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29 水の力 

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~ピピピ・ピピピ・ピピピ~

(おはよう~、ぱぱ~)
(おはようございます!主様!)

~おはようございます、マスター~

「おはよう~……」

5日目の朝です、とうとう猶予が100時間を切りました。今のところ、トラブルとかはあったけど概ね順調に行っているのでなかろうか?

「報告はありますか~」
(ハ!現状、先日との変わりは報告されておりません。雨が上がっても、毒のせり上がりが止まらないことに思うところはありますが……)
「う~ん、それは山から流れてきた水が残っているからかな?水位がどれ位で下がるかが分からないからな……」

そんな知識は俺にはないし、有っても、この世界に通用するかも分からない。物理法則からして違うからな~。

「今は待ちですね、確認する方法がない。何か案があれば聞きますけど」
(ハ!変化があれば報告いたします)
「よろしく、無理しないようにね」
(お気遣い感謝いたします!)

さて、今日はどうしようか……。胡坐をかき、膝の上に粘液スライムを乗せてぷにりながら考える。

(えへへ~♪)

そう言えば、この子にはクロスさん並みに、お世話になっているんですよね。

毒錬金粘液ポイズン・スライム・アルケミスト、昨日はありがとうございました。お陰で助かりました」
(?)
「水の流れを抑えたりしてくれたじゃないですか。ご褒美です、何か欲しい物とか有りますか?可能な限り用意しますよ?」
(ん~~~~~~~、なまえがほしー)

君もですか! 魔物にとって、名前ってそんなに嬉しい物なんでしょうか?

「そうですね、では プル でどうです?」

(わ~い)(プルプル)

満足して頂けたご様子。
名前の由来はそのまんま、プルプルしているからプルさんです。

~特性に【水】が追加されました~

おぉ!? ついに来たか、追加特性! あれだけガンガン【倉庫】に突っ込めば特性も付くか。

「コアさん、特性:【水】の詳細をお願いします」

特性:【水】植物の成長に補正(小)生物の成長に補正(小)

また成長に補正が掛かるのか? いや、有り難いですけど。それよりも重要なことがある。
今までも領域外であっても世界樹の姿は表示されていたが、それ以外のものが映るようになっていたのだ、これは?

【水】【土(劣)】【石】【砂】【死毒(劣)】

幾つかのポイントを確認してみたが、共通して【水】が表示された。
つまりこれって、世界樹がダンジョンだから表示されていたんじゃなくて、特性が【植物】だから領域外でも確認できていたのか?
今回は、特性【水】が加わったから水があるところを見ることが出来るようになったと……。

何これ便利! さすがに限界は有るみたいだけど、500メートル位先まで見えているんじゃないか? 特に、今は雨が降った後だから、辺りの状況が広範囲で分かるようになった。
迷宮化にDPを使って、現在DPがすっからかんのため、領域拡張もストップしていたのだ。これだけの範囲が見られるのは本当にありがたい。

まぁ、新たに困ったことも出て来たけど。
表示結果を見た結論……、何もねぇ! さっき表示されたのとほとんど変わらないものしか出てこない。
え~、これ全部、いやこれ以上の量を処理しないといけないの? 間に合わないね……。

「というわけで、作戦会議です。」
(ぶり~ふぃんぐ~)
(今回の議題は、広範囲の毒を処理するために、どうやって処理速度をあげるかですか……)
「ん? あ~違う、違う。そっちの毒処理は後でも構わない、問題は世界樹を蝕んでいる方の毒の処理と、防除だね」

世界樹以外は全部後回しだ。

「まずは、今までと同じく根の周りの毒を除ける。あとは無事な部分に肥料の設置も考えてみるか?」
(捧げものですな!)
「世界樹さん自体が元気になれば、猶予も伸びるかもしれません。特に、皆さんが作った肥料って品質が良いみたいですから。無理がない程度でお願いできますか?」
(お任せ下さい!)
「毒の方だけど……、う~ん、でもな~」
(何か問題が御座いますか?)
「アイディアは一応あるんだけど、危ないといいましょうか……」
(お教えください! 我ら、主様と世界樹様のためならば、どの様な危険な任務も必ずこなして見せます!!)

君ならそう言うよね~。そのためにも実験が必要ですね。

―――――

まずは粘液スライム達に水の入ったスライムボールを作ってもらいます。
ここで、領域外でもそのスライムボールの存在を、確認できることを確認。
次に、世界樹の木を板状にしたものの上に、スライムボールを敷き詰めます。
これを、地上の死毒の池に浮かべ、領域外までもっていきます。
持っていくのは、(仕事がしたい!)と、要望を受けたので、ドビーに糸で引っ張りながら行ってもらいました。
そして、目標ポイントに到着したら一匹を残して他は避難。残った遠距離攻撃ができる風指揮蜂ウインド・ドビー・リーダーに、射程ギリギリから板の上に載っている、【破毒】入りのスライムボールを打ち抜いてもいます。

「う~ん……、範囲は、平均直径3メートル、最大でもギリ4メートル位かな?」

そう、今回したのは【破毒】の影響範囲の確認です。10メートル位の板で行ったけど、範囲はそれ程でも無かったようだ。もっと早く検証しておけばよかったかな?

「これくらいの範囲なら大丈夫だろう」
(主様! ポイントの確保、終了いたしました)
「こっちも問題なさそうです」

領域内の少し端の方、ここまでの道と足場を作ってもらった。そこに破毒のスライムボールを設置、十分に距離を取ってもらいそこからスライムボール破ってもらう。
うん、きっちり直径3メートル程の窪みが出来上がった。

「問題ないですか? 酸欠とかも起こしてません?」
(被害は有りません! ですが、空気が流れ込む様な気配があったそうです)
「それはマズイですね、連続でやると換気が間に合わなくなるかもしれない。通気口の設置をお願いします」
(御意!)

詰りはダイナマイト採掘である。どっちかと言うと井戸掘りかな?
本物と違うところは、吹き飛ばしたものが完全に消滅するところだ。その特性を利用して、真下への直下掘りを行うのである。運び出す必要がないからね。これを、世界樹の根の末端、又は水が湧き出てくる地点まで行う。

破毒で穴を掘り、出来た穴に溜まった死毒を破毒で消し去り、さらに破毒で掘り進む。破毒は有り余っているからね! どんどん増えるからね!
縦穴が増えれば、その周辺の毒はその穴に流れ込む。
とりあえず1か所、行けるところまで行ってみる予定だ。安全の確認が取れたら本格始動だ!
あらたに出来た縦穴から横穴を掘ることで、施工時間も短縮できそうだとの情報も届いている。上手く行くと良いな~。

円形に投下地点を設置すれば、内側の毒、全部流れ出ないかな?そうしたら、根に毒が触れなくなるし、その部分を糸で固めて支柱に出来るかな?地盤沈下も怖いし。
……後で言ってみますか。

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