31 / 148
秘密の共有
久しぶりの外出
しおりを挟む
「ご主人様、今夜出掛けてくるね。」
僕がそう言うと、ガブリエルは少し寂しげな顔をして言った。
「ジュニは人間としては18歳だから、夜遊びもさせてやらないといけないよね?」
僕はガブリエルを抱きあげて、頬にキスして言った。
「ありがとう、ガブリエル。何かお土産買ってくるね。」
丁度その時、部屋のドアがノックされた。僕はテラスの植え込みから回収した服を一式袋詰めしたものをガブリエルに預けると、カワウソに戻って扉が開くのを待った。
「ケイン、待ってたよ。ジュニの事よろしく頼むね?ジュニは綺麗だから、変な人たちに捕まらない様に守ってあげておくれよ?」
そう、保護者の様な事を言うガブリエルに戸惑った表情のケインは、僕をじっと見つめて言った。
「はい。ジュシアがジュニだとか、目の前で見ても未だに実感が無いですけど、ガブリエル坊ちゃんに頼まれちゃ無碍には出来ませんね。必ず一緒に行動する様にします。ジュニも、あんまり無茶してくれるなよ?」
僕は機嫌良くキューと鳴くと、ケインの後をついて歩き出した。するとガブリエルが何を思ったのか、一緒にケインの部屋まで行くと言う。ケインは慌てて言った。
「ガブリエル坊ちゃん、召使いの部屋に入っちゃいけません!俺もクビになっちまう。」
ガブリエルは納得がいかない顔をしていたけれど、それがルールなのは知っていた様で、僕を見下ろすと、下のホールまで一緒に行くと言ってきかなかった。ガブリエルは賢い少年だけど、こんなところはやっぱり7歳の幼い少年なのだ。
しかしこれが結局、功を奏した。僕たちが二人と一匹でホールへと降りていくと、執事とバッタリ会ってしまった。執事は僕たちを見つめると、こんな遅くに何処に行くのかと尋ねてきた。するとガブリエルが機転を効かせて話し出した。
「最近、ジュニの寝言が煩くて、今夜はゆっくり眠りたいからケインに預かってもらおうと思ったんだ。ジュニのお気に入りの毛布も一緒に持って来たんだよ。じゃあ、ケイン今夜は頼むね?ああ、そうだ。寝言をうまく止める方法を思いついたらやってみてくれる?」
そう言うと、執事と一緒に部屋の方へと歩き去った。途中こっそり僕らの方を向いて、子供らしい笑顔でにっこり笑ったけどね。
ケインはガブリエルの後ろ姿を見つめながら、ボソッと言った。
「俺は、時々ガブリエル坊ちゃんが末恐ろしいよ。あんなに賢くて、度胸まで座ってるときてる。大人顔負けじゃ無いか?」
僕もまたガブリエルを見送りながら頷いて同意した。
『僕の味方で良かったよ、ほんと。』
ケインが僕を上から見下ろして、溜め息混じりに言った。
「早くジュシアに戻ってくれないと、何言ってんのか解んねーな。さ、身支度して出掛けよう。今夜は俺が案内してやるから。俺も夜出かけるのは久しぶりなんだ。楽しもうぜ?」
僕がそう言うと、ガブリエルは少し寂しげな顔をして言った。
「ジュニは人間としては18歳だから、夜遊びもさせてやらないといけないよね?」
僕はガブリエルを抱きあげて、頬にキスして言った。
「ありがとう、ガブリエル。何かお土産買ってくるね。」
丁度その時、部屋のドアがノックされた。僕はテラスの植え込みから回収した服を一式袋詰めしたものをガブリエルに預けると、カワウソに戻って扉が開くのを待った。
「ケイン、待ってたよ。ジュニの事よろしく頼むね?ジュニは綺麗だから、変な人たちに捕まらない様に守ってあげておくれよ?」
そう、保護者の様な事を言うガブリエルに戸惑った表情のケインは、僕をじっと見つめて言った。
「はい。ジュシアがジュニだとか、目の前で見ても未だに実感が無いですけど、ガブリエル坊ちゃんに頼まれちゃ無碍には出来ませんね。必ず一緒に行動する様にします。ジュニも、あんまり無茶してくれるなよ?」
僕は機嫌良くキューと鳴くと、ケインの後をついて歩き出した。するとガブリエルが何を思ったのか、一緒にケインの部屋まで行くと言う。ケインは慌てて言った。
「ガブリエル坊ちゃん、召使いの部屋に入っちゃいけません!俺もクビになっちまう。」
ガブリエルは納得がいかない顔をしていたけれど、それがルールなのは知っていた様で、僕を見下ろすと、下のホールまで一緒に行くと言ってきかなかった。ガブリエルは賢い少年だけど、こんなところはやっぱり7歳の幼い少年なのだ。
しかしこれが結局、功を奏した。僕たちが二人と一匹でホールへと降りていくと、執事とバッタリ会ってしまった。執事は僕たちを見つめると、こんな遅くに何処に行くのかと尋ねてきた。するとガブリエルが機転を効かせて話し出した。
「最近、ジュニの寝言が煩くて、今夜はゆっくり眠りたいからケインに預かってもらおうと思ったんだ。ジュニのお気に入りの毛布も一緒に持って来たんだよ。じゃあ、ケイン今夜は頼むね?ああ、そうだ。寝言をうまく止める方法を思いついたらやってみてくれる?」
そう言うと、執事と一緒に部屋の方へと歩き去った。途中こっそり僕らの方を向いて、子供らしい笑顔でにっこり笑ったけどね。
ケインはガブリエルの後ろ姿を見つめながら、ボソッと言った。
「俺は、時々ガブリエル坊ちゃんが末恐ろしいよ。あんなに賢くて、度胸まで座ってるときてる。大人顔負けじゃ無いか?」
僕もまたガブリエルを見送りながら頷いて同意した。
『僕の味方で良かったよ、ほんと。』
ケインが僕を上から見下ろして、溜め息混じりに言った。
「早くジュシアに戻ってくれないと、何言ってんのか解んねーな。さ、身支度して出掛けよう。今夜は俺が案内してやるから。俺も夜出かけるのは久しぶりなんだ。楽しもうぜ?」
21
お気に入りに追加
1,254
あなたにおすすめの小説
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる