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神の手を持つ者
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ーー 聖王国の国王を治療した後の話
聖王国内では治すことの出来ない病を僅か10分ほどで完治させたシャドーのことを中央教会の者は
「神の手を持つ者」
と呼ぶようになった。
国王との非公式な拝謁の後、シャドー達外交団の一行は日程通り会談を終えると最終日には
「ここまで譲歩していただきよろしいのでしょうか」
と副団長のホワイト伯爵が思わず口走るほどの好条件で外交条約が締結された。
それは聖王国の王国民からあの病が一掃された次の日であった。
「シャドー伯爵団長、今回の外交が大成功に終わったのは何か我々と違う力が働いた気がしますが何かご存じでしょうか?」
「いや特には、多分日頃のお行いでしょう。」
と答えるシャドー。
しかし「神に手をもつ者」との噂は、そう遠くない頃にこの世界に広がるのであった。
今はまだその事実を知らない一行は、不思議な感覚で帰途に着いたのであったがその際また驚きが聖王国に広がる。
一行が到着した際は王都全体が沈んでおり人の出入りも疎だったので目撃が少なく問題にならなかったが、旅立ちの際は多くの王都民が見送るなか空から大きな飛行船が現れそれに乗って空に消える一行は、まるで神の使徒のように見えたようだった。
大きな成果を携えて王国に戻る一行は皆晴れやかな顔であった。
「シャドー伯爵団長、今回の手柄はどうやらシャドー伯爵のお手柄のようですね。我らその恩恵に上手く預かったようです。これからも良しなに。」
と手を出すホワイト伯爵と力強く握手したシャドーであった。
ー 大聖女 side
この聖王国は古より神の加護のおかげでほとんどの魔物が入り込まれない結界に守られた王国であった。
目にする魔物はせいぜいスライム程度、しかし今回の病の原因は目に見えぬほど小さく弱いウイルスと言う魔物であると聞かされた大聖女。
「神が彼をこの地に差し向けてくださったおかげで我々は生き延びることができました、この恩は必ずお返しいたします。」
祈りを捧げる大聖女に天から光が差していた。
ーー 外交から帰還し日常へ
慌しかった聖王国への外交使節団、戻って来てその大いなる成果を陛下の報告し僕は自領へ戻って来た。
「やっと一息つけるよ。」
とぼやく僕にブルーが
「お兄様は働きすぎだと思います、もう少しのんびりしてもいいのではないですか?」
と声をかけた
「そうだね、今後はできるだけそうするよ。」
にこりと笑いながら答える僕に笑顔で答えたブルー。
ーー ブルーと使い魔の日常
ブルーはカスタード伯爵家の当主の妹として日頃から絶え間ぬ努力をしていた、そのある日のI日を語ろう。
朝日も昇らぬ時間に起床するブルー、身支度をするとランニングから始める日課のトレーニングを始める。
朝トレの後シャワーを浴びて着替えると皆と朝食を共に。
朝食の後は使い魔のサンとのトレーニング、ここでいつも問題が
「サンおいで!」「サン止まって!」
と言う言葉に義父であるサンが思わず反応してしまうことだ、しかし今更使い魔の名を変えることもできず「申し訳ありません。」と謝罪しながら訓練を再開するブルー。
午前10:00頃からは家庭教師の指導で礼法と教養を受ける。
昼食、屋敷にいる家族との食事。
昼食後は、魔法と剣の訓練を行う。
午後16:00頃から使い魔との情報交換、サンを通じて他の使い魔に必要な指示とその報告を受けるのだ。
今や使い魔たちの情報網は王国内の隅々まで行き渡っているのだ、必要な情報をシャドーに伝えるのは夕食時のこと。
夕食後は、読書と魔法操作の訓練をしながら過ごし入浴をする。
入浴後就寝までの間に夜目になれる訓練をしてから就寝。
これがブルーの平均的なI日である。
「まだまだお兄様に並ぶことができません、もう少し頑張らなければ。」
毎日にようにそう反省し眠りに着くブルーをそっと見守るシャドーの姿。
ーー シャドーの平凡な1日
シャドーのI日はエンジェルの報告から始まる。
