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137 神様、和解しました

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「―――なので、まずは自分と相手の立場、力関係の確認が最も大事です。それによって、要求のできる範囲と、された時の限度がある程度分かります」
「ふむふむ」
「それに、相手を偏見や格下だからって、初めから見下すのはいただけません。そう言った感情は、言動の所々に滲み出ますよ? 勘の良い人なら、普通に気が付きます。気を付ける事です」
「……うん」
「今回の件だってそうです。俺の事を格下の下等生物だと思って、保険も掛けずに来たんでしょう? 俺じゃ無かったら、殺されてもおかしくないですよ?」
「うぐぅ」
「繋がりを切断された時点で、今までの態度から、命乞いや交渉はほぼ不可能。その切れた繋がりを辿れば、本体の所にも辿り着けるかもしれません。そうなれば、そのまま力を奪う事もできる。まぁ俺は、神格になる事に興味は無いですから、そんな事はしませんが」
「あ˝い! ありがどうございま˝す!」

説教している訳では無いんですけどね~……アドバイスですよ、そんなに怯えなくても良いでは無いですか。

先ほどから、感情の芯の部分に怯えがこびりついて仕舞っているんですよね~。一種のトラウマみたいなものになって仕舞っている。敵意はもう無いんですけどね~。

~ 再起動完了、スタートアッププログラムを始動 ~
~ マスター権限を魂の繋がりより検索……検索完了 ~
~ 魂の波長ソウル・コード参照……参照完了 ~
~ マスターを再設定致します。おはようございます、マスター ~

「はい、おはようございます、コアさん。早速で悪いですけど、この空間の切断の解除、お願いできませんか?」

~ 了解致しました。空間遮断を解除致します ~

「え……いいの? 僕の繋がりも戻るよ?」
「え? 敵対するんですか?」
「いやいやいやいやいや!! しないよ!?」

全力で首を横に振りながら、否定するショタ神様。
ですよね~。外だけでなく、内側にまで敵を作るのは避けたいでしょうしね。

既に俺達は、世界規模でヤバい状態って事で、一時休戦中にまで関係は戻っている。
やり方はあれでしたが、あれはショタ神様の同僚の方がクズだっただけで、ショタ神様自体はとっても素直な方でした。自身も言っていましたが、本当に若いんでしょうね、見た目通りの年齢(5~10歳)として扱う事にしました。

なので、先ほどの対応も若さゆえの過ち。過剰反応。教えを請うた相手が悪かったって事で、おとがめなしって事で。ちゃんと反省して、考えを改める柔軟さも持ち合わせていますからね、将来に期待と致しましょう。

―――

ムシャムシャ、ボリボリ、ズズズズ、ゴックン

「美味しいですか?」
「うん、食べるなんて行為、普段全くしないからね」
「あぁ、神格同士から生まれたんでしたね、生まれた時から神格なら、食事って習慣は無いって事ですか」

神格の方々の食事は、ズバリ世界から回収した魂なんだとか。
しかも、魂にも品質や種類があり、燃料に適していたり食料に適していたり、世界によって、味が変わったりするらしい。
そんな事も有り、物々交換ならぬ、魂交換が派閥間で行われているだとか。

道具に、燃料に、食料に通貨にと、本当に魂は万能ですね。

「他に聞きたいことはある?」
「う~ん、神様の営みが、殆ど人と変わらないのも分かりましたし、こちらに危害を加える事が無い事も分かりました。後は、そちら次第ですかね?」
「じゃぁ、<使徒>になって!」
「まぁ、良いですけどね、そうすれば関係者以外に話した事実は消せるかもしれないですし。契約内容は、こちらで作らせて頂きますよ?」
「うん!」


①契約者(以降甲)が開示した情報に対して、被契約者(以降乙)は、下界に対しての情報開示を禁止するモノとする。
②甲に対して、乙は虚偽の申請を禁止する。
③乙に対して、甲は虚偽の申請を禁止する。
④甲は、乙に対して、称号≪使徒≫を与える。


絶対服従の箇所以外はほぼ同じです。此方から求めることも無いですしね。俺は、今の生活に満足しています。

「そんなので良いんだ。あ、<使徒>の箇所、レベル5って加えておいて。ダンジョンのセキュリティークリアランスレベル5相当になるから」
「ほうほう、レベル6以上は?」
「そこからは、契約を結んだ神格から<使徒>持ちに対して、命令権が発生するから」
「おや、命令権、欲しくないのですか?」
「君を敵に回す方が怖いわ!」

ちなみに、レベルが上がるかどうかは、称号持ちの方で拒否できるんだとか。なら安心ですね、レベル1~5は情報量以外変わらないみたいですし。

「ほい、どうぞ」
「わーい、<使徒>ができた~♪」
「随分嬉しそうですね?」
「≪使徒≫は、神格が下界に干渉する為の手段の一つだからね。あって困る事じゃ無いよ。悪用する奴は、称号剥奪すればいいだけだしね」
「あぁ、放置って訳では無いんですね、安心しました。因みに<使徒>が増えたではなく“できた”って事でしたが、他に≪使徒≫の称号を持った方はいらっしゃいますか?」
「……」

お~い、目線を逸らさない。それは認めているのと同義です。

「う~、仕方が無いじゃ無いか! この世界が初めての担当なんだから!」

そんな気がしていました。てか、担当も初めてでしたか。

俺より長生きしていると言っても、精神年齢も肉体年齢も子供。子供が困っているのを放置するのは、忍びない。
周りに碌な仲間もいなさそうですし……仕方がないですね。

「それで、俺は何をすればよいのですか?」
「え? て、手伝ってくれるの?」
「できる限りの事はしますよ。俺が住んでいる世界の事ですからね、住み心地が良い空間(世界)にしたいじゃないですか」

もともと、手伝うこと位はする気でいましたからね、できる限りの事はしますとも。

「じゃぁ、今住んでいる場所の管理をお願い」
「それだけで良いのですか?」
「うん、丁度真上に大きめの穴が開いているんだ。そこにダンジョンが有ると力が漏れ出し難くなるから、その間に他の場所の修理を優先するよ」
「こちらは、今まで通りで良いって事ですね。他には?」
「そうだな~……魔物の種類をもっと増やして、今いる魔物は殲滅してくれるとありがたいかな?」

今いる魔物は、野蛮派の連中が侵入した時、世界からエネルギーを搔き集めるために生み出した魔物が、世界に定着して野生化したものが大半なんだとか。外来種かな?

「元から居た魔物は居ないのですか?」
「居るにはいるけど、殆どいないんだ。だったら、全てを一掃してから、新しく真面な魔物を創りなおした方が速いよ。普段そんなことできないけど、丁度適任者がいるからね」

神が言う殆どですか……信用できませんね。自然に淘汰されるのは仕方が無いとして、意図的に処理するのであれば、如何にか見分ける方法はないもんでしょうか?

「う~ん、5000年前のデータを検索出来れば…………………あ、あった」
「有るんかい、良く残っていましたね」
「うん、襲われた時に、バックアップを取っていたみたい……だけど、これは、取ったのは襲われてから、時間が経ってからみたいだね、残っているのが敵の情報だけっぽい」

あら、残念。元の魔物の情報が残っていたら、再生できたかもしれないのに。

「まぁ、生物なんて、進化と絶滅を繰り返して、繁栄するもんだからね。そこは仕方が無いよ」
「そうですね……その敵の情報を、コアさんの方に回せませんか? 目につく相手位なら、駆除しておきますよ」
「うん、お願いね。情報量が多いから、検索できるようにしておくね」

おぅ、気が利きますね。意外と、将来は有望かな?
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