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魔王の後始末と一人旅
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ーー 魔王討伐の後始末
私の収納には、数えきれないほどの(実際は数えられるが)魔物が収納されている。これをいかに処分するかが、今の一番の問題だ。
出来ればここで全て処分したいが、無理であろうな。
戻りながら各国のギルドで卸して回ろう。
次の問題は、邪神を復活させた邪神教の問題だ。
今回の魔王は争い事が嫌いだったようだが、次も同じとは限らない。
そこで邪神教を今のうちの一掃しておく必要があるのだ。
聖皇国の教皇から世界各国に邪神教の取り締まりを依頼した。
さらに幹部に対して懸賞金をかけた徹底したものだった。
しかし邪神今日については、暫く心配する必要がないことがその後報告される。
それは邪神を復活させ魔王を誕生させた邪神教は、その目的を遂げたことから信者全てがその身を邪神に捧げるという名目で死んでいたのだ。
ものすごく迷惑な団体だったな。
全ての問題が一応片付いた形で、王国に帰る事になった私に聖皇国は、
「汝エストニアを我が聖皇国の名誉伯爵とする。」
というものをいただいたのだ。
これで3カ国で爵位をもらった事になる。
私は馬車と聖霊馬を召喚すると、馬車に乗り込み帰途に着いた。
聖霊馬と私は視覚を共有しているにで、馬車に乗った状態で御者なくも問題なく走らせることができるのだ。
把見た目の問題があるため、ゴーレムを人型召喚して御者をさせている。
今回は東の国スミス共和国、トーラル王国南に降りせミール王国中央大森林を横断してセガール王国に戻る予定だ。
久しぶりの一人旅である。
大勢の王都民からの見送りを受け私は王都を東に出発した。
「フーッ。あまりに大袈裟な歓迎や見送りはいつまで経っても慣れないな。」
とぼやきながら馬車を走らせる事2日で、スミス共和国の国境にたどり着いた。
国境の門で身分を明かして無事スミス共和国に入る。
ーー 元スミス共和国西側
この元共和国は、多数の王族の治める小国家が集まり、合議制で一つの国として存在していた国であった。
数年前に亡国となり、西側が聖皇国に編入されている。
その亡国から逃れてきたのが、私の妹となっているクレアリーナだ。
現在の成立は約3年ほどのまだ若い国家である。
今回西大森林から魔王軍に魔物を恐れ逃げ出した魔物が、西共和国に溢れ出たスタンピードが発生していたようで、西共和国の南側に大きな被害が出ていたようだ。
魔物はある程度侵攻した後、また元の大森林に戻ったようで意外と早めに解決していた。
魔物の荒らされた村や街を通りながら、私は冒険者ギルドに立ち寄り幾つかの依頼を受けて回った。
依頼内容は、
・残った魔物の討伐
・外壁の修理
・田畑の復活
が主で、私の魔法で瞬く間に解決していった。
更に被害の多かった小国の領主(元国王)に、食料と魔物の素材をかなりの量渡すと大いに喜んでくれた。
そして10日後、西共和国の首都に着いた。
「勇者パーティーのメンバーに立ち寄りいただき、我が西共和国としても大変名誉です。」
と代表が挨拶された。
「私が勇者ヒカルでもありませんので、お構いなく。」
「とんでもございませね、貴方がここまでの途中に我が西共和国に多大な支援をいただいたことは、皆存じております。」
と言われそれ以上は無駄だと思い苦笑いに徹した。
歓迎を受けた私は、3日ほどその首都に滞在してまた旅を再開した。
基本的に西共和国は、以前のセガール王国に似ていて農業について後進国であったが、今回それを指導する時間的余裕はなかった。
更に東に向けて私は馬車を走らせる。
ーー トーラル王国
5日後、トーラル王国に辿り着いた。
この王国も魔王軍による被害を受けた王国だ、最終的には魔王軍を殲滅したがそれまでの被害は、かなり大きかったと想像できる。
元スミス共和国の中央から東側を、聖皇国の侵攻から防ぎ元の共和国の体制を保っている。
その領地を素通りして、トーラル王国に向かったのだ。
そう言えば昔、エデン王国側から侵攻してきたドラゴンや魔物を退治した記憶があったな。
過去の記憶を思い出しながら感慨深く旅を続ける私の目に、あるものが飛び込んできた。
魔王軍に破壊された村や街の状況だ。
