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冒険者生活

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冒険者ギルドに3人で向かう。
今日はルシファーが依頼を探す。
「ファースト様、ワイバーンがデリ村があるそうです、討伐依頼です。」
と一枚の依頼書を手に持ち戻ってきた。
「ならそれを受けようか。」
と言いながら受付に向かうとその様子を見ていた冒険者が
「おい聞いたかよ、ワイバーンの討伐依頼を受けるそうだぜあの小僧ら。」
といかにも冒険者という感じの、ガタイの良い男ら3人のうちの一人が上から目線でファースト達を揶揄い出した。
その瞬間、ギルド内が凍りついた。
「何だいこのギルドは、お子様に気を遣っているのか?殿のボンボンだよ。冒険者は実力が全てだ、家や位じゃねえんだよ。」
と男達がさらに言えば、その場の冒険者は音もなく立ち去り始めた。

するとファーストが3人に近づきながら
「お前ら偉そうな口を叩いてる様だが、そんなに強えのか?」
と聞いたら
「おお、女の前で勇気を振り絞ったか。俺らはAランクパーティーの「ドラゴンに牙」だ。お前も名前ぐらいは知ってるだろう?」
とさも偉そうにいう男に、ファーストは
「ドラゴンの垢?聞かねえな。どうせ弱い奴らの集まりなんだろ。人に世話を焼く前に実力でも上げなよ。」
と言いながら依頼の受注を始めた。

その態度に3人の男らは怒り始めた
「コイツ俺らを舐めてやがる。おい!顔かせよ俺らが実力を教えてやるから。」
とファーストの肩に手を置こうとした途端、その男が床に叩き付けられて伸びていた。
「お前!」
と言いながら他の二人がファーストに手を出そうとした瞬間、身体が動けなくなり震え出した。
「お前ら、実力差もわからん様な弱者が、俺に大きなこと言うんじゃねえよ。それ以上動けば首を捻じ切るぜ。」
と言うとカウンターを向き直した。

「ファースト様、受付完了しました。お早いお帰りお待ちしております。」
と言う受付嬢に「分かっている」と返すファースト達はそのままギルドを後にした。

その数分後、じゃらだの自由が戻った3人は受付嬢に
「今のは誰だ!このままじゃ気が治まらん。」
と言うのに受付嬢は
「今のはSSランクのファースト様です。一度だけ注意します、彼の方に二度目はありません。次は首をと言われましたので、確実に殺されますのでここを離れるか大人しくすることをお勧めします。」
と言うのだ、こんな話今まで聞いたことがない。
「なんだよ、ギルドはアイツの肩を持つのかよ。」
と不満を言えば、どこのギルマスが出てきて
「お前ら、これからも冒険者を続けたいならアイツに絡むな、本当に殺されるぞ。そして誰もそれを止められないし、アイツがどうにかなることすらない。アイツはこの世界で一番強いからだ。」
と言うギルマスの言葉が信じられない男らは、黙ってその場をさった。

3人はファースト達の受けたデリ村に向かって歩いていた。
「俺たちをコケにして絶対に許さん。殺してやる。」
と一人が言うと
「おい、しかしギルマスが関わるなと言っていたぜ。」
と言うともう一人が
「どうせ立場的な言葉だろ、外で何が起ころうがギルドにゃ関係ないさ。」
と言うのに
「それもそうか」
と納得して歩き始めた。


ーー デリ村


デリ村は以前ゴブリンが溢れた森の外周にある村の一つで、岩山がある方だ。
ワイバーンは岩山に巣を作る魔物で、群れを作る場合がありその場合は危険度Sと言われている。

馬車に乗りデリ村に向かうファーストらの後ろから歩いて追いかける「ドラゴンの牙」の3人。

デリ村についたファーストらは村長から話を聞きその日のうちにワイバーンの住処へ向かう。

「ソーニャ、今回はルシファーと二人でワイバーンを1匹ずつ倒してみろ。」
と言うファーストの言葉にソーニャとルシファーは、頷くと二人飛び出して行った。

「相手は逃げもしないのに慌てて、まあ良いか。」
と言いながらファーストはその後を追った。


その日の夕方、「ドラゴンの牙」の3人が村に着いたがそのまま、宿に泊まった。
夜にはしこたま酒を飲んで、村に迷惑をかけると若い女性を宿の引きずる様に連れて行った。
村長はそれを止めることもできず、困っていたところに昼間のファースト達が戻ってきた。
「申し訳ありません、冒険者が村娘を攫って乱暴しようとしています、どうにかできませんか?」
と言う言葉にソーニャとルシファーが
「直ぐに向かいます。」
と言うと村長の家を飛び出した。

