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馬は3回目です。慣れてます。

王子様の登場

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僕たちは横一列に整列していた。もちろん僕にはウィルが乗っている。ウィルは僕を見るなり、房飾りがよく似合うって撫でてキスしてくれた。ふふ、やったね。

少し離れた正面には、指揮官と副指揮官が王子様の両サイドに立って何か説明をしていた。初めて見る王子様は、騎乗前の騎士たちの話によれば年齢は14歳で、第二王子らしい。


少し長めの柔らかな銀色の巻き毛を耳の辺りで切り揃えて、真っ青なクリッとした瞳で興味深そうに僕たちを順番に見ていた。その視線が僕に止まった時に、少し驚いた様に目を見開くのが分かった。

僕はそんな第二王子の様子に何だろうと思ったけれど、直ぐに王子の視線は動いた。結局第二王子の視察は滞りなく終わった。僕はさっきの視線が引っ掛かかったものの、人間同士の煩わしさのない馬の立場で呑気にしていたんだ。


すると副指揮官が少し顔を強張らせて僕に近づいてきた。後ろから第二王子の護衛である聖騎士が一緒についてきた。副指揮官は僕の手綱を取りながらその聖騎士に尋ねた。

「黒馬というと、この馬のことか。」

聖騎士は僕をじっと見つめながら頷いて答えた。


「はい。第二王子がこの黒馬を近くで見たいとのことです。お願いします。」

僕は聖騎士を見て、副指揮官を見た。え?何だって?僕?少し動揺してしまって、頭を振り過ぎてしまった。いけない、いけない。落ち着かなければ。

副指揮官は、離れたところから慌てて近づいてくるウィルに目配せすると、聖騎士の後を僕を連れてついて行った。ウィルも僕の首に手を触れながら一緒に来てくれている。僕は急にドキドキし始めた。


僕は何がどうなっているのか分からなかったけれど、王子の御前に引き出されるのはハッキリしたんだ。僕が近づいて来るのを見た第二王子は、青い目をキラキラさせながら言った。

「この馬は誰のものだ?」

副指揮官は王子の前に跪いて答えた。

「…ブランダム辺境伯の子息、ウィリアム騎士の馬、フォルでございます。」


第二王子はウィリアムの方を見ながら尋ねた。

「其方が騎士ウィリアムか?この馬はいつから其方と共にある?」

ウィルは、王子の意図が掴めず戸惑った様に答えた。

「…この馬は新馬で国境の戦にも参戦いたしましたが、まだ半年ほどです。」

王子は頷くと、僕に手を差し出した。


まだ少年とは言え王族の貫禄を醸し出しているせいなのか、僕は持ち前の権力に迎合する癖で、差し出された手に鼻先を擦り付けた。

王子はそれから、僕の額の星模様を何度も撫でると、嬉しそうに言った。

「騎士ウィリアム、私にこの馬をくれないか?」
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