昨晩の夕食時にブルーから報告を受けるが両親やメイドたちの耳がある場所では話せない情報を朝寝室でエンジェルの念話で受けるのだ。
ほぼ国内の情報を網羅しているシャドーにとって素早い対応で最小限の被害で抑えることが出来るのは朝飯前のことだ。
対応するのは使い魔であったりシャドー本人であったり領主であったりするが何も問題なく解決している、そのため助かった領主も多く少しずつ国王派を広げている状況にある。
たまには成果や方針を陛下に報告しに王都へ転移する事もあるが
「お前のやりたいようにするが良い。」
と言う言葉を聞くことが多い。
皆と一緒の朝食、昼食までは領地内の書類に目を通す。
ほぼする事はなく確認と決済をするだけのものだが昼までかかるほど領内の産業や人手は多いと言う事である。
昼食後は使い魔たちと森へ行き必要な素材の採取や増えすぎた魔物を狩る。
「ご主人、最近縄張り争いに負けた火竜がこの森に舞い降りて我が物顔で魔物を倒しております。このままではスタンピードの恐れもあります倒してもよろしいでしょうか?」
「分かった、十分気をつけてくれよ後始末は僕がしよう。」
と許可を出すと使い魔たちは一斉に火竜の元に殺到した。
身の危険を感じブレスで威嚇する火竜だがそのブレスさえ使い魔たちには効果がない、忌々しい顔をしながらこの場は逃げに転ずる火竜。
しかし上空にはサンがいる、火竜以上の炎の攻撃で地面に墜落する火竜をエンジェルがその位置で拘束すると残りの使い魔の攻撃で討ち取られた火竜と周辺の炎を消火しながら収納する僕。
「これでよしと、皆んな強くなったな」
と褒めながら僕はギルドへ火竜の素材を持ち込む。
➖ カスタード伯爵領内の冒険者ギルド
1人の青年いやまだ少年と言える年頃の男の子がギルドの扉を開けて中に入る。
誰が来たかと目を動かすギルド内の冒険者、相手が子供と知ると半分は目を戻し半分はバカにしたような目を向ける。
カウンターまで歩いて受付嬢に声をかける少年。
「魔物の買取はここでいいのかな?」
「はい此処ですが、貴方は冒険者ですか?冒険者でなければ買取額が少し低くなりますよ。」
と答える受付嬢に冒険者カードを差し出す少年、そのカードを見て目を見張る受付嬢そこに子供と侮った冒険者が3人絡んできた。
「おい坊主、此処はお子ちゃまの来るところじゃねえぞ、うん?おめえ冒険者か?新米だろう俺たち先輩が教えてやるから買取額を俺らに渡しな!」
とテンプレ的な絡み、受付嬢は慌てて止めようと身を乗り出すのを少年が手で止める
「先輩方僕が持ち込んだ素材を3人で受け止められるなら考えてもいいでしょう。裏に行きましょうか。」
少年はそう言うと3人を従える格好で裏の解体場に向かう
「おい此処まで連れてきたんだ覚悟はいいよな、まさか数が多いいから受け取れねえなんてことはないだろうな。あん。」
「いや一体だよそこに並んで今から出すよ。」
「今から出す⁉︎おまえ収納持ちかよ。」
と驚き始める冒険者の上に20mはあろうかと言う火竜が姿を現す。
「ひえー、ドラゴン!待ってくれ死んじまう。」
逃げ腰になった3人の直ぐ横にドーンと火竜が落ちてきた、その衝撃で失神する3人。
そこへギルマスが現れ
「馬鹿な奴らが、俺が普段から言っているのを本気にしてないからこうなるんだ。」
と言うと少年に向かい
「領主様本日はドラゴンの素材ありがとうございます。森で魔物の分布がおかしいと聞いておりましたがそれが原因ですね。」
中々情報が早い
「ああそうだ、これで森も落ち着くだろう。素材が売れたら領主邸に報告してくれ。」
と言うと少年は立ち去る、その姿を見ていた他の冒険者が
「ギルマスあの少年は誰ですか?」
「ばかやろう!今の話で気づかないのかよ、あの方は領主様のシャドー様だ。」
「え!あれが此処の領主様で、まさかそのドラゴンを1人で倒したと言う事はないでしょうね。」
「何を言う彼ならこの程度のドラゴン朝飯前のはずさ、今後もこのギルドでは子供だからと揶揄うなよ、次は命の保障はせんぞ!」
と言うとギルマスは部屋に戻って行った。
受付で冒険者カードを受け取ったシャドーは
「ギルマスに言っていたけど査定が済んだあら領主邸に報告に来てね。これ僕の作ったお菓子良ければみんなで食べてね。」
と一抱えもある袋を渡すとギルドを後にした。
