45 / 69
親友が恋人に変わる時
蓮side困り顔の涼介
しおりを挟む
誰もいない教室の隅で、腕の中の涼介を蕩けさせるのはいい気分だ。自分がモテる自覚はあるようだけど、本当のところは全然自覚がなくて困る。
目を閉じて長い睫毛を頬に落とす涼介は、高校時代のひと目を惹く綺麗な男から、もっとなんていうか、いい男になった。色気が増したのかもしれない。
日本人離れしたエキゾチックな顔は、くっきりした二重の大きな目と明るい茶色の瞳が印象的だ。大きな唇はセクシーで、涼介を見かける学生が顔を赤らめてヒソヒソ噂するのもしょうがない気はする。
最近イメチェンしたスパイラルパーマが妙に似合って、目が合うたびに俺もドキッとしてしまう。いつも険しい顔をしてるから、誰でも寄り付く訳じゃないけど、そんな俺様な感じがまた人気をあげてるんだ。
去年は鷺沼先輩の件もあったから、俺の忍耐も随分試された。傷心の涼介に寄り添うのは身代わりの様で、もやもやもしたけれど、涼介ははっきりそれはないって言ってくれた。
あの時の涼介は、本当に手の中から消えてしまいそうで、俺はある意味側にいて、涼介を見張っていたんだ。強気な涼介は見かけよりもずっと繊細で、傷つきやすい。
でもそれを知っているのは、俺だけでいい。俺は自分でも気づかなかったけれど、かなり執着心も独占欲も強かったみたいだ。涼介に対してだけなのか、それは分からないけど。
それに涼介は、身体を合わせる時に征服される感じが好きみたいで、それは俺にも意外だった。俺としては大事な相手に意地悪はしたくない。だから最初は戸惑ったけれど、俺の涼介に対する独占欲を出せば困った顔をしながらも、目の奥でうっとりとするのが最近読めるようになった。
今も困った表情なのに、俺を抱きしめる手がもっとしてほしいとばかりに掴んで離さない。俺はクスッと笑って、もう一度念入りに涼介を貪った。
なぁ涼介、俺はお前を離す気はないんだ。お前が運命のΩに巡りあったとしても、絶対に許さないぜ。俺は焦がれていた涼介と思いを通わせたことで、多分舞い上がっていたんだろう。
俺たちの間を邪魔するトラブルが近づいているのに、全然気がついていなかったんだから。それは、俺が涼介から激しく求められたいってどこか心の中で思っていた、その隙を突かれてしまったんだ。
俺と涼介は両思いだったけれど、恋人には想いの量は必ず天秤が同じなんてことはあり得なくて、いつもどちらかが必ず傾いているものなんだ。それを見せつけられて俺は罠に嵌ったんだな。
ああ、涼介。俺はお前が馬鹿みたいに好きなだけなんだよ。
目を閉じて長い睫毛を頬に落とす涼介は、高校時代のひと目を惹く綺麗な男から、もっとなんていうか、いい男になった。色気が増したのかもしれない。
日本人離れしたエキゾチックな顔は、くっきりした二重の大きな目と明るい茶色の瞳が印象的だ。大きな唇はセクシーで、涼介を見かける学生が顔を赤らめてヒソヒソ噂するのもしょうがない気はする。
最近イメチェンしたスパイラルパーマが妙に似合って、目が合うたびに俺もドキッとしてしまう。いつも険しい顔をしてるから、誰でも寄り付く訳じゃないけど、そんな俺様な感じがまた人気をあげてるんだ。
去年は鷺沼先輩の件もあったから、俺の忍耐も随分試された。傷心の涼介に寄り添うのは身代わりの様で、もやもやもしたけれど、涼介ははっきりそれはないって言ってくれた。
あの時の涼介は、本当に手の中から消えてしまいそうで、俺はある意味側にいて、涼介を見張っていたんだ。強気な涼介は見かけよりもずっと繊細で、傷つきやすい。
でもそれを知っているのは、俺だけでいい。俺は自分でも気づかなかったけれど、かなり執着心も独占欲も強かったみたいだ。涼介に対してだけなのか、それは分からないけど。
それに涼介は、身体を合わせる時に征服される感じが好きみたいで、それは俺にも意外だった。俺としては大事な相手に意地悪はしたくない。だから最初は戸惑ったけれど、俺の涼介に対する独占欲を出せば困った顔をしながらも、目の奥でうっとりとするのが最近読めるようになった。
今も困った表情なのに、俺を抱きしめる手がもっとしてほしいとばかりに掴んで離さない。俺はクスッと笑って、もう一度念入りに涼介を貪った。
なぁ涼介、俺はお前を離す気はないんだ。お前が運命のΩに巡りあったとしても、絶対に許さないぜ。俺は焦がれていた涼介と思いを通わせたことで、多分舞い上がっていたんだろう。
俺たちの間を邪魔するトラブルが近づいているのに、全然気がついていなかったんだから。それは、俺が涼介から激しく求められたいってどこか心の中で思っていた、その隙を突かれてしまったんだ。
俺と涼介は両思いだったけれど、恋人には想いの量は必ず天秤が同じなんてことはあり得なくて、いつもどちらかが必ず傾いているものなんだ。それを見せつけられて俺は罠に嵌ったんだな。
ああ、涼介。俺はお前が馬鹿みたいに好きなだけなんだよ。
0
お気に入りに追加
448
あなたにおすすめの小説
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる