155 / 187
俺が譲れる事は
オーラの話
しおりを挟む
「えー、それで実験って具体的に何するわけ?」
椿が俺の頭に顎を乗せて後ろから抱きつきながら尋ねた。俺は重たい椿を押し退けながら言った。
「もう、お前重すぎ!取り敢えず、色々データ取るって言ってた。状況によるオーラや、フェロモンの変動だとか、そうゆうこと。基本情報がないと比較もできないからな。俺のオーラはハッキリしてて分かりやすいから実験に使いやすいらしいよ。」
押し退けても、がっちり俺の腰に回した手を緩めない椿は、今度は俺の髪を指先に巻き付けながら言った。俺がパーマかけてから、みんなこうやって髪をいたずらするようになったんだけど、何でだ。
「ふーん。確かにそう言われてみると、俺たちはすっかり慣れちゃったね。でも最初に発情期終わったゆきちゃんに会った時の衝撃は、今もよく覚えてるよ。何かゆきちゃんキラキラしてて、俺眩しくてドキドキしちゃったんだ。
でも実験でそんな状況になるって、研究室のメンバークラクラしちゃうんじゃないの?」
なぜか今日は、椿の溺愛モードを止めようとしない聖は、腕を組んで同意するように頷いた。
「そうだ。オーラもそうだけど、雪が助教授のフェロモンに反応したら、発情はしなくてもそのリスクは上がるだろ?そこはどうなんだ。」
俺はちょっと聖の言ったことを考えながら尋ねた。
「なぁ、オーラとフェロモンって関係あるのか?」
聖は秋良の方を向いて肩に手を置くと言った。
「俺はその手の説明はちょっと苦手だから、秋良に説明してもらおうぜ。」
秋良はしょうがないという顔をして、俺たちに向き直った。秋良は普段全然やる気のない風だけど、実は見かけと違って頭が良い。多分やる気になれば祥一朗ぐらいのキレは見せそうだ。
でも俺が思うにわざとやらないで居るんだと思う。それが、跡取りの祥一朗への遠慮なのか、気遣いなのか分からないけど。ま、それか面倒臭いだけかもしれない。
もし俺が応明大の生命科学学部を受験するとしたら、確実に一緒に合格できるのは今のところ秋良だろう。まぁ、一年先のことを心配してもしょうがない。俺は秋良が説明するのを待ちかねていた。
「ははは。雪、そんな前のめりになっても、大した話はできないぞ。…オーラ自体は個人差が大きいものだ。初めての発情期直後は強弱はあれど、ほぼ全員にオーラが出現する。だが、成長と共にその出現率は減る一方だ。
20歳を越えてオーラが他人を惹きつけるのは、ほぼタフな家系に限られてくる。オーラが強く出る家系がそもそもタフな家系なんだ。だからな、俺に言わせると雪は、精力旺盛ですって周囲に言ってるのと一緒なんだよな、マジで。」
椿が俺の頭に顎を乗せて後ろから抱きつきながら尋ねた。俺は重たい椿を押し退けながら言った。
「もう、お前重すぎ!取り敢えず、色々データ取るって言ってた。状況によるオーラや、フェロモンの変動だとか、そうゆうこと。基本情報がないと比較もできないからな。俺のオーラはハッキリしてて分かりやすいから実験に使いやすいらしいよ。」
押し退けても、がっちり俺の腰に回した手を緩めない椿は、今度は俺の髪を指先に巻き付けながら言った。俺がパーマかけてから、みんなこうやって髪をいたずらするようになったんだけど、何でだ。
「ふーん。確かにそう言われてみると、俺たちはすっかり慣れちゃったね。でも最初に発情期終わったゆきちゃんに会った時の衝撃は、今もよく覚えてるよ。何かゆきちゃんキラキラしてて、俺眩しくてドキドキしちゃったんだ。
でも実験でそんな状況になるって、研究室のメンバークラクラしちゃうんじゃないの?」
なぜか今日は、椿の溺愛モードを止めようとしない聖は、腕を組んで同意するように頷いた。
「そうだ。オーラもそうだけど、雪が助教授のフェロモンに反応したら、発情はしなくてもそのリスクは上がるだろ?そこはどうなんだ。」
俺はちょっと聖の言ったことを考えながら尋ねた。
「なぁ、オーラとフェロモンって関係あるのか?」
聖は秋良の方を向いて肩に手を置くと言った。
「俺はその手の説明はちょっと苦手だから、秋良に説明してもらおうぜ。」
秋良はしょうがないという顔をして、俺たちに向き直った。秋良は普段全然やる気のない風だけど、実は見かけと違って頭が良い。多分やる気になれば祥一朗ぐらいのキレは見せそうだ。
でも俺が思うにわざとやらないで居るんだと思う。それが、跡取りの祥一朗への遠慮なのか、気遣いなのか分からないけど。ま、それか面倒臭いだけかもしれない。
もし俺が応明大の生命科学学部を受験するとしたら、確実に一緒に合格できるのは今のところ秋良だろう。まぁ、一年先のことを心配してもしょうがない。俺は秋良が説明するのを待ちかねていた。
「ははは。雪、そんな前のめりになっても、大した話はできないぞ。…オーラ自体は個人差が大きいものだ。初めての発情期直後は強弱はあれど、ほぼ全員にオーラが出現する。だが、成長と共にその出現率は減る一方だ。
20歳を越えてオーラが他人を惹きつけるのは、ほぼタフな家系に限られてくる。オーラが強く出る家系がそもそもタフな家系なんだ。だからな、俺に言わせると雪は、精力旺盛ですって周囲に言ってるのと一緒なんだよな、マジで。」
20
お気に入りに追加
1,204
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
嫌われ者の僕
みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈学園イチの嫌われ者が総愛される話。嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。
※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。改行多めで読みにくいかもです。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる