には、上と地下に向かう螺旋状階段と、シンプルな構造となっていた。
「完っっっ全に、人工物ね」
「近づくに連れ薄くなる魔力濃度に、入った途端に急激に上がる濃度。迷宮の特徴ですわね」
「あぁ、魔物の気配が減ったのは、それが原因か。気配が無い訳じゃないから、弱い魔物の避難空間になっているみたいだな」
迷宮には、周囲の魔力を吸い溜め込む性質がある。コアの生成とその地の修復に魔力を使う為だ。魔力の出入り口となる部分から、呼吸する様に不要となった魔力が漏れ出す事はあるが、周辺の魔力濃度が下がるのが常である。
また、ダンジョンや迷宮と聞くと魔物が溢れる危険地帯と勘違いする者が多いが、すべてが危険な訳ではない。寧ろ何もしなければ、知らぬ間に消えている。危険と言われるものは、大概が外敵に襲われたコアが自己防衛を行うようになったものだ。
つまり、資源目当ての人が原因であり、人が刺激していないダンジョンは、案外安全なのである。極偶に、魔物や野生動物が原因で、防衛機構を持つダンジョンもあるが、それは入って来ない様にするのが主で、殺そうとするのは稀である。
但し、補修の為に大量のエネルギーを必要としている場合は別であるが……。
「逃げる準備、よし! <結界>良し!……入るわよ」
何処から何が来るか分からない現状、全方位に<結界>の防御を張れるマリアが、先ず塔に入り……途端に、周囲の空気が重くなる。
塔の外部と内部での魔力濃度の差に躊躇するマリアであるが、濃度自体はそれ程でも無いと、そのまま歩を進める。
「……ふぅ、大丈夫そうね。見られている気配も<鑑定>されている気配もないわ」
マリアの言葉に、危険なダンジョンでは無いだろうと、他の者たちも塔の中へと足を踏み入れる。その後は広場の探索だ。
先ずは気になっていた地下へと続く階段を見るが、魔力濃度はそれ程高くない事が分かる。これであれば、突然強力な魔物が現れる事は滅多にないだろう。それでも絶対ではない? そんなモノ、気にしていたらきりがない。
ここまで来たなら、安全な範囲をできるだけ確認しておきたいと、彼等は先ず狭い地下では無く、視界が開けており、最悪飛び降りれば逃げられそうな上の確認に向かう。
「てか、この、はぁはぁ、階段、何処まで、有るのよ!?」
「それは当然、頂上までですわよ。マリアさん」
「ふぇん」
魔力の流れに淀みも無い為、魔力で動く迷宮特有のトラップの類も見当たらず、外と違い生き物の気配も無いので、本当に何も起きることなく、無事に塔の頂上に到着する。
登り切った彼等を出迎えたのは、頬を撫でる優しい風と、日光とは異なる淡い光。地上と同じく開放的な広間となっていた頂上は、壁の代わりに腰ほどの高さの柵が外周を囲い、幾本もの柱が一定間隔で天井を支えていた。その為視界を遮るものが殆ど無く、外の風景を一望できる造りとなっていた。
何より目立つのは、天井中央に生えた巨大な水晶だろう。周囲の魔力を吸収し、淡い光を放つそれは、彼等の記憶にも新しい物質であった。
「おぉ……すげぇ」
「こんな大きな【魔力結晶】……驚きですわ」
この地で初めて発見された物質である【魔力結晶】。当然の事、冒険者である彼等が知らない訳が無い。その希少性と巨大さが相まって、嫌でも目を引くこととなる。
「……あれ、なに?」
そして、結晶の真下……広場の中心にこれ見よがしに置かれた、巨大な結晶球が目に入るのは、当然ことだっただろう。
無色透明な結晶球の表面には、所々に色や模様が映し出され、中には小さな球形の結晶が浮き、巨大な【魔力結晶】から放たれる光を反射していた。
「あれ……滅茶苦茶怪しいんだけど」
「かと言って、他に見る物も無いですわよ」
「ちょっと待って、<鑑定>するから……【9番塔認証端末】と【9番塔通行証】?」
対象が生物では無いと言う事で、ララが結晶に対し<鑑定>を仕掛ければ、全く予想外の結果が出る。対して、【9番塔の通行証】と出た浮遊する小さな結晶は、鑑定に反応したのか、【9番塔認証端末】と出た巨大な結晶球から出ると、ゆっくり移動し彼等の目の前で停止した。
