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騎士科

エイデン兄様のお迎え

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扉をノックする音がして、僕はぼんやりと目を覚ました。見慣れない部屋を眺めて、僕はハッとして飛び起きた。そうだ!ここは騎士科の寮だ。もう一度扉がノックされて、僕は慌ててベッドから滑り降りると扉を開けた。

「エイデン兄様!」

目の前にはいつもよりラフな格好のエイデン様が立っていた。エイデン様は僕を上から下まで眺めるとクスッと笑って言った。


「サミュエルは寝坊すけさんだね?今日は新学期前の休日だから、一緒に朝食の後に寮内を案内して、王都で足りないものを買いに行こうかと思ったんだけど。」

僕はちょっと待ってて下さいと一人掛けのソファにエイデン様を案内すると、慌ててベッドメイクをして洗面所で顔を洗ったりしてもつれる髪を梳かした。


鏡にエイデン様が写り込むと、僕からブラシを取り上げてそっと僕の髪を梳かしてくれた。

「…サミュエルの髪は巻き毛だから絡むんだね。後で王都へ行ってヘアクリームを買おう。せっかくの美しい髪が傷んでしまうだろう?」

いつもメイドや執事がやってくれていたので、僕は自分の髪がこんなに大変な代物だとは気がついていなかったんだ。僕は鏡越しにエイデン様を見上げて、お世話をしてもらえる嬉しさとドキドキに胸いっぱいになりながらお礼を言った。

エイデン様は鏡の中の僕と目を合わせながら耳元で囁いた。


「今度、私の髪も梳かしてもらうから大丈夫だよ。」

僕は何て返して良いかわからなくて、口をポカンと開けたまま髪が整うのを待った。ああ、何だか朝から心臓に悪いんですけど。それから僕は窓際に立って僕のテディベアを撫でるエイデン様を横目に急いで着替えた。

今日のエイデン様はとろみのある白いブラウジングシャツに、ダークグレーのスッキリしたズボンに黒いショートブーツだった。僕はクローゼットから同じ様な白いシャツに、明るいサックス色のパンツ、黒いショートブーツを選んだ。まるっきり同じような服を選ぶのは恥ずかしかったので、ズボンだけ色を変えたんだ。


エイデン様はハンガーからサックス色の細いタイを取ると、僕の首にスルリと巻き付けて結んだ。

「サミュエルは細くて美しい首をしているから、何もつけないと周囲の視線を奪うからね。それはちょっと心配かな?」

そう言って僕の唇にそっと柔らかく口づけた。ああ、まだ朝目覚めてから一時間も経ってないのに、僕はもうエイデン様にくらくらしっぱなしです…。お兄様契約って凄い…。





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