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135 神様と世界の在り方

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先ずは、この世界の大雑把な説明から。

彼等神がいる世界を表現するとしたら、魔力の海、宇宙と言った感じらしい。
その魔力に満ちた空間に、それこそ星の様に、数多の世界が点在しているんだとか。

イメージとしては、宇宙の宇宙? 数多の世界が存在する宇宙? ……かな?
そこに住むのが、彼等神……神と言われる種族だそうだ。

彼等がやっていることは、エネルギーを大量に含んだ世界や、その素質を持った世界を見つけ、管理する事。
主にやっていることは、他の世界から魂を持ってきたり、道を結んで、魂を他の世界とで循環させたりと、成長を促したり、何もない世界の基礎に生物の概念を加えたりすることらしい。テラフォーミングかな?

世界が成長するとは、保有することができるDPの量が増えることを表す。
活動を始めた世界は、周囲に根を伸ばし、周りの魔力が満ちた空間から、魔力を吸い上げる。ただそれだけだと、魔力を大量に含んだ世界になるだけだが、そこに魂や生物の概念が加わると、魔力を元に、生物が誕生しだす。

つまり、魔力をDPというエネルギーに変換するのだ。後はその魂を回収し、各々様々な用途に使用される。

また、その際に廃棄物として、瘴気と呼ばれるものが出る。
ちなみにこの瘴気、魔法を使うときにも出ている。魔法を発動させるための触媒として、生物から発生する意思、それが瘴気の正体だ。
世界に備わっている、瘴気を魔力や魂に変換し循環する機能は、本来これらを処理するためのモノ。それを神様は利用しているらしい。

彼等からしたら、世界は発電機……いや、畑に近いかな?

肥料(瘴気)、水(魔力)で土(世界)を整え、そこに種子(概念)を撒く。肥料と水から作物(DP)を生産し、それを収穫する。
食した後に出た、糞尿や残差などの廃棄物を堆肥(瘴気)とし、土(世界)に戻し再利用。
世界に戻すときは、元の世界ではなく、他の世界に戻す。

瘴気の元になる意思に種類がある様に、瘴気と言ってもその質は異なる。
同じ質の瘴気を何度も戻すと、処理能力に変調をきたし、世界環境の著しい変化を招くんだと。
あれですね、世界の栄養失調、連作障害。やっていることは、輪作みたいなもんですね。

彼等神が世界に干渉するのは、こういった関係からだそうだ。まぁ、派閥によってそのやり方は様々らしい。

効率を求めて、魂の成長と、回収のための死亡のサイクルを早める為に、戦争を意図的に起したりする、過激派。

色々な世界を繋いで、瘴気が偏らないようにした世界を大量に保有し、それ以上の干渉をしない、保守派。

更なる効率を求めて、実験を繰り返す、開拓派。

適度に管理して、適度に回収し、世界に負担をかけ過ぎないことをモットーにする、穏健派。

根こそぎ吸い尽くし、他者の領域だろうと自分勝手に行動する、野蛮派

細かく分ければもっとあるが、大まかに分けてこんな感じ。ちなみに、ショタ神の派閥は穏健派。
……これだけ聞けば、良い所に転移したと思うんですけどね~、直属の管理者がこれじゃ……。

「ぐすん……」

ちなみに神と言っても、その力最下級から最上級まで様々。
階級別けをしている理由もあり、強すぎる神に下級の神が接触すると、その存在に焼かれて消えてしまうんだとか。階級が一つ上位までが目安で、それに合わせた階級分けになっているらしい。
今回、ショタ神様が会った上級神は、分身体の方だったので問題なかったとの事。それでも、下級神レベルだったらしいけど。

そしてその神格だが、生まれ方は大まかに二種類。
神格同士の間に普通に子を設けるか、大きく成り過ぎて世界に収まらなくなり、世界の殻を破って外に出て来るかの二種類。

一つ目は良いですね、そのまんまです。ショタ神もこれらしい……後で、親に文句でも言ってやろうか?
二つ目は、レベルが上がり過ぎて、一つの魂にエネルギーが集まり過ぎ、世界のバランスが崩れたり、強くなり過ぎた奴が、世界が纏っている殻をぶち破って、外に出て来て生まれる。世界を殺し、その力を全て喰らって外へと出て来る事も有るらしい。
まぁ、神と言っても、このショタ神を見て分かる通り、精神構造は神格に成る前とほとんど変わらない。獣ならそのまま獣。人なら、そのまま人の精神構造をしたまま神格に成る。

そして、世界から神格が生まれる時、その世界にはかなりの負担がかかる。
エネルギーが外に出ていくことになりますし、殻を破られたら、そこから出血の様に力が漏れ出す。放置すれば、そのまま崩壊する。
それを直すのも、彼等の仕事なのだとか。また、それを専門にしている神格も居るんだと。
……こんなショタに任せないで、専門に任せればよかったのに。

