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3 ダンジョンコアのコアさん
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「やったのはテカテカした殻をまとった人種なの」
テカテカした殻? ……鎧かな?
「何体も何体も、数えきれない位沢山集まってきたなの」
あ、こりゃきっと人間の軍隊ですわ……ん?
「エルフは?」
「知らないなの。あいつらが来てすぐに何処かに行ったなの」
おぉい!? 本当に何が目的だったんだ!?
「そいつらは私の周りに集まると、私のことを殴ってきたなの!!」
「殴る? あぁ切り倒そうとしたのか……」
「フフ~ン。そんな軟じゃないなの。あいつ等じゃ私に傷一つ付けられないなの! それに、お友達が追い払ってくれたなの」
「あれ? エルフに殺されたのでは?」
「……あいつらは上まで行けなかったから、上の方に居る子とか空を飛べる子とかはまだ無事だったなの。それに、あいつらは私には何もしなかったなの」
「なるほど」
「そうしたら、あいつらは私に火をつけたなの」
「……今までの話だと、火程度で世界樹さんがどうにかなるようには思えないんですが」
「ただの火じゃなかったなの、すごく気持ちの悪い煙だったなの。そのせいで皆が居られなくなっちゃったなの……。」
……毒の類か?
「それでも、やつらは私を傷つけられない事には変わりがなかったなの」
「じゃぁ……」
「そのすぐ後だったなの。体に違和感を覚えたなの。それはどんどん広がっていったなの……私はすぐにそれの進行を抑えたなの」
「抑えられたんですね」
「なの。でもそれに、ほとんどの力を使ってしまったなの。その隙にあいつらが私を叩きだしたて、それを防げなくなったなの。だから私は、体の中にある力の全てを、それを抑えるのに使ったなの」
「……」
「でも、それだけじゃ抑えられなかったなの。それは土にまで広がって、根から私の中へ入ってきたなの」
「わかったから」
「それをいいことに、あいつらは私のことを……」
「もういいから……、そんな泣きそうな顔するな」
「なの? ……なんなの? これ?」
世界樹さんは今にも泣きそうな悲痛な顔をしていた。今までは輪郭程度でしか認識できていなかったが今はその表情まで分かるようになっていた。
「人は辛かったり悲しかったりすると、そんな風に泣くんだ。人の先輩として助言すると今回の様な場合は我慢しないほうがいいと思うぞ」
「あ……う……あ」
「世界樹さんに何かあったら、俺もただじゃすまないだろうし」
俺は、震えている世界樹さんを抱いて背中をさする。
「後は俺が何とかしてみるから、今のうちに全部吐き出せ」
「ナァ~~~~!! 痛かったなの! 怖かったなの! 辛かったなの!! 寂しかったなのぉ~~~~~!!」
「よし~よし、泣け泣け」
「ヒッグ、エグ、ウ~~~~~~……!」
~ 魂の契約が完了しました ~
―――
「すー、すー、ぐすん、……」
「ふー……」
~ 世界樹がスリープモードに移行します ~
とりあえず、泣き疲れて眠ってしまったらしい。
もうね? 泣いた子供をあやすとか難易度高すぎなんですけど。頭のいい子みたいだったから、癇癪みたいにならなくて説得できたけど。あのまま放置していたら何に成っていたことか……絶対碌なことになって無かったぞ。
休みたいけどそうもいかないか……。
「で? ……あなたはどちら様で?」
~ 私は、ダンジョンマスターをサポートするものです ~
「サポートね~、なんて呼べばいいの?」
~ ご自由にお呼び下さい ~
「ご自由にね……まあ、今はいいや。それで? 俺に何をさせたい訳?」
~ マスターにはダンジョンの運営をして頂きます ~
「なんで俺なんだ? 他にも候補は居たんじゃないのか?」
~ 要請に応え、召喚されたのがマスターだったためです ~
あ~、あのゲーム“ダンジョンクリエイター”の緊急要請ってやつか、ははは、やり直しとかは……現実的にも、良心的にも、もう無理ですね、はい、頑張ります。
てか、こんな簡単に召喚ってされるもんなのか? そうなら、元の世界では神隠しとか頻発してんぞ。そういえば、他にも緊急依頼を選択していたプレイヤーが居たな。そいつ等もこの世界に来ているのか?
