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イレギュラーは何処にでもある

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本当は夜の見張りの必要はないのだが、経験をするために2人、1人、2人の順番で野営場のすぐ脇に見張り用の簡易結界を張った。
これは周囲の気配がよくわかる感じで、こちらの気配も少しは漏れる仕様だ。
前衛後衛が組3時間ずつの見張りをする、危なくなったら野営地の結界に避難すればいい。

皆んな私の張った結界の強さを実感したのか、
「こんな安全な見張りはないわね。」
と言いながら見張りに着き始めた。
私は一応危険察知のパッシブスキルを発動して1人2人用のテントに入る。

最初の見張りは、20時から23時までミケとコンで
「魔物が来たら倒しておくね。」
などと余裕を見せていた。

コボルトが2度ほど現れたらしく、1頭仕留めていた。
私は23時から02時までの見張り役だ。

丁度交代時間が来る頃にそのイレギュラーは現れた。
「何か来たわね!・・・この魔力は・・フェンリル?」
どうやら竜種とでも争ったのか、傷ついたフェンリルが一頭こちらに向かってきているようだ。
何故怪我をしているのがわかったかと言うと、足音がおかしいのだ。
10分ほどすると野営地のすぐ脇まで来たフェンリルが、一哭し存在を誇示する。
「私を呼んでいるのか?」
フェンリルの声に叩き起こされた4人が、緊張の目で私の方を見ているのが分かった。
私は手でその場に残るよう指示して、見張り場からフェンリルの元に歩いて向かう。

私が現れたことを確認したフェンリルが念話を使い
「遠き旅人よ、我の頼みを聞いてくれ。呪いにかかった竜が森で暴れている、どうか退治してくれぬだろうか。」
と願ってきたのだ。
「いいよ。その前に貴方の怪我を治そう、その後案内を頼むわ。」
と言うと私は
「パーフェクトヒール」
を発動する。

「・・これは!助かった、それでは我が背に乗るが良い。」
と念話を送ったフェンリルが腰を落とす、その腰に這い上り跨るように乗るとフェンリルは、風のように走り出した。

30分ほど走ったであろうか、森の木々が折れ吹き飛ばされて出来た広場に中央に、ドス黒い魔力を撒き散らす地竜一頭居た。
「あれが呪われた竜ね。」
「そうだ、何かを食ったようで突然おかしくなった。もう助けられぬ、楽にしてやってくれ。」
と答えたフェンリルから降りた私は、
「身体強化MAX、物理・魔法耐性MAX、身体異常無効、解呪発動MAX、結界魔法発動強度MAX、
重力魔法100倍発動、次元切断魔法発動」
次々に魔法を発動しながら地竜の動きを抑えて攻撃を加えながら呪いを解呪してゆく、出来れば最後はまともな状態で倒したいから。
地竜は始めこそ抵抗しようとしたが、重力魔法で押さえつけられた上次元ごと切断する斬撃に抵抗する事もできず、更には解呪の効果か目の色が真っ赤に濁った色からブルーの澄んだ色に変わっていた。
「めいわくをかけたようだ、世話になった皆。遠き旅人か・・最後に良き出会いがあったな。」
と念話を飛ばすと静かにその命を終えた。

「遠き旅人よ世話になった。ただこの地竜の亡骸はこの森に返したい。その代わり我が子を其方の使い魔として差し出そう。」
とフェンリルが言うと子犬のような真っ白さの中に透き通るような青さががある毛並みの犬?が近づいてきた
「これがフェンリルの子供、分かったわ宜しくね私はメグミよ貴方の名は?」
「名はまだない、付けてくれれば良い。」
と親フェンリルが念話を飛ばすと子供のフェンリルが「ワン」と吠えた。
「うん・・、貴方の名は・・。」
子供のフェンリルを抱き上げて私は、澄んだ水を思い浮かべて
「アナーヒターから名をもらって、アナータにするわ。」
と言いながら子供のフェンリルに頬擦りした、するとその瞬間フェンリルと私の間に何かが繋がった気がした。

「ありがとう、私はアナータ、メグミの使い魔よ。」
と頭に響いた
「まあ!貴方も念話が使えるのね。宜しくね。」
と挨拶をしあった。

その後、私はアナータを連れて野営地の戻ると4人にアナータを紹介した。
すると4人は地面に頭を擦り付けんばかりに頭を下げて
「フェンリル様、お会いできて光栄です。我らのことを手足と思いつお使いください。」
と言い出したのだ。
どうも獣人とは、フェンリルに対して特別な信仰があるようだ。