「とうとう神も無くなった……」

派閥内でどうにかなるなら、自分たちでやるのが普通みたいですけどね。料金がバカ高いんだとか。瀕死の世界か、お気に入りの世界以外は、滅多に頼らないんだと。

そして今回の一件は、そんな神格に成りたての、自分が神だと思い上がった野蛮派連中によって起こされた事なのだとか。

ある世界に、生まれたての最下級神格が接近した。獣型の神格で、本能に任せて世界を食おうとしたと思われる。
その時、その世界を管理していた下級神は休眠中で、生まれたての最下級の神格の存在に、気が付くことができなかった。
そしてその神格は、世界の殻を破り、侵入を果たす。それに気が付いた担当の下級神は、慌ててその侵入者を排除しようとした。

最下級の相手なら、すぐに排除することができる、それ位格の差は大きく出るのだが、それは世界の外での話。中にまで侵入されてしまっては、その力を十分に発揮できない。守るべき世界まで傷つけて仕舞うからだ。

上位の神格が、下位の神格を迎え入れるのは、こういった理由かららしい。
過激派とかだと、自分の配下を増やす為に、適当な世界に可能性のある魂を集めて、殺し合わせて、無理やり神格を作るとかもあるらしい。蟲毒かな?

そんな様子を見ていた野蛮派の神格たちは、何を思ってか、一斉にショタが所属する派閥の領地に、襲撃を掛けて来た。てこずっているのを見て、行けるとでも思ったんですかね?

一体二体ならどうとでもなったが、流石に群がられると、その一帯の管理を担当していた中級神とて、対処できなかった。
力が足りなかったのではない、力が強すぎて、世界に張り付いた相手を、攻撃できなかったのだ。
殆ど最下級神の為、所属していた下級神なら倒すことはできたが、無傷でとはいかず、数の差も、守るべき対象も有って、対処しきれなくなって仕舞ったんだとか。

そんな中、中級神が切れた。

下級神クラスの分身を大量に生成、各地の敵を殲滅して回ったらしい。それこそ、野蛮派の神格がねぐらにしている、最下位の世界にまで追い打ちを掛け、力尽きるまで叩きまくったんだとか。

「先輩、自分が管理している世界、すっごく大切にしているから」

……との事。

大量の分身を作った反動か、はたまた回収できたはずの力を、全て敵を潰すことに使った為か、現在力尽きた中級神は、休眠状態となっているらしい。

そんな事が起きたのが、今から五千年位前。

「そして、これが今のこの世界の状態ね」

映し出されたのは、丸い空間。

真球の星が中心に有り、その周りを月のように回る、衛星が一つ。空間を包む殻から外へ向かって、何本もの根の様なものが伸びており、周辺から魔力を吸い上げている。
この根が付いているところが、下界…内側から見ると、星として見えるらしい。

その世界だけで完結した、丸い世界。宇宙は……無いですね。

それだけなら、今までの話から正常な世界ように見えるが……うん、穴だらけである。地球で言うと、至る所にオゾンホールができているのをイメージすれば、分かりやすいかな? 世界を包む殻がボロボロに破壊され、そこから何かが漏れ出している。

「直さないんで?」
「できればやってるよ。今は傷口を塞いで、流出を最小限に抑えている。あまり急激に回復を促すと、世界の方が持たないんだ。少しずつ、時間をかけて治していかないと」

取り敢えず、峠は越えているとの事。これ以上何もなければ、悪化もしないから心配ないとか……悪化しないよね?

で、俺がこの世界に来た理由ですが。
漏れ出したエネルギーが元居た世界との繋がりに流れ、ここまでの道……上位世界から下位世界までの道、てか落とし穴を形成。
ゲームの選択肢を引き金にその扉が開き、この世界まで落ちてきたと。

つまり……纏めると……

「全部、野蛮派の奴らが悪い!」

との事らしい。

そうそう、今俺が居る世界は、本当に生まれたての世界らしい。ショタ神が言うには、生まれてから十億年程度との事。
元の世界の宇宙が生まれたのが、大体……140億年位前だったかな?
世界を創造している神格からしたら、そんなに変わらないのではと思いましたが、そんなことは無かった。
元居た世界に、宇宙って概念が生まれる前。そこには神話の時代があったらしく、その期間を合わせると比較にもならない時間が経っているんだとか。次元がちげぇ……。

因みに、話に出た上級神(当時下級神)たちが、自分たちが居る世界を参考に、世界内部に似たような空間、宇宙を創れないか取り組んだ結果らしい。俺達が居た世界の神格、半端ないですわ。
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