その後ギルド内の女性職員のお菓子争奪戦が遅くまであったという。
聖王国内では治すことの出来ない病を僅か10分ほどで完治させたシャドーのことを中央教会の者は
「神の手を持つ者」
と呼ぶようになった。
国王との非公式な拝謁の後、シャドー達外交団の一行は日程通り会談を終えると最終日には
「ここまで譲歩していただきよろしいのでしょうか」
と副団長のホワイト伯爵が思わず口走るほどの好条件で外交条約が締結された。
それは聖王国の王国民からあの病が一掃された次の日であった。
「シャドー伯爵団長、今回の外交が大成功に終わったのは何か我々と違う力が働いた気がしますが何かご存じでしょうか?」
「いや特には、多分日頃のお行いでしょう。」
と答えるシャドー。
しかし「神に手をもつ者」との噂は、そう遠くない頃にこの世界に広がるのであった。
今はまだその事実を知らない一行は、不思議な感覚で帰途に着いたのであったがその際また驚きが聖王国に広がる。
一行が到着した際は王都全体が沈んでおり人の出入りも疎だったので目撃が少なく問題にならなかったが、旅立ちの際は多くの王都民が見送るなか空から大きな飛行船が現れそれに乗って空に消える一行は、まるで神の使徒のように見えたようだった。
大きな成果を携えて王国に戻る一行は皆晴れやかな顔であった。
「シャドー伯爵団長、今回の手柄はどうやらシャドー伯爵のお手柄のようですね。我らその恩恵に上手く預かったようです。これからも良しなに。」
と手を出すホワイト伯爵と力強く握手したシャドーであった。
ー 大聖女 side
この聖王国は古より神の加護のおかげでほとんどの魔物が入り込まれない結界に守られた王国であった。
目にする魔物はせいぜいスライム程度、しかし今回の病の原因は目に見えぬほど小さく弱いウイルスと言う魔物であると聞かされた大聖女。
「神が彼をこの地に差し向けてくださったおかげで我々は生き延びることができました、この恩は必ずお返しいたします。」
祈りを捧げる大聖女に天から光が差していた。
ーー 外交から帰還し日常へ
慌しかった聖王国への外交使節団、戻って来てその大いなる成果を陛下の報告し僕は自領へ戻って来た。
「やっと一息つけるよ。」
とぼやく僕にブルーが
「お兄様は働きすぎだと思います、もう少しのんびりしてもいいのではないですか?」
と声をかけた
「そうだね、今後はできるだけそうするよ。」
にこりと笑いながら答える僕に笑顔で答えたブルー。
ーー ブルーと使い魔の日常
ブルーはカスタード伯爵家の当主の妹として日頃から絶え間ぬ努力をしていた、そのある日のI日を語ろう。
朝日も昇らぬ時間に起床するブルー、身支度をするとランニングから始める日課のトレーニングを始める。
朝トレの後シャワーを浴びて着替えると皆と朝食を共に。
朝食の後は使い魔のサンとのトレーニング、ここでいつも問題が
「サンおいで!」「サン止まって!」
と言う言葉に義父であるサンが思わず反応してしまうことだ、しかし今更使い魔の名を変えることもできず「申し訳ありません。」と謝罪しながら訓練を再開するブルー。
午前10:00頃からは家庭教師の指導で礼法と教養を受ける。
昼食、屋敷にいる家族との食事。
昼食後は、魔法と剣の訓練を行う。
午後16:00頃から使い魔との情報交換、サンを通じて他の使い魔に必要な指示とその報告を受けるのだ。
今や使い魔たちの情報網は王国内の隅々まで行き渡っているのだ、必要な情報をシャドーに伝えるのは夕食時のこと。
夕食後は、読書と魔法操作の訓練をしながら過ごし入浴をする。
入浴後就寝までの間に夜目になれる訓練をしてから就寝。
これがブルーの平均的なI日である。
「まだまだお兄様に並ぶことができません、もう少し頑張らなければ。」
毎日にようにそう反省し眠りに着くブルーをそっと見守るシャドーの姿。
ーー シャドーの平凡な1日
シャドーのI日はエンジェルの報告から始まる。
昨晩の夕食時にブルーから報告を受けるが両親やメイドたちの耳がある場所では話せない情報を朝寝室でエンジェルの念話で受けるのだ。
ほぼ国内の情報を網羅しているシャドーにとって素早い対応で最小限の被害で抑えることが出来るのは朝飯前のことだ。