「「「……」」」
怪しい。滅茶苦茶怪しい……が、害意ある気配は感じなかった彼等は、まじまじと結晶を見やる。
意を決したロットが手を出せば、まるでどうぞと言っているかの様に、小さな結晶球こと【9番塔の通行証】はぽとりとその手中に収まった。
「自然物じゃぁ……無いよな。鑑定結果からして、物質じゃ無くて魔道具の一種だとは思うけど」
「【9番塔の通行証】……問題は、何処を通る為の証なのか? ですわね」
扉も門も無い開けた空間を見ても、この証を使えるそれらしいものなど見当たらない。そんな中、巨大結晶球を眺めていたロビンが、表面に浮いた模様を指さしながら、ポツリと呟いた。
「地、図?」
ロビンの言葉に、視線が集まる。
薄緑色で塗られた場所の中心に赤丸と、その上下には灰色の丸が描かれ、その左には濃い緑色とその色を上下に割る様に黒い線が引かれ、更に左に行けば薄茶色が広がり、青丸が描かれていた。
「この赤丸が、今居る塔。その周囲の薄い緑が、草原。その左の濃い緑が、森。森の中にある黒い縦線が、谷」
「距離も分布も、ほぼ同じか?」
ロビンが結晶の模様を横にスライドさせながら順に説明すれば、自分達が辿って来た道中と、結晶の模様が頭の中で合致したのか、ロットがロビンの考察に参加する。
「そうすると、上が北、下が南。黒い縦線の左の青丸は……距離からして、探索拠点の付近じゃないか? ん?」
そして、ロットが青丸模様を指さすと、それが合図になったのか、青丸の近くに文字が浮かび上がる。
「転移塔……外周18番?」
― ピコン ―
「え?」
浮かび上がった文字を読み上げると、室内に聞きなれない音が響き、天井の巨大【魔力結晶】が光り輝く。その光は天井を伝い、柱を伝い、床に幾何学模様の光となって浮かび上がる。
「魔術陣!?」
「マジかよクソ!?」
逃げる間もなく眩い光が包み込むと、一瞬の内に視界が切り替った。
「……転移、トラップ?」
穏やかな風の音色の代わりに彼等の耳に届いたのは、人々が慌てふためく喧騒。
柵から外を覗けば、先ほど彼等が居た塔よりも小さいながらも、立派な塔の頂上に居る事が分かる。
そして、大体の位置も把握する。そこは、彼等が探索の拠点としている町のど真中であった。
「あれって、やっぱりダンジョン……なんだよね?」
「だ、ろう、な……って事は、この塔もダンジョンなんだろうけど。いつの間にできた? 俺等がここを出た時には、こんな分かりやすいもん無かったぞ?」
事前に準備し、早朝に移動を開始した彼等は、事前のルート選択と持ち前の身体能力を生かし、無駄なく進行した彼等は当日の内に、塔へと辿り着いたのだ。
つまりこの塔は、一日と経たない内に建てられた事となる。それは、人の手に余る所業である。
「う~む、転移はともかく、ここに飛ばされるとは思っとらんかったわい」
混乱する弟子達を余所に、傍観を決め込んでいた【破壊者】が口を開く。その言葉に周囲を見渡せば、この塔が、探索拠点の中でも何処に位置しているかを知る事となり、更に彼等を困惑させる要因が浮かび上がる。
「…………ここら辺って、真面な店が無かったところじゃ?」
「確かに。バラン商会とその子会社以外の、クソ店しか無かったところだな」
「立地的に交通の便が良くて、おかしいと思っていたので、私も覚えています」
「成る程、この塔が立つことが分かっとったから、誰もここに店を構えんかったのか。納得納得、ガハハ!」
嫌な予想に顔が引きつる弟子4人を余所に、【破壊者】が何の気なしに彼等の懸念を口にする。それは、バラン商会がこの塔の存在を知っていた事に他ならず、ダンジョンの一部と思われるこの塔の出現を知っていた事を意味する。
こんな情報を手に入れられる者が、普通な訳が無かった。
「これを利用できれば、移動が楽になるわい!」
……気付いているのかいないのか、はたまた些細な事でしかないのか……不安を抱く弟子とは打って変わって、便利になったと喜ぶ【破壊者】であった。
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