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はい。馬は2回目です。
恐ろしい考え
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『マジでビビってたろ、フォル。』
先輩馬に揶揄われて、僕はブヒブヒ言いながら反論した。
『だって久しぶりだったんですよ。魔物ってあんなにキモかったですか?触手みたいのがいっぱい伸びて来て、僕の脚を掴んだんですよっ⁉︎うわ、ゾッとする!早く帰って洗ってもらわなくっちゃ。』
僕の言い分に、周囲の馬達が爆笑していた。そんな僕たちを騎士達が呆れた様に眺めて言った。
「何だか、こいつら興奮冷めやらぬって感じだな。まぁ久しぶりの魔物退治で、数も多かったしな。でも今回は変なモンスターも出なかったし、良かったよ。マジであれは無いわ。」
そんな王都への帰りの行軍でリラックスした騎士達の雑談に、ウィルが加わった。
「そう言えば、あのモンスターの解析は終わったんだろうか。王宮の研究室でやってるって話だったけど。何か聞いているか?」
ウィルの質問に、後ろから来たケインが答えた。
「あ?解析の話?俺ちょっと知ってるぜ。俺の従兄弟が研究室の博士の一人で、先日実家の親戚の夜会で会った時に色々話してたんだ。もう直ぐ報告書が出るって話だ。
ちょっと面白いって言うか、不思議な話なんだ。あのモンスターは元々この世界の生き物じゃないみたいなんだよ。この世界の生き物って、研究してる人間には常識らしいんだけど、要素αって物質を一定量持ってるんだと。
で、あのモンスターには、要素αが半分量しかなくてもう半分は見たことのない要素だったらしい。要素Sって名前をつけたって言ってた。
だから要素Sを持ってると、とんでもないモノに変幻するって事らしいぜ。」
脳筋騎士達は話が難し過ぎるのか、皆一様に眉間に皺寄せていたけれど、ウィルがボソリと呟いた。
「それって、俺たち人間にも当てはまるのか?」
すると他の騎士がふざけて言った。
「じゃあ、そんなモンスターが実際登場してるのなら、人間の中にも半分人間、半分そうでないものが実は居たりしてな?あ、でもそんなヤバいやつ、居たら直ぐ分かるか。ハハハ。」
僕は聞くとも無しに聞いていた騎士達の話が、思わぬ方向へ転がって行った事にドキドキしていた。そして、最後のヤバいやつはまさしく僕のことじゃんと、独りツッコミしてしまった。
そうでもしなければ、騎乗しているウィルに様子がおかしいってバレそうな気がしていたんだ。
なんだ、要素αって。それこそ、この世界はヤバい世界じゃないか。それとも地球で言う人体構成の要素、炭素とかそういうものの事なんだろうか。
その時僕は、あのモンスターに出会った時、僕の知るサイに共通点を感じた事に気づいたのを思い出した。もしかしてあいつも僕の様に、僕と同じ世界から転生したのだろうか。
もしそうなら、あいつだけって事は言えないのかもしれないし、僕一人じゃ無いって事なのかな?あれ?もしかしてあのサイも、サイ人間だったんじゃ無いよね?
僕はとんでもない考えが浮かんだ事にゾッとして、大きくいなないてしまった。ウィルが優しく撫でてくれたけど、僕はその考えが間違っていない気がして、すっかり青褪めていた。馬だけど。
先輩馬に揶揄われて、僕はブヒブヒ言いながら反論した。
『だって久しぶりだったんですよ。魔物ってあんなにキモかったですか?触手みたいのがいっぱい伸びて来て、僕の脚を掴んだんですよっ⁉︎うわ、ゾッとする!早く帰って洗ってもらわなくっちゃ。』
僕の言い分に、周囲の馬達が爆笑していた。そんな僕たちを騎士達が呆れた様に眺めて言った。
「何だか、こいつら興奮冷めやらぬって感じだな。まぁ久しぶりの魔物退治で、数も多かったしな。でも今回は変なモンスターも出なかったし、良かったよ。マジであれは無いわ。」
そんな王都への帰りの行軍でリラックスした騎士達の雑談に、ウィルが加わった。
「そう言えば、あのモンスターの解析は終わったんだろうか。王宮の研究室でやってるって話だったけど。何か聞いているか?」
ウィルの質問に、後ろから来たケインが答えた。
「あ?解析の話?俺ちょっと知ってるぜ。俺の従兄弟が研究室の博士の一人で、先日実家の親戚の夜会で会った時に色々話してたんだ。もう直ぐ報告書が出るって話だ。
ちょっと面白いって言うか、不思議な話なんだ。あのモンスターは元々この世界の生き物じゃないみたいなんだよ。この世界の生き物って、研究してる人間には常識らしいんだけど、要素αって物質を一定量持ってるんだと。
で、あのモンスターには、要素αが半分量しかなくてもう半分は見たことのない要素だったらしい。要素Sって名前をつけたって言ってた。
だから要素Sを持ってると、とんでもないモノに変幻するって事らしいぜ。」
脳筋騎士達は話が難し過ぎるのか、皆一様に眉間に皺寄せていたけれど、ウィルがボソリと呟いた。
「それって、俺たち人間にも当てはまるのか?」
すると他の騎士がふざけて言った。
「じゃあ、そんなモンスターが実際登場してるのなら、人間の中にも半分人間、半分そうでないものが実は居たりしてな?あ、でもそんなヤバいやつ、居たら直ぐ分かるか。ハハハ。」
僕は聞くとも無しに聞いていた騎士達の話が、思わぬ方向へ転がって行った事にドキドキしていた。そして、最後のヤバいやつはまさしく僕のことじゃんと、独りツッコミしてしまった。
そうでもしなければ、騎乗しているウィルに様子がおかしいってバレそうな気がしていたんだ。
なんだ、要素αって。それこそ、この世界はヤバい世界じゃないか。それとも地球で言う人体構成の要素、炭素とかそういうものの事なんだろうか。
その時僕は、あのモンスターに出会った時、僕の知るサイに共通点を感じた事に気づいたのを思い出した。もしかしてあいつも僕の様に、僕と同じ世界から転生したのだろうか。
もしそうなら、あいつだけって事は言えないのかもしれないし、僕一人じゃ無いって事なのかな?あれ?もしかしてあのサイも、サイ人間だったんじゃ無いよね?
僕はとんでもない考えが浮かんだ事にゾッとして、大きくいなないてしまった。ウィルが優しく撫でてくれたけど、僕はその考えが間違っていない気がして、すっかり青褪めていた。馬だけど。
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