巨大なサンドワームが掘り起こしたという地面を見て私はある事に気づいた。
「これはまるでミミズが土地を耕しかしたようではないか!」
これに肥料を混ぜて畑として整備すれば、かなり早くに作物の収穫が可能なはずだ。
直ぐにこの地方を治める領主を訪ねる。
「その方が勇者と共に魔王を討伐したエストニア伯爵か?」
「はい、私はセガール王国国王の命で勇者ヒカルのパーティーメンバーとして、南大森林の魔王を討伐したものです。」
と使える肩書きを使い早急に要件を伝えた。
「何!直ぐにでも農地を回復させる方法があるというのは本当か?」
「はい。我がセガール王国で既に確認済みの方法ですので、許可をいただければ直ぐに取り掛かりいたします。」
「うむ、しかし他国の貴族が何故、我が国の苦境に手を差し伸ばすのか?」
「ご心配は分かります。しかしこれは私と神との約束であるので、ご心配なく。」
「何!それでは神に誓って間違いないのか?」
「はい。神に誓って真実とお答えします。」
こんな時この世界では、「神に誓う」という事で信用される方法が都合が良い。
許可を得た私は、監視の文官兵士を引き連れて荒れた田畑に向かうと。
収納されていた数多くの魔物の死骸を、土魔法を使い土と混ぜ始めた。
3日ほどの作業でほぼ全ての田畑を耕作して、穀物を植え付けた。
すると5日ほどすると、早くも驚きの成長を見せる穀物の報告が領主に届き始めた。
「何本当に田畑が回復したばかりか、驚異的な成長で豊作が予想されるというのか?」
と問う領主に文官が
「はい、セガール王国にも問い合わせいたしましたが、エストニア伯爵の方法で育てられた植物は、約3ヶ月で収穫できるという事です。これで我が領内の食糧不足は解決いたします。」
と興奮した様子で、説明した。
「今後も同じような方法で、作物を育てることは可能なのか?」
と問う領主に
「数回は同じような生産が可能と聞いておりますが、その後はまた以前と同じ程度になるようです。今回エストニア伯爵が行った耕作には大量の魔物の死骸が必要です。あれ程の魔物を土にすき込むことはほぼ不可能と思えます。」
という回答であった。
領主はそれでも喫緊の問題が解決した事に、大いに喜びエストニアを王都に誘った。
馬車で進む事4日、トーラル王国の王都に着いた私。
そこですぐに、国王アルフレッド=T =トーラルに謁見する事になった。
トーラル国王は、信義に厚い国王でエストニアの行為に深く感謝していた。
「セガール王国のエストニア伯爵、よくぞ参られた。我がトーラル王国は貴殿を賓客として迎える。」
という言葉を賜り、驚いているエストニアに更に国王は
「可能であれば我が王国の剣と魔法の英雄に一手指南して欲しいのだが」
と言われ断ることもできず
「分かりました、若輩者でありますが力を尽くします。」
と答えた。
次の日早くもトーラル王国の両英雄、剣のラルフと魔法のシルフの対峙していた。
ここは王宮内の騎士団の訓練場である、ここでは一般の者の目に触れずに戦えるというわけだ。
「ではこれよりセガール王国の英雄エストニア伯爵と我がトーラル王国の両英雄による模擬戦を行う。」
審判の騎士団長の声が響いた。
1対2を卑怯とは言わない、このような状況は戦いではよくあることだ。
私は、剣を構えてラルフの力量を探る。
シルフが私の気を逸らすように、魔力を高め素早い攻撃を行う。
大した威力はないが思わず対処してしまう程度には、威力がある土魔法でそれと同時にラルフが、私に突っ込んできた。
いい連携だが経験不足かな。
私にはほとんどの魔法は当たる前に無効化される。
全く対処していのにアース・ニードルが直前で消えた事に驚くシルフ。
それに構わず素早い踏み込みで切り込むラルフ。
その鋭い剣を柳のようにいなしながら前に歩き出す私、自慢の豪剣をものともせずに進んでくる私に気圧されて後ずさるするラルフ。
慌てて距離を置くとその隙にシルフが、魔力を練り上げた得意の炎の魔法を撃つ出す。
立ち上がる炎の中を何でもないように歩き続ける私に、驚き固まるシルフ。
次にラルフが奥の手の属性を纏わせた必殺剣を放つ。
「ドーン」
という何かが破裂したような音がして、見学している者の目にラルフが大きく飛ばされるのが見えた。
「何が起きたのだ?」
すると、ラルフ、シルフ両名とも膝をその場につき
「参りましてござる。我らでは歩みを止めることすら出来ませんでした、完敗です。」
と声を上げた。
