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媚薬の引き起こした騒動

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ことの発端は、悪友が送ってきた綺麗な菓子だった。

私の屋敷に漂流者が滞在している事はあっという間に王都中の人々の知る所となっていた。漂流者であるナオヤの若さや見た目の麗しさ、異国の雰囲気、全てが人々の関心を惹きつけて、会いたがった。

守護者の私の所へは、知り合いの貴族からも、知り合いでない者からも漂流者宛に沢山の貢物が送られてきた。少しでもナオヤの関心を惹いて、会いたいからだろう。


私は余計な仕事の増えた守護者としての立場に辟易として、恨めしい気持ちでナオヤを見つめた。ナオヤはそんな私の気持ちには全く関係なく、届く貢物を興味津々に執事と検分していた。

ナオヤは一つの綺麗な箱を取り上げると、中身を開けて私の方を振り返って言った。

「エラードさま、この美味しそうなお菓子僕が食べても良いですか?」


私は小さな箱を確認すると、それは私の少ない友人の一人、クリストファー侯爵からのものだった。部屋のティーテーブルで、用意されたお茶と一緒にお菓子を食べ始めたナオヤを横目で見ながら、ふと箱についているカードを手に取った。

小さな贈り物には彼からのメッセージがついていた。


『可愛い漂流者と運命の出会いをしたダニエラードへ
~美味しく食べてくれ~
ベンジャミン クリストファー」


私は途端に嫌な予感に襲われてナオヤを見つめた。

美味しそうにひとつ食べ終わっていたナオヤは少し顔が赤い様だった。
ナオヤは困惑した顔をして、息が段々荒くなってきていた。

私は悪友を罵ると、執事にざっくりと事情を話して驚いて目を丸くしているナオヤを抱き上げると私の寝室へ急いだ。


ナオヤは言葉は分かるが、文字はまだ読めない。この屋敷に来てから執事や、私が幼い頃に習っていた先生に手伝ってもらいながら覚えている最中だった。

私は屋敷の者達と急速に仲良くなるナオヤを横目に、私とは一定以上踏み込んで来ないナオヤに多少の不満を抱きつつ、つかず離れずの対応を続けていた。

抱き上げたナオヤは驚いていたものの、身体の熱が急速に上がってきたのを感じると荒い息を吐きながら縋る様に私を見上げていた。


私室のベッドにナオヤを下ろすと、私は自分の上着を脱ぎながらナオヤに説明した。

「さっきの菓子は媚薬入りだ。私の悪友が仕込んだものを送ってきたようだ。媚薬を試した事はあるか?」

ナオヤは案の定、首をブルブル振った。

「もう一つ聞く。答えにくいかもしれないが嘘をつかずに教えてくれ。…ナオヤは男と身体で繋がった事はあるか?女とは?」







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