上 下
176 / 187
コントロール

椿side実験とゆきちゃん

しおりを挟む
俺は思わず目を見張った。高山助教授の繰り出すフェロモンはとても強くて、自分の皮膚にピリピリと電気が走る様な感覚があった。

同時に腹の奥から湧き上がる闘争本能。自分のメスを奪われるような、獣が感じる様な怒りと恐れ。自分は人間だけど、動物なんだと感じた瞬間だった。

そして数秒遅れてユキちゃんから膨れ上がる甘いフェロモン。いつも感じるフェロモンと違って、俺の股間を直撃する様な強烈な匂い。なぜか警告さえ感じる。


俺が目の前のいつもと違うフェロモンに動揺してる間に、高山助教授は特に変化を見せずに淡々と次々にゆきちゃんに指示を出している。時間が経つと、さすがに助教授も身体をふらつかせて、机に手をついていた。

一方、離れた場所でメモを取っていた桐谷さんもまた、苦しげに赤い顔で項垂れていた。

気がつけば、ゆきちゃんの鋭いフェロモンは薄くなっていたけれど、煽られた身体は恥ずかしくも元気になっていて、俺たちは助教授の勧めの通りに抑制剤を飲んだ。


ゆきちゃんだけが、顔を赤らめた俺たちをキョトンとした顔で見回していたのが、笑えるような何とも言えない気持ちにさせた。でも俺はやっぱりゆきちゃんを、今は落ち着いてるとはいえ、こんな無防備に発情させたくは無かった。

さっさと寮へ連れ帰ると、コントロールが思いのほか上手くいったご機嫌なゆきちゃんは、俺の気持ちを知ってか知らずか実験の検証をしたがった。

俺は渋々実験に付き合ったけど、今度はいつもの甘やかなうっとりする様なフェロモンを感じた。やっぱりあの実験の時とは違う。


コントロールが上手くいって喜んでるゆきちゃんに、俺は今日散々振り回された自分の身体の疼きを押し付ける様に、ご褒美をねだるしか無かった。ゆきちゃんは、ちょっと目を見張ったけれど、直ぐに俺の腕の中へ体を預けた。

あの宣言?以来、ゆきちゃんが妙に素直で俺は戸惑ってしまう。ツンデレなゆきちゃんも可愛かったけれど、無条件な愛情を見せつけられると、胸がぎゅっと締め付けられてそれはそれで嬉しくてたまらない。


俺の腕の中でゆきちゃんが甘える様な上目遣いをするので、俺はすっかりやられてしまった。

「…?椿、俺を食べたいって言わなかった?食べないの?」

俺は心持ち興奮でかすかに震える指先に力を入れて、赤く色づいた甘い唇に優しく口づけると、ゆきちゃんの甘いため息を感じながら言った。

「…食べるよ。もちろん。ああ、ゆきちゃんが素直過ぎて、俺どうにかなっちゃいそう…。」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

管理委員長なんてさっさと辞めたい

白鳩 唯斗
BL
王道転校生のせいでストレス爆発寸前の主人公のお話

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

食われノンケの野球部員

熊次郎
BL
大学野球部の副主将の荒木は人望も厚く、部内で頼りにされている存在だ。 しかし、荒木には人には言えない秘密があった。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

処理中です...