「他にも召喚された人っているのか?」
~ 検索中…………………存在します。人数は不明です ~
「やっぱいるのか……。切っ掛けはあのゲームだよね? どういうわけ?」
~ 肯定、無限にある世界の中で、合致した触媒を経由して召喚は行われます ~
「……どゆこと?」
話をまとめると、この世には、それこそ無限に等しい数の世界がある。異世界やら平行世界やら色々だ。そして、その世界は他の世界に何らかの影響を与えているんだとか。漫画や小説、物語、はたまた人の妄想まで色々だ。中には物語の世界での物語、その物語の世界の物語が最初の世界の内容と同じなんてループしていることもあり得るんだとか。今回の場合は、この世界とゲームの世界観がほぼ同じだったらしく、それを通じて召喚が行われたとのことだ。
……ここでどっちの世界が最初に生まれたとかは分からないらしい。ゲームができ、それに合わせた世界が生まれたのか、この世界に影響されてゲームという形で繋がりができたのか。卵か先か、鶏が先か……知る方法がない。
「召喚の経緯は分かった。一応確認だけど、この世界でのダンジョンってなに?」
【ダンジョン】世界の管理者である神によって作られた存在。直接干渉できない神に代わり、世界の歪みを修正・固定し環境を改善させる。
魔力が枯渇した場では、主に龍脈または生物から力を吸収し、魔力濃度と保持力の改善を行う。
魔力が過剰な場では、主に周囲の余分な力を吸収し、魔物や物質に変換し魔力濃度の改善を行う。
【ダンジョンコア】ダンジョン内すべての情報を処理するダンジョンの心臓部。魔力の結晶体でエネルギーの塊、そのため他生物から常に狙われている。
予想外の回答が返ってきた。ダンジョンって魔物や魔道具みたいのが沸いて出る場所って印象があったけど、ちゃんとした理由があった。
魔力濃度の調整ね、これを管理するのがダンジョンマスターのお仕事ってわけですか。後、いろんな生物に狙われるのね、その防衛も必要と。
「あなたはダンジョンのコアって認識でいいので?」
~ 肯定 ~
「じゃあ、名前はコアさんで」
~ 承認、以後名称をコアで固定します ~
「よろしくねー、コアさん」
~ よろしくお願いします。マスター ~
「コアさんって世界の管理者、神の眷属って認識であっています?」
~ 否定、ダンジョンは神によって世界に組み込まれた自然現象の一種になります ~
「自然現象? でも神に作られたことには変わりないのでは?」
~ ダンジョンに意思はありません ~
「あら? 流暢に話すからてっきり。……プログラムみたいなものだったの?」
~ 肯定 ~
「そっか~、ダンジョンの運営? ってどうやるの?」
~ 回答不能。現在、マスターの記憶と情報を適合中 ~
「情報の適合?」
~ 言語、時間、肉体など、こちらの世界に合わせる作業になります ~
「なるほど、それってどれぐらいかかるの?」
「現状では約120時間かかります」
120時間? 5日!? 残り猶予的にヤバくね?
「どうにか早くならないです?」
~ 可能です ~
「じゃあ、可能な限り早くでお願いします」
~ 承認、【魂の間】を停止、情報統合のため、マスターをスリープモードに移行させます ~
「へ?」
そのまま、意識が遠のいていった。
テカテカした殻? ……鎧かな?
「何体も何体も、数えきれない位沢山集まってきたなの」
あ、こりゃきっと人間の軍隊ですわ……ん?
「エルフは?」
「知らないなの。あいつらが来てすぐに何処かに行ったなの」
おぉい!? 本当に何が目的だったんだ!?
「そいつらは私の周りに集まると、私のことを殴ってきたなの!!」
「殴る? あぁ切り倒そうとしたのか……」
「フフ~ン。そんな軟じゃないなの。あいつ等じゃ私に傷一つ付けられないなの! それに、お友達が追い払ってくれたなの」
「あれ? エルフに殺されたのでは?」
「……あいつらは上まで行けなかったから、上の方に居る子とか空を飛べる子とかはまだ無事だったなの。それに、あいつらは私には何もしなかったなの」
「なるほど」
「そうしたら、あいつらは私に火をつけたなの」
「……今までの話だと、火程度で世界樹さんがどうにかなるようには思えないんですが」
「ただの火じゃなかったなの、すごく気持ちの悪い煙だったなの。そのせいで皆が居られなくなっちゃったなの……。」
……毒の類か?
「それでも、やつらは私を傷つけられない事には変わりがなかったなの」
「じゃぁ……」
「そのすぐ後だったなの。体に違和感を覚えたなの。それはどんどん広がっていったなの……私はすぐにそれの進行を抑えたなの」
「抑えられたんですね」
「なの。でもそれに、ほとんどの力を使ってしまったなの。その隙にあいつらが私を叩きだしたて、それを防げなくなったなの。だから私は、体の中にある力の全てを、それを抑えるのに使ったなの」
「……」
「でも、それだけじゃ抑えられなかったなの。それは土にまで広がって、根から私の中へ入ってきたなの」
「わかったから」
「それをいいことに、あいつらは私のことを……」
「もういいから……、そんな泣きそうな顔するな」
「なの? ……なんなの? これ?」
世界樹さんは今にも泣きそうな悲痛な顔をしていた。今までは輪郭程度でしか認識できていなかったが今はその表情まで分かるようになっていた。
「人は辛かったり悲しかったりすると、そんな風に泣くんだ。人の先輩として助言すると今回の様な場合は我慢しないほうがいいと思うぞ」
「あ……う……あ」
「世界樹さんに何かあったら、俺もただじゃすまないだろうし」
俺は、震えている世界樹さんを抱いて背中をさする。
「後は俺が何とかしてみるから、今のうちに全部吐き出せ」
「ナァ~~~~!! 痛かったなの! 怖かったなの! 辛かったなの!! 寂しかったなのぉ~~~~~!!」
「よし~よし、泣け泣け」
「ヒッグ、エグ、ウ~~~~~~……!」
~ 魂の契約が完了しました ~
―――
「すー、すー、ぐすん、……」
「ふー……」
~ 世界樹がスリープモードに移行します ~
とりあえず、泣き疲れて眠ってしまったらしい。
もうね? 泣いた子供をあやすとか難易度高すぎなんですけど。頭のいい子みたいだったから、癇癪みたいにならなくて説得できたけど。あのまま放置していたら何に成っていたことか……絶対碌なことになって無かったぞ。
休みたいけどそうもいかないか……。
「で? ……あなたはどちら様で?」
~ 私は、ダンジョンマスターをサポートするものです ~
「サポートね~、なんて呼べばいいの?」
~ ご自由にお呼び下さい ~
「ご自由にね……まあ、今はいいや。それで? 俺に何をさせたい訳?」
~ マスターにはダンジョンの運営をして頂きます ~
「なんで俺なんだ? 他にも候補は居たんじゃないのか?」
~ 要請に応え、召喚されたのがマスターだったためです ~
あ~、あのゲーム“ダンジョンクリエイター”の緊急要請ってやつか、ははは、やり直しとかは……現実的にも、良心的にも、もう無理ですね、はい、頑張ります。
てか、こんな簡単に召喚ってされるもんなのか? そうなら、元の世界では神隠しとか頻発してんぞ。そういえば、他にも緊急依頼を選択していたプレイヤーが居たな。そいつ等もこの世界に来ているのか?
「他にも召喚された人っているのか?」
~ 検索中…………………存在します。人数は不明です ~
「やっぱいるのか……。切っ掛けはあのゲームだよね? どういうわけ?」
~ 肯定、無限にある世界の中で、合致した触媒を経由して召喚は行われます ~
「……どゆこと?」
話をまとめると、この世には、それこそ無限に等しい数の世界がある。異世界やら平行世界やら色々だ。そして、その世界は他の世界に何らかの影響を与えているんだとか。漫画や小説、物語、はたまた人の妄想まで色々だ。中には物語の世界での物語、その物語の世界の物語が最初の世界の内容と同じなんてループしていることもあり得るんだとか。今回の場合は、この世界とゲームの世界観がほぼ同じだったらしく、それを通じて召喚が行われたとのことだ。
……ここでどっちの世界が最初に生まれたとかは分からないらしい。ゲームができ、それに合わせた世界が生まれたのか、この世界に影響されてゲームという形で繋がりができたのか。卵か先か、鶏が先か……知る方法がない。
「召喚の経緯は分かった。一応確認だけど、この世界でのダンジョンってなに?」
【ダンジョン】世界の管理者である神によって作られた存在。直接干渉できない神に代わり、世界の歪みを修正・固定し環境を改善させる。
魔力が枯渇した場では、主に龍脈または生物から力を吸収し、魔力濃度と保持力の改善を行う。
魔力が過剰な場では、主に周囲の余分な力を吸収し、魔物や物質に変換し魔力濃度の改善を行う。
【ダンジョンコア】ダンジョン内すべての情報を処理するダンジョンの心臓部。魔力の結晶体でエネルギーの塊、そのため他生物から常に狙われている。
予想外の回答が返ってきた。ダンジョンって魔物や魔道具みたいのが沸いて出る場所って印象があったけど、ちゃんとした理由があった。
魔力濃度の調整ね、これを管理するのがダンジョンマスターのお仕事ってわけですか。後、いろんな生物に狙われるのね、その防衛も必要と。
「あなたはダンジョンのコアって認識でいいので?」
~ 肯定 ~
「じゃあ、名前はコアさんで」
~ 承認、以後名称をコアで固定します ~
「よろしくねー、コアさん」
~ よろしくお願いします。マスター ~
「コアさんって世界の管理者、神の眷属って認識であっています?」
~ 否定、ダンジョンは神によって世界に組み込まれた自然現象の一種になります ~
「自然現象? でも神に作られたことには変わりないのでは?」
~ ダンジョンに意思はありません ~
「あら? 流暢に話すからてっきり。……プログラムみたいなものだったの?」
~ 肯定 ~
「そっか~、ダンジョンの運営? ってどうやるの?」
~ 回答不能。現在、マスターの記憶と情報を適合中 ~
「情報の適合?」
~ 言語、時間、肉体など、こちらの世界に合わせる作業になります ~
「なるほど、それってどれぐらいかかるの?」
「現状では約120時間かかります」
120時間? 5日!? 残り猶予的にヤバくね?
「どうにか早くならないです?」
~ 可能です ~
「じゃあ、可能な限り早くでお願いします」
~ 承認、【魂の間】を停止、情報統合のため、マスターをスリープモードに移行させます ~
「へ?」
そのまま、意識が遠のいていった。
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