対応するのは使い魔であったりシャドー本人であったり領主であったりするが何も問題なく解決している、そのため助かった領主も多く少しずつ国王派を広げている状況にある。
たまには成果や方針を陛下に報告しに王都へ転移する事もあるが
「お前のやりたいようにするが良い。」
と言う言葉を聞くことが多い。
皆と一緒の朝食、昼食までは領地内の書類に目を通す。
ほぼする事はなく確認と決済をするだけのものだが昼までかかるほど領内の産業や人手は多いと言う事である。
昼食後は使い魔たちと森へ行き必要な素材の採取や増えすぎた魔物を狩る。
「ご主人、最近縄張り争いに負けた火竜がこの森に舞い降りて我が物顔で魔物を倒しております。このままではスタンピードの恐れもあります倒してもよろしいでしょうか?」
「分かった、十分気をつけてくれよ後始末は僕がしよう。」
と許可を出すと使い魔たちは一斉に火竜の元に殺到した。
身の危険を感じブレスで威嚇する火竜だがそのブレスさえ使い魔たちには効果がない、忌々しい顔をしながらこの場は逃げに転ずる火竜。
しかし上空にはサンがいる、火竜以上の炎の攻撃で地面に墜落する火竜をエンジェルがその位置で拘束すると残りの使い魔の攻撃で討ち取られた火竜と周辺の炎を消火しながら収納する僕。
「これでよしと、皆んな強くなったな」
と褒めながら僕はギルドへ火竜の素材を持ち込む。
➖ カスタード伯爵領内の冒険者ギルド
1人の青年いやまだ少年と言える年頃の男の子がギルドの扉を開けて中に入る。
誰が来たかと目を動かすギルド内の冒険者、相手が子供と知ると半分は目を戻し半分はバカにしたような目を向ける。
カウンターまで歩いて受付嬢に声をかける少年。
「魔物の買取はここでいいのかな?」
「はい此処ですが、貴方は冒険者ですか?冒険者でなければ買取額が少し低くなりますよ。」
と答える受付嬢に冒険者カードを差し出す少年、そのカードを見て目を見張る受付嬢そこに子供と侮った冒険者が3人絡んできた。
「おい坊主、此処はお子ちゃまの来るところじゃねえぞ、うん?おめえ冒険者か?新米だろう俺たち先輩が教えてやるから買取額を俺らに渡しな!」
とテンプレ的な絡み、受付嬢は慌てて止めようと身を乗り出すのを少年が手で止める
「先輩方僕が持ち込んだ素材を3人で受け止められるなら考えてもいいでしょう。裏に行きましょうか。」
少年はそう言うと3人を従える格好で裏の解体場に向かう
「おい此処まで連れてきたんだ覚悟はいいよな、まさか数が多いいから受け取れねえなんてことはないだろうな。あん。」
「いや一体だよそこに並んで今から出すよ。」
「今から出す⁉︎おまえ収納持ちかよ。」
と驚き始める冒険者の上に20mはあろうかと言う火竜が姿を現す。
「ひえー、ドラゴン!待ってくれ死んじまう。」
逃げ腰になった3人の直ぐ横にドーンと火竜が落ちてきた、その衝撃で失神する3人。
そこへギルマスが現れ
「馬鹿な奴らが、俺が普段から言っているのを本気にしてないからこうなるんだ。」
と言うと少年に向かい
「領主様本日はドラゴンの素材ありがとうございます。森で魔物の分布がおかしいと聞いておりましたがそれが原因ですね。」
中々情報が早い
「ああそうだ、これで森も落ち着くだろう。素材が売れたら領主邸に報告してくれ。」
と言うと少年は立ち去る、その姿を見ていた他の冒険者が
「ギルマスあの少年は誰ですか?」
「ばかやろう!今の話で気づかないのかよ、あの方は領主様のシャドー様だ。」
「え!あれが此処の領主様で、まさかそのドラゴンを1人で倒したと言う事はないでしょうね。」
「何を言う彼ならこの程度のドラゴン朝飯前のはずさ、今後もこのギルドでは子供だからと揶揄うなよ、次は命の保障はせんぞ!」
と言うとギルマスは部屋に戻って行った。
受付で冒険者カードを受け取ったシャドーは
「ギルマスに言っていたけど査定が済んだあら領主邸に報告に来てね。これ僕の作ったお菓子良ければみんなで食べてね。」
と一抱えもある袋を渡すとギルドを後にした。
その後ギルド内の女性職員のお菓子争奪戦が遅くまであったという。
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