その後3日ほどかけてオークとその集落を殲滅した私たちは、ギルドに転移するとアナータを従魔登録したのだった。


ーー ギルドにて ーー


「お帰りなさい・・ませ・!その・・魔物はひょっとして・・フェンリルの子供ですか?」
受付嬢が帰ってきた私たちを迎えて挨拶をしながら私の横にいるアナータを見つけて、震えながらそうきいた。
「はい、フェンリルのアナータです。従魔契約したので手続きをお願いします。」
と言うと
「従魔!え、はい、直ぐに!」
慌てながらも手続きをし始めた頃。その様子を見ていた初顔の冒険者パーティーが割り込んできた。
「そいつは小娘には荷が重い、そのフェンリルはBランクの俺らが世話してやろう。おい受付、俺らの従魔として登録しろ!」
と無理難題を言い始めた。
これを聞いていた周りの冒険者が
「おい聞いたか、アイツら彼女に言いたい放題な事を言い出したぜ、これからどんなことが起こるか賭けないか?」
と言う者に
「賭けになるかよ。Bランク程度なら100人いたとしても歯が立たないはずだ。」
と言うような話を小耳に挟んだ男の仲間が、顔色を変えながら私を見直した。
「成人したばかりの年齢、この辺では珍しい黒目黒髪・・・まさか・!あの女がSS級のメグミなのか?」
「おいゴンザレス、そいつはまずいぞ。出るぞ!」
と声をかけた仲間の言葉を
「バカ言うな、こんな上手い話捨てられるか。おい早くしろ」
と言ったところで私は、その男を重力魔法で床に縫い付けてから
「貴方たち誰に物言っているか分かっているんでしょうね?今までもこんな事してきたんでしょうね、今日は初心に戻って訓練しなおしましょうかね。」
と言いながら5人全員を結界で拘束すると、裏の訓練場に引きずって行った。

「うううー。息ができない。どうにかしろ。」
最初に重力魔法に縫い付けられた男はいまだに状況が分かっていないようだ。私はさらに重力を追加する

「グッ!・・ゲゲゲ!」
気を失った男を結界ごと高さ10mほど打ち上げると重力を解除した。
「グエッ!」
衝撃で息を吹き返した男が、ふらつきながら私を見つけると
「お前がしたのか?生かしておかねえぞ」
とソードを抜いた。
その瞬間、男のソードがそれを持つ腕の肘から先ごと地面に落ちた。
「!!クーッ。イテー!」
転げ回る男、それを足て押さえてから私は言う
「剣を抜いた以上、生きてここから帰れると思わないことね。しかも直ぐには殺しはしないわ。」
と言うと左右の耳を切り飛ばした。
「ウワーッ!」両耳を抑えようとするが片手がないためそれもできない。
涙目で私を見ながら
「お前はなんだんだ?こんな事して無事で済むと思っているのか?」
と叫んだが、誰もそれにつ以上するものはいない、皆私がS級の冒険者だと気付いたのだ。
冒険者には不文律がある、それは
・上位ランク者特にA以上には逆らわない。
・2ランク上のものには逆らわない。
・Sランク者は、国家以上の強さがる。
・ギルドはSランク者には、逆らわない。
と言うのもで、この国ではSランク以上は、部長と私の2名だけ。
誰も私には手を出してはいけないのだ。

よって、SS級の私の従魔を横取りしようとしたこの男とその仲間は、ここで殺されても誰も何も言わない、いや冒険者で居られないのだ。
次第に自分のした事が分かり始めた男は、苦しみながらもいきるみちを探す。
「お前がS級の冒険者かどうか知らんが、俺はSSS級のクレナイの仲間だぜ、お前の命もこれまでだな。それが嫌なら黙ってやるから俺の怪我を治せや!」
と言ったところで
「僕は貴方のような穢わらしい心根の冒険者を知らないな。」
と言う声が聞こえてきた、私が
「くれない部長、ただいま帰りました。」
と挨拶すると部長は
「あ、あ・・違うんだ・・俺は・・」
とここまで言ったところで、男は姿を消した。
その後仲間の男らも次々にきえて行った。
「部長何処にやったんですか?」
「見たくもないから森に捨てたのさ。」
と答える部長。

そのやり取りを見ていたギルドの中の冒険者は、咳払い一つ出来ずに息を殺していた。
その後私たちが去った後、ギルド内では
「俺、もう死んだと思っていた。見た目じゃ強さがわからないと聞いたが・・・あの威圧、お前ら絶対にあの仲間に絡むなよ!おりゃまだ死にたくねえからな。」
と言うのを仲間やそばの男らが、首を激しく振っていた。

次の日私と4人は改めてギルドに向かった。
オークの買取と殲滅の報告のためだ。
「流石だ、オーク150頭余りの討伐確認した。コイツはオークジェネラルだな。」
と言いながらギルマスが確認して、依頼達成と報奨金と買取金合わせて金貨100枚を差し出した。
「金貨だ!こんな量初めて見た。」
ミケが思わず声を出して驚いた。
「これが貴方たちの取り分ね。」
と言いながら私は、金貨50枚から装備や準備にかかったお金を引いた金貨40枚を渡した。
「こんないいいの?私たちが倒したオークは30位だよ。」
と言うミケに
「私も依頼で受けたんだし、成功報酬だからこれでいいのよ。でも自分の力を過信しないでね。」
と言いながらギルドを後にした。

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