「あのお二人で大丈夫でしょうか?相手は強そうな男3人でしたが?」
と心配そうな村長に、ファーストは
「問題ないですよ、今日も二人だけでワイバーンを5頭倒してきましたから。」
と言いながらワイバーンの骸を収納から取り出して見せた。
「おおこれで心配事のひとつがなくなりました。ありがとうございます。」
と言うと村長は依頼達成の署名をした。

ファーストは、書類を確認したのちに宿に向かって歩いて行った。


○   デリ村の宿「森の宿」にて。

「勘弁してください。」
「助けてください、お母さん!」
攫われた村娘の悲鳴が宿に響く
「静かにしろ!殺されたいのか!」
と脅されて、黙り込む村娘達。

オロオロする宿の主人の元にソーニャ達が駆けつけ
「どの部屋です?」
と聞けば、主人は部屋を指差す。
そのあの扉を蹴破りソーニャとルシファーが部屋に飛び込む。

「あぎゃー!。」
「離せー」
「お前らはアイツの・・」
それぞれの声が聞こえた後、男達は首を捻じ切られて息絶えた。

宿の主人がおそるそそる静かになった部屋を覗くと、恐ろしさに気を失った村娘達を解放しているソーニャ達と床に転がる首が違う方向に向いた男達がいた。
そこにファーストが現れ、男たちを収納すると金貨1枚を宿の主人に手渡すと
「処理はこちらですますから、これは迷惑料だ。」
と言いながら村娘達を村長の家に運ばせた。

村長は村娘達が無事に戻ったこと、冒険者が既に死んだことを知って、ほっとするやら心配するやらの顔でいたので
「心配はいらん。俺が冒険者ギルドに説明するから問題ない。」
と言ってその晩は村長宅に泊まった。

次の日の朝、村から出る馬車に乗り王都に向かった。

  王都冒険者ギルドにて。

ギルドについたファースト達は、受付で依頼達成のの報告と冒険者が村娘を攫って乱暴しているお頃に出会したので、殺して村娘を助けた、と報告した。
直ぐにギルマスに話が伝わり、ギルマスの部屋の呼ばれると
下座で待つギルマスが「どうぞ」と上座を譲る。

ファーストは黙ってそこに座ると、そばにソーニャが説明し始めた。
「話は分かった。その者の身元はわかるか?」
と尋ねるギルマスに3人の骸を収納から取り出して、
「コイツらだ。」
と言えば
「ああ、コイツらか。馬鹿な奴らだ。分かった、ギルドからも村にお詫びを届けさせるからあとは大丈夫だ。」
と言うと職員に死体の処理を指示したそして
「ワイバーンはどの位いたんだ。」
と依頼の話になり
「今から裏で出すが10匹ほどいた。全部退治したから問題ない」
と答えるファースト。
「・・10匹のワイバーンが、お前らがいてよかったよ。ほんと。」
と答えたギルマスは、本気でそお思った。

