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遅れてきた初恋

壱太side元サヤ以上の結末

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俺は呆然と涼介の後ろ姿を見送っていた。あいつの顔は派手なエキゾチックハーフ顔だから、チラチラと通り過ぎるのを見送る人間は多い。何をしても他人の関心を引く。

今も鷺沼先輩と一緒に連れ立ってカフェを出て行くのを、どう言う組み合わせなのかとコソコソあちこちで噂してるのが見て取れた。


確かに俺たちはセフレ関係を知っていたけれど、涼介は隠すのが上手かったから気づいていた生徒は殆どいなかっただろう。俺たちだって言われなかったら気づけたかどうか。

俺が呆然としてると、反対の入り口から篤哉と蓮が入って来て、俺のテーブルまでやってくるのが見えた。俺は二人が座る間も惜しんで、声を殺して言った。


「おいっ!涼介、付き合い出したみたいだ。あ、鷺沼先輩と!今、一緒に出て行ったんだけど、付き合ってるみたいな事言ったんだよ、あいつ。」

俺は興奮して二人に捲し立てた。篤哉は眉を顰めて言った。

「何言ってんの?ちょっと前に本気になられたら困るって、セフレ解消してたじゃん。何で付き合うとか言うことになるんだよ。」


蓮は何も言わなかったけれど、やっぱり顔をしかめていた。俺は興奮を抑えきれずに二人に顔を寄せて更に言い募った。

「いや、俺だって信じられないけどさ。ほら一昨日、あいつ午後の授業バックれただろ?さっき涼介に、誰かといい事でもしてたのかって聞いたんだよ。

そしたらあいつ、葵と一緒だったって言うんだ。俺は誰なのかマジでわかんなくて、葵って誰だって聞いたら、鷺沼葵だって言いながら、たぶん付き合ってるって言い捨ててさ。


今さっき、当人の鷺沼先輩と一緒にカフェ出てったんだって。見なかった?あれ、マジだろ。うわー、超びっくりしたんだけど。元サヤっていうか、付き合うってことは…涼介も先輩の事好きって事だろ?」

篤哉はチラッと蓮を見ると、腕を組んで言った。

「…マジでどうなってんだ。でも今の話聞いてると、本当みたいだよな。はぁ、マジか。エッチの相性は良いって言ってたけど、鷺沼が本気になりそうで困ってるって言ってセフレ解消したんだぜ?」


俺がまったくだって言いながら、この衝撃的なニュースを受け止めきれないでいると、蓮がボソっと言った。

「…結局、自分の気持ちを真っ直ぐにぶつけた人間が勝ちって事なんだろ。元々一年もセフレが続いていたんだから、涼介も先輩の事満更じゃなかったんだ。

それで一回離れて、先輩の事見つめ直して関係が変わったのかもしれない。でも先