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俺が譲れる事は

オーラの話

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「えー、それで実験って具体的に何するわけ?」

椿が俺の頭に顎を乗せて後ろから抱きつきながら尋ねた。俺は重たい椿を押し退けながら言った。

「もう、お前重すぎ!取り敢えず、色々データ取るって言ってた。状況によるオーラや、フェロモンの変動だとか、そうゆうこと。基本情報がないと比較もできないからな。俺のオーラはハッキリしてて分かりやすいから実験に使いやすいらしいよ。」

押し退けても、がっちり俺の腰に回した手を緩めない椿は、今度は俺の髪を指先に巻き付けながら言った。俺がパーマかけてから、みんなこうやって髪をいたずらするようになったんだけど、何でだ。


「ふーん。確かにそう言われてみると、俺たちはすっかり慣れちゃったね。でも最初に発情期終わったゆきちゃんに会った時の衝撃は、今もよく覚えてるよ。何かゆきちゃんキラキラしてて、俺眩しくてドキドキしちゃったんだ。

でも実験でそんな状況になるって、研究室のメンバークラクラしちゃうんじゃないの?」

なぜか今日は、椿の溺愛モードを止めようとしない聖は、腕を組んで同意するように頷いた。

「そうだ。オーラもそうだけど、雪が助教授のフェロモンに反応したら、発情はしなくてもそのリスクは上がるだろ?そこはどうなんだ。」


俺はちょっと聖の言ったことを考えながら尋ねた。

「なぁ、オーラとフェロモンって関係あるのか?」

聖は秋良の方を向いて肩に手を置くと言った。

「俺はその手の説明はちょっと苦手だから、秋良に説明してもらおうぜ。」

秋良はしょうがないという顔をして、俺たちに向き直った。秋良は普段全然やる気のない風だけど、実は見かけと違って頭が良い。多分やる気になれば祥一朗ぐらいのキレは見せそうだ。


でも俺が思うにわざとやらないで居るんだと思う。それが、跡取りの祥一朗への遠慮なのか、気遣いなのか分からないけど。ま、それか面倒臭いだけかもしれない。

もし俺が応明大の生命科学学部を受験するとしたら、確実に一緒に合格できるのは今のところ秋良だろう。まぁ、一年先のことを心配してもしょうがない。俺は秋良が説明するのを待ちかねていた。


「ははは。雪、そんな前のめりになっても、大した話はできないぞ。…オーラ自体は個人差が大きいものだ。初めての発情期直後は強弱はあれど、ほぼ全員にオーラが出現する。だが、成長と共にその出現率は減る一方だ。

20歳を越えてオーラが他人を惹きつけるのは、ほぼタフな家系に限られてくる。オーラが強く出る家系がそもそもタフな家系なんだ。だからな、俺に言わせると雪は、精力旺盛ですって周囲に言ってるのと一緒なんだよな、マジで。」

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