たとえ冒険者と問題を起こしても、そんな魔物を簡単に退治できる冒険者自体がいやしない、冒険者は危険を感知できて一人前だ、それを見せつける彼らを恨む理由はない。


ーー 次の依頼


「ルシファー、今度もお前が依頼を選んでくれ。」
そう言われてルシファーが依頼を探す、今日はファーストとソーニャはギルド内の食堂に腰を下ろしている。

暫く食堂でお茶を飲んでいると、ギルドの依頼を張り出しているところから声が聞こえ始めた。
「おい、一人で依頼もないだろう。俺たちが一緒に受けてやるから来いと言っているんだ。」
とどうもルシファーに声をかけている冒険者がいる様だ。
ここの冒険者は、バカばかりなのか。
するとソーニャが席を立ち依頼の張り出されている場所に向かうと、ルシファーの前に立ち塞がる様に立っている男を見つけ
「そこにデカブツ、弱いくせに邪魔をするんじゃないよ!」
と声をかけた。
声をかけられた男は、振り向きソーニャを見るといやらしい目をしながら
「お前も一緒のどうだ、楽しいぞ。」
とまたバカなことを言った。
するとソーニャが目にも止まらぬ動きで男の足を蹴り折った。
「イデー!足が・・俺の足が・」
痛さで転げ回る男を尻目に、ソーニャとルシファーは依頼を手に食堂に戻ろうとすると、先ほどの男の仲間と思えるものが5人前に立ち塞がった。
「おいおい、仲間を怪我させてそのままで逃げるつもりか。」
と因縁をつけてきた。

周囲の冒険者が
「またバカが。」
と小声で言い合い始めた。

その声を聞いて普通と違うと感じた仲間の一人が
「おいどう言うことだ、ここではこれが問題にならないというのか?」
と一人の冒険者に問えば
「ここに来るやつで、彼女や彼を知らないのはモグリだよ。彼らが何をやっても罪に問えないし、彼らの前を妨げてはいけないんだよ。」
と言う。
「そんな話があるかよ。」
と言いながら男は仲間と同じ様にソーニャ達に、絡み出した。

すると嫌気がさしたソーニャが、
「ガタガタうるさい!弱いお前らが私たちに絡むんじゃない!」
と一喝した、
「何を!俺たちが弱いとでも言うのか、俺たちはBランクパーティーだぞ。」
と胸を張って言う男にソーニャがSランクと書かれた冒険者証を見せる
「これ以上絡むなら、死を覚悟しな!」
と言うとルシファーを連れて食堂に戻る。

「おい、Sランクの冒険者を初めて見たぞ。あの年でなれるんだな。」
と感心する男と
「何を言っているんだ、仲間が怪我されたんだぜ、許せるかよ。」
と言う男の声が強い様で、食堂方向に歩き始めた。
そこにギルドの職員が声をかける
「皆さん、これを読んでいますか?このギルドでは決してしてはいけない事があります。先ほどの女性二人と連れの男性に絡む事です。命の補償はできませんので必ず守ってくださいね。」
と言うと職場に戻って行った。
その話を聞いた冒険者らは一旦考えたが、結局食堂に向かいファースト達の席に近づくと
「俺たちの連れがその子に怪我をさせられた、どうしてくれるんだ。」
とファーストに問い詰めた。

ファーストは声をかけた男に振り向くと、
「なんだ?弱い奴が強い奴に絡んでやられただけだろう、自業自得だ問題ないだろ。ごちゃごちゃ言うなら俺が出るぜ!」
と威圧をくれると全員が震え出した。
「待ってくれ、こっちもよく分かっていない確認するから。」
と言い訳して場所を変える男達。

コソコソと話す声が聞こえるが聞く必要はない、ファーストは
「ルシファーに依頼を受ける手続きをしてきな。」
と言いながら席を立つ。

足を折られた男は、痛みのためか気を失っていた。

受付で依頼を受理し、ギルドを出るファースト達を見ながら先ほどの冒険者が近くの冒険者に声をかける。
「おい、アイツらは何者なんだ?」
と。
「おめえら、生きて依頼を受けたかったらあの3人に絡むなよ。男はSSランクのファースト、二人の女もSランクの冒険者だ。殺されても文句が言えね。今まで何人も殺されている。触らぬ神に祟りなし。とここでは言うんだよ。」
と教えてくれた。

怪我をした男を医務室に運ぶと
「今回だけだぞ」
と言って無料で治療してくれたが、それもあの男らがここからいなくなると困るからだ。

男達はその日のうちに王都を離れて別の街を目指して移動した。
最近王都のギルドには、問題を持つ変な冒険者などは居なくなり、職員からは以前より働きやすいと好評である。
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