「流石は魔王を一人で討伐されただけのことはある、勇者以上の武の男だ。」
と見ていた者の中から国王が前に出てそう言った。
「勇者以上のもの?」
その言葉の意味を理解できない者達を他所に国王は、
「見事であった。この国に災悪が訪れた際には是非に助力をお願いいたそう。」
と言いながら王宮に引き上げていった。
その後は騎士団100名との掛かり稽古や、500人との稽古など行い死屍累々の訓練所を生成した私は、その日の夜。
「今夜は騎士団主催の会食にご招待いたします。」
と言われ、大広間での大宴会に参加して楽しい時間を過ごした。
ーー英雄ラルフ side
私はセガール王国のエストニア伯爵に、一度でいいから試合を申し込みたいと考えていた。
噂に聞くエストニア伯爵の幾つもの信じがたい噂を体験したかったのだ。
するとその人物が魔王討伐を果たし、我が王国に立ち寄ったのだ。
私は国王に模擬戦を行うことをお願いした。
「ワシもその方とセガールの英雄の試合が見てみたい、任しておけ。」
と快諾してもらった。
そしてその夢の試合が実現したが、俺の横にはシオンが立っている。
これでは俺の望んだ試合にならないとその時は思っていたが、それは俺の思い上がりであった。
魔王郡を葬った2人をして、5分と持たなかった。
力の差があまりにも大きかったのだ、すると国王が
「流石は魔王を一人で討伐されただけのことはある、勇者以上の武の男だ。」
と呟いたのだ。
魔王は勇者でなければ討伐できない。これは古から伝えられた真実、それを超える人物が今俺の前に、それでは力が通じないの当然だ。
その後騎士団100、500人と休みなき戦うも全く歯が立たず、騎士団は全員倒された。
あまりの強さに騎士団全てが感動して、大宴会を開く事になった。
楽しい宴会であった、できればあの方の元で修行がしたい俺は切実に思った。
ーー 弟子が出来た。
トーラル国王に挨拶をして旅を続けようとすると、国王から
「貴殿に頼みがある。」
と言われ思わず
「私にできることであれば、何なりと。」
と答えてしまった。ニヤリと笑う国王が
「ここにおるラルフを弟子として修行をつけてほしい、我が国の英雄を更に大きくして戻すことをお願いするぞ。」
というと笑いながら送り出された、断ることもできない私は仕方なく弟子を取ったのだ。
私の収納には、数えきれないほどの(実際は数えられるが)魔物が収納されている。これをいかに処分するかが、今の一番の問題だ。
出来ればここで全て処分したいが、無理であろうな。
戻りながら各国のギルドで卸して回ろう。
次の問題は、邪神を復活させた邪神教の問題だ。
今回の魔王は争い事が嫌いだったようだが、次も同じとは限らない。
そこで邪神教を今のうちの一掃しておく必要があるのだ。
聖皇国の教皇から世界各国に邪神教の取り締まりを依頼した。
さらに幹部に対して懸賞金をかけた徹底したものだった。
しかし邪神今日については、暫く心配する必要がないことがその後報告される。
それは邪神を復活させ魔王を誕生させた邪神教は、その目的を遂げたことから信者全てがその身を邪神に捧げるという名目で死んでいたのだ。
ものすごく迷惑な団体だったな。
全ての問題が一応片付いた形で、王国に帰る事になった私に聖皇国は、
「汝エストニアを我が聖皇国の名誉伯爵とする。」
というものをいただいたのだ。
これで3カ国で爵位をもらった事になる。
私は馬車と聖霊馬を召喚すると、馬車に乗り込み帰途に着いた。
聖霊馬と私は視覚を共有しているにで、馬車に乗った状態で御者なくも問題なく走らせることができるのだ。
把見た目の問題があるため、ゴーレムを人型召喚して御者をさせている。
今回は東の国スミス共和国、トーラル王国南に降りせミール王国中央大森林を横断してセガール王国に戻る予定だ。
久しぶりの一人旅である。
大勢の王都民からの見送りを受け私は王都を東に出発した。
「フーッ。あまりに大袈裟な歓迎や見送りはいつまで経っても慣れないな。」
とぼやきながら馬車を走らせる事2日で、スミス共和国の国境にたどり着いた。
国境の門で身分を明かして無事スミス共和国に入る。
ーー 元スミス共和国西側
この元共和国は、多数の王族の治める小国家が集まり、合議制で一つの国として存在していた国であった。
数年前に亡国となり、西側が聖皇国に編入されている。
その亡国から逃れてきたのが、私の妹となっているクレアリーナだ。
