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騎士科
『お兄様』指導
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僕は落ち着かない気持ちで部屋の湯船に浸かっていた。今夜これからエイデン様が僕に、お兄様契約の性教育をしてくれるのだろうか。
最近の僕は、大人の記憶はほとんどモヤモヤしたものしか思い浮かばない。肝心のこの手の記憶どこいったんだろう…。もしその記憶が有れば、こんなにそわそわしなくて済んだのに…。
僕のあの記憶が僕自身の命を守るものだったとするなら、何となく納得できるんだ。生きる気力を失っていた6歳のあの時、大人びたあの記憶のお陰で僕は街の子として走り回れるくらい元気になれた。
そして今は、もうその記憶に頼らなくてもちゃんと生きていける様になった。そう言うことなのかもしれない。じゃあ僕はこれから、今の自分だけの力で生きていくんだな。
湯船にポタンと落ちた雫の音でハッとした僕は、もう直ぐ約束の時間になってしまうと、慌てて湯船を飛び出した。一応念入りに洗った身体は、仄かな期待に敏感になっている気がした。
エイデン様は僕と話をするって言っただけじゃないか。話だけかも…。僕は雑念を振り払う様に慌てて夜着を着込むと、部屋に戻って何か問題がないか見渡した。
丁度その時部屋の扉がノックされて、僕は胸のドキドキを感じながら部屋のノブを回した。エイデン様が何か手に持って廊下に立っていた。胸元が空いたブラウスで薄暗い中に立つエイデン様は何だかいつもと雰囲気が違って、僕はますますどうして良いか分からなかった。
「入れてくれないのかい?」
そうエイデン様に聞かれて、僕は慌てて部屋の中へと入ってもらった。僕の様子を見たエイデン様はニコッと微笑むと部屋の鍵を掛けて、僕の手を掴むと僕をベッドまで連れて行った。
「思った通り緊張してるみたいだね。そうじゃないかなと思って、今夜はこれを持って来たんだ。これはあのお店でいつも私が使用してるものだよ。これでマッサージしながら、ちょっとだけ話をしようか。もしアレなら眠ってしまっても良いからね?」
そう言ってベッドサイドテーブルにとろみのあるオイル瓶をコトリと置いた。それはボディオイルだった。一緒に買い物に行った時に僕も買おうか迷った物だ。
僕はベッドに寝かされてオイルを塗るからとパンイチになって横たわった。部屋の蝋燭もデスクの上だけにして、ぼんやりとした明るさが僕をリラックスさせた。
エイデン様はブラウスの袖をたくし上げて、手のひらにオイルをトロリと垂らすと両手で伸ばして言った。
「じゃあ始めるよ?私に任せて、サミュエル。」
最近の僕は、大人の記憶はほとんどモヤモヤしたものしか思い浮かばない。肝心のこの手の記憶どこいったんだろう…。もしその記憶が有れば、こんなにそわそわしなくて済んだのに…。
僕のあの記憶が僕自身の命を守るものだったとするなら、何となく納得できるんだ。生きる気力を失っていた6歳のあの時、大人びたあの記憶のお陰で僕は街の子として走り回れるくらい元気になれた。
そして今は、もうその記憶に頼らなくてもちゃんと生きていける様になった。そう言うことなのかもしれない。じゃあ僕はこれから、今の自分だけの力で生きていくんだな。
湯船にポタンと落ちた雫の音でハッとした僕は、もう直ぐ約束の時間になってしまうと、慌てて湯船を飛び出した。一応念入りに洗った身体は、仄かな期待に敏感になっている気がした。
エイデン様は僕と話をするって言っただけじゃないか。話だけかも…。僕は雑念を振り払う様に慌てて夜着を着込むと、部屋に戻って何か問題がないか見渡した。
丁度その時部屋の扉がノックされて、僕は胸のドキドキを感じながら部屋のノブを回した。エイデン様が何か手に持って廊下に立っていた。胸元が空いたブラウスで薄暗い中に立つエイデン様は何だかいつもと雰囲気が違って、僕はますますどうして良いか分からなかった。
「入れてくれないのかい?」
そうエイデン様に聞かれて、僕は慌てて部屋の中へと入ってもらった。僕の様子を見たエイデン様はニコッと微笑むと部屋の鍵を掛けて、僕の手を掴むと僕をベッドまで連れて行った。
「思った通り緊張してるみたいだね。そうじゃないかなと思って、今夜はこれを持って来たんだ。これはあのお店でいつも私が使用してるものだよ。これでマッサージしながら、ちょっとだけ話をしようか。もしアレなら眠ってしまっても良いからね?」
そう言ってベッドサイドテーブルにとろみのあるオイル瓶をコトリと置いた。それはボディオイルだった。一緒に買い物に行った時に僕も買おうか迷った物だ。
僕はベッドに寝かされてオイルを塗るからとパンイチになって横たわった。部屋の蝋燭もデスクの上だけにして、ぼんやりとした明るさが僕をリラックスさせた。
エイデン様はブラウスの袖をたくし上げて、手のひらにオイルをトロリと垂らすと両手で伸ばして言った。
「じゃあ始めるよ?私に任せて、サミュエル。」
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