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46 貧乏性

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 アルトさんが掃除をしているうちに、ちょっとした実験をしておきましょう。

「何するなの?」
「ちょっと、魔力結晶の影響について、確認しておこうかと思いまして」

 魔力結晶は魔力を吸って、属性に合わせたものに魔力を変換する結晶なのですが、同じ場所に違う属性の結晶が有ると、どんな変化が起きるか、周辺への影響はどの程度か、水属性は見ましたけど、他の属性は知ってからじゃないと、散布は出来ないでしょう。

「と、言うわけで!迷宮の縦穴から横に通路と、その先に10㎡高さ5mの空間を作成。後、【魔力結晶(極小)】を全種類【生産】して【倉庫】へ」

~通路500DP、部屋3,000DPを使用します~
~500DPを使用し【魔力結晶(光・極小)】を【生産】します~
~500DPを使用し【魔力結晶(闇・極小)】を【生産】します~
~500DPを使用し【魔力結晶(火・極小)】を【生産】します~
~500DPを使用し【魔力結晶(冷・極小)】を【生産】します~
~500DPを使用し【魔力結晶(風・極小)】を【生産】します~
~500DPを使用し【魔力結晶(水・極小)】を【生産】します~
~500DPを使用し【魔力結晶(土・極小)】を【生産】します~

 完成した空間に、魔力結晶を設置し、確認する。……属性一つならば、特に問題は無さそうですね。

 火や冷なら気温が変わる程度。
 光と闇も視界の明暗が変わるだけ。
 風は気体に変換し、気流が生まれる。気体は空気と同じのようだ。
 水は液体に変換、水中に浸かるとそこから水流が発生した。
 土も盛り上がる様に、壁と同じ素材の土に変換、更に付近の土が移動し、浮き沈むことで地形が変わった。

 この様子だと、周りにある物質と同じものを生産するのかな?そこも後で確認しておきましょう。

 問題は多属性の場合。
 結果だけ言うと、問題ありませんでした。反発するようなことも無く、それぞれの効果を発揮していた。
 閉塞空間ですから、室内が混沌カオスなことに成っていますけど、開けた場所なら大丈夫でしょう!

 それと実験中、矢鱈と粘液スライム達が集まってきた。どうやら、結晶から出た属性付きの魔力に惹かれているみたいだ。
 中には、ファイヤーなどの特性が付いた子まで居る。植物では付かなかったので、嬉しい誤算ですね。
 今では、経過観測も兼ねて、全属性の魔力結晶を設置している。これが現在、新しい憩いの場になっている。
 結晶は割って、魔力が濃い場所に置けば増えますし、取り過ぎなければ自由にしていいと言っておいた。
 意外にも蜘蛛タラントの食いつきが良かった。光物と属性付きの魔力が好きなご様子。うっとりとした表情で、お気に入りの結晶を眺めるのがブームになっている。癒しが増えるのはいいことですね。

~集計が完了しました~
~侵入者を撃退しました。18,000 DPを取得しました~

「あ、クロスさん。終わりましたか?」
(ハ!近辺の害虫、および卵は処理いたしました。が、領域外につきましては、コア様による敵の確認ができない為、取り逃しの可能性があります。特に卵には気配がないので、発見は困難かと)

 それもそうですね。しかし、この状態で領域を拡張しても、結局他者の領域に接触することになってしまう。

「コアさん、領域拡張って条件付けで、停止と再開ってできませんか?例えば他者の領域に接触したら停止とか」

~肯定。選択・予約機能がありますので可能です~

 おお!ここで、それが生きるとは。

「では、他の領域に入ったら拡張停止して、無くなったら再開する様にできます?あと、余計なコストは掛かりますか?」

~肯定、可能です。コストも変わりません~

「うん、10,000DPを使って領域拡張をお願いします!」

~承知いたしました~

「クロスさん、領域内に敵が現れたら、随時処理してください」
(承知いたしました!)

 よしよし、後は放置で良いですね。
 ……なんでしょう、世界樹さんがジト目でこちらを見ています。

「……貧乏性なの」
「いえいえいえ、節約は大事ですよ?領域拡張で、他者の領域を侵略するのに掛かるコストって、馬鹿にならないんですよ。迷宮のレベルが上がれば分からないですけど」

 これは本当、他の領域に接触した時に一瞬でDPが切れるのがその証拠……今までの節約癖が抜けてないのは否めないですけど。

「じゃぁ、速くレベルを上げるなの!」
「ですね。ではまずこの辺りから散布して行きましょうか」

【 生産】する為に選んでいたものの内、幾つかをピックアップする。

「なんで?全部作るんじゃ無かったなの?」
「それでもいいですけど、色々理由があります。簡単に纏めると―――」

 理由その1、迷宮のレベル
 迷宮のレベルが上がれば、機能やコスト軽減が付く。一度に大量のDPを使用すると、レベルが一気に上がるかもしれない。その間に使用できる機能や、コスト軽減が使えない為、その分損をする可能性がある。

 理由その2、土地問題
 散布先は地上なわけですが、その場所が栄養のほとんどない残りかす。そんなところに散布しても、ちゃんと成長するか分からない上に、地盤が安定しないので、樹木の類が植えられない。

 そして理由その3、散布範囲
 今は、領域がそこまで広くないので、一度に大量の種類を散布しても、栄養の取り合いでちゃんと生育するか分からない。

「ふむふむ、なるほどなの。じゃぁ、これを選んだのは何でなの?」
「今回選んだのは、全部魔力を栄養に出来る植物や、他の物質に変換できたりする魔力結晶などですね。世界樹さんやダンジョンのお陰で、この辺り一帯は魔力が豊富な環境になっていますから、利用しない手は有りません」

 魔力結晶で水源を作り風で種子を飛ばす。更に多種類の魔力結晶も散布して、魔力に属性と環境の違いを持たせる。進化先も増える事でしょう。
 植物については、成長するのはコアさんに確認済みですし問題ありません。

「分かったなの、それで行くなの!」
「わかりました。コアさん、これ等の散布をお願いします」

~500DPを使用し【魔力結晶(光・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【魔力結晶(闇・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【魔力結晶(火・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【魔力結晶(冷・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【魔力結晶(風・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【魔力結晶(水・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【魔力結晶(土・極小)】を【生産】領域内に散布します~
~50DPを使用し【闇苔ヤミゴケ】を【生産】領域内に散布します~
~50DPを使用し【熱苔ネツゴケ】を【生産】領域内に散布します~
~50DPを使用し【冷苔ヒエゴケ】を【生産】領域内に散布します~
~50DPを使用し【風苔カゼゴケ】を【生産】領域内に散布します~
~50DPを使用し【水苔ミズゴケ】を【生産】領域内に散布します~
~50DPを使用し【土苔ツチゴケ】を【生産】領域内に散布します~
~1,000DPを使用し【結晶花ケッショウカ】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【鈴生草スズナリソウ】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【蜜葉ミツバ】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【蓮花レンカ】を【生産】領域内に散布します~
~500DPを使用し【ホッバー】を【生産】領域内に散布します~
~1,000DPを使用し【ペパー】を【生産】領域内に散布します~
~1,000DPを使用し【ハブー】を【生産】領域内に散布します~
~2,000DPを使用し【ラルベルの木】を【生産】領域内に散布します~
~2,000DPを使用し【ホロロンの木】を【生産】領域内に散布します~
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