現在の成立は約3年ほどのまだ若い国家である。
今回西大森林から魔王軍に魔物を恐れ逃げ出した魔物が、西共和国に溢れ出たスタンピードが発生していたようで、西共和国の南側に大きな被害が出ていたようだ。
魔物はある程度侵攻した後、また元の大森林に戻ったようで意外と早めに解決していた。
魔物の荒らされた村や街を通りながら、私は冒険者ギルドに立ち寄り幾つかの依頼を受けて回った。
依頼内容は、
・残った魔物の討伐
・外壁の修理
・田畑の復活
が主で、私の魔法で瞬く間に解決していった。
更に被害の多かった小国の領主(元国王)に、食料と魔物の素材をかなりの量渡すと大いに喜んでくれた。
そして10日後、西共和国の首都に着いた。
「勇者パーティーのメンバーに立ち寄りいただき、我が西共和国としても大変名誉です。」
と代表が挨拶された。
「私が勇者ヒカルでもありませんので、お構いなく。」
「とんでもございませね、貴方がここまでの途中に我が西共和国に多大な支援をいただいたことは、皆存じております。」
と言われそれ以上は無駄だと思い苦笑いに徹した。
歓迎を受けた私は、3日ほどその首都に滞在してまた旅を再開した。
基本的に西共和国は、以前のセガール王国に似ていて農業について後進国であったが、今回それを指導する時間的余裕はなかった。
更に東に向けて私は馬車を走らせる。
ーー トーラル王国
5日後、トーラル王国に辿り着いた。
この王国も魔王軍による被害を受けた王国だ、最終的には魔王軍を殲滅したがそれまでの被害は、かなり大きかったと想像できる。
元スミス共和国の中央から東側を、聖皇国の侵攻から防ぎ元の共和国の体制を保っている。
その領地を素通りして、トーラル王国に向かったのだ。
そう言えば昔、エデン王国側から侵攻してきたドラゴンや魔物を退治した記憶があったな。
過去の記憶を思い出しながら感慨深く旅を続ける私の目に、あるものが飛び込んできた。
魔王軍に破壊された村や街の状況だ。
巨大なサンドワームが掘り起こしたという地面を見て私はある事に気づいた。
「これはまるでミミズが土地を耕しかしたようではないか!」
これに肥料を混ぜて畑として整備すれば、かなり早くに作物の収穫が可能なはずだ。
直ぐにこの地方を治める領主を訪ねる。
「その方が勇者と共に魔王を討伐したエストニア伯爵か?」
「はい、私はセガール王国国王の命で勇者ヒカルのパーティーメンバーとして、南大森林の魔王を討伐したものです。」
と使える肩書きを使い早急に要件を伝えた。
「何!直ぐにでも農地を回復させる方法があるというのは本当か?」
「はい。我がセガール王国で既に確認済みの方法ですので、許可をいただければ直ぐに取り掛かりいたします。」
「うむ、しかし他国の貴族が何故、我が国の苦境に手を差し伸ばすのか?」
「ご心配は分かります。しかしこれは私と神との約束であるので、ご心配なく。」
「何!それでは神に誓って間違いないのか?」
「はい。神に誓って真実とお答えします。」
こんな時この世界では、「神に誓う」という事で信用される方法が都合が良い。
許可を得た私は、監視の文官兵士を引き連れて荒れた田畑に向かうと。
収納されていた数多くの魔物の死骸を、土魔法を使い土と混ぜ始めた。
3日ほどの作業でほぼ全ての田畑を耕作して、穀物を植え付けた。
すると5日ほどすると、早くも驚きの成長を見せる穀物の報告が領主に届き始めた。
「何本当に田畑が回復したばかりか、驚異的な成長で豊作が予想されるというのか?」
と問う領主に文官が
「はい、セガール王国にも問い合わせいたしましたが、エストニア伯爵の方法で育てられた植物は、約3ヶ月で収穫できるという事です。これで我が領内の食糧不足は解決いたします。」
と興奮した様子で、説明した。
「今後も同じような方法で、作物を育てることは可能なのか?」
と問う領主に
「数回は同じような生産が可能と聞いておりますが、その後はまた以前と同じ程度になるようです。今回エストニア伯爵が行った耕作には大量の魔物の死骸が必要です。あれ程の魔物を土にすき込むことはほぼ不可能と思えます。」
という回答であった。
領主はそれでも喫緊の問題が解決した事に、大いに喜びエストニアを王都に誘った。
馬車で進む事4日、トーラル王国の王都に着いた私。
そこですぐに、国王アルフレッド=T =トーラルに謁見する事になった。
トーラル国王は、信義に厚い国王でエストニアの行為に深く感謝していた。
「セガール王国のエストニア伯爵、よくぞ参られた。我がトーラル王国は貴殿を賓客として迎える。」
という言葉を賜り、驚いているエストニアに更に国王は
「可能であれば我が王国の剣と魔法の英雄に一手指南して欲しいのだが」
と言われ断ることもできず
「分かりました、若輩者でありますが力を尽くします。」
と答えた。
次の日早くもトーラル王国の両英雄、剣のラルフと魔法のシルフの対峙していた。
ここは王宮内の騎士団の訓練場である、ここでは一般の者の目に触れずに戦えるというわけだ。
「ではこれよりセガール王国の英雄エストニア伯爵と我がトーラル王国の両英雄による模擬戦を行う。」
審判の騎士団長の声が響いた。
1対2を卑怯とは言わない、このような状況は戦いではよくあることだ。
私は、剣を構えてラルフの力量を探る。
シルフが私の気を逸らすように、魔力を高め素早い攻撃を行う。
大した威力はないが思わず対処してしまう程度には、威力がある土魔法でそれと同時にラルフが、私に突っ込んできた。
いい連携だが経験不足かな。
私にはほとんどの魔法は当たる前に無効化される。
全く対処していのにアース・ニードルが直前で消えた事に驚くシルフ。
それに構わず素早い踏み込みで切り込むラルフ。
その鋭い剣を柳のようにいなしながら前に歩き出す私、自慢の豪剣をものともせずに進んでくる私に気圧されて後ずさるするラルフ。
慌てて距離を置くとその隙にシルフが、魔力を練り上げた得意の炎の魔法を撃つ出す。
立ち上がる炎の中を何でもないように歩き続ける私に、驚き固まるシルフ。
次にラルフが奥の手の属性を纏わせた必殺剣を放つ。
「ドーン」
という何かが破裂したような音がして、見学している者の目にラルフが大きく飛ばされるのが見えた。
「何が起きたのだ?」
すると、ラルフ、シルフ両名とも膝をその場につき
「参りましてござる。我らでは歩みを止めることすら出来ませんでした、完敗です。」
と声を上げた。
「流石は魔王を一人で討伐されただけのことはある、勇者以上の武の男だ。」
と見ていた者の中から国王が前に出てそう言った。
「勇者以上のもの?」
その言葉の意味を理解できない者達を他所に国王は、
「見事であった。この国に災悪が訪れた際には是非に助力をお願いいたそう。」
と言いながら王宮に引き上げていった。
その後は騎士団100名との掛かり稽古や、500人との稽古など行い死屍累々の訓練所を生成した私は、その日の夜。
「今夜は騎士団主催の会食にご招待いたします。」
と言われ、大広間での大宴会に参加して楽しい時間を過ごした。
ーー英雄ラルフ side
私はセガール王国のエストニア伯爵に、一度でいいから試合を申し込みたいと考えていた。
噂に聞くエストニア伯爵の幾つもの信じがたい噂を体験したかったのだ。
するとその人物が魔王討伐を果たし、我が王国に立ち寄ったのだ。
私は国王に模擬戦を行うことをお願いした。
「ワシもその方とセガールの英雄の試合が見てみたい、任しておけ。」
と快諾してもらった。
そしてその夢の試合が実現したが、俺の横にはシオンが立っている。
これでは俺の望んだ試合にならないとその時は思っていたが、それは俺の思い上がりであった。
魔王郡を葬った2人をして、5分と持たなかった。
力の差があまりにも大きかったのだ、すると国王が
「流石は魔王を一人で討伐されただけのことはある、勇者以上の武の男だ。」
と呟いたのだ。
魔王は勇者でなければ討伐できない。これは古から伝えられた真実、それを超える人物が今俺の前に、それでは力が通じないの当然だ。
その後騎士団100、500人と休みなき戦うも全く歯が立たず、騎士団は全員倒された。
あまりの強さに騎士団全てが感動して、大宴会を開く事になった。
楽しい宴会であった、できればあの方の元で修行がしたい俺は切実に思った。
ーー 弟子が出来た。
トーラル国王に挨拶をして旅を続けようとすると、国王から
「貴殿に頼みがある。」
と言われ思わず
「私にできることであれば、何なりと。」
と答えてしまった。ニヤリと笑う国王が
「ここにおるラルフを弟子として修行をつけてほしい、我が国の英雄を更に大きくして戻すことをお願いするぞ。」
というと笑いながら送り出された、断ることもできない私は仕方なく弟子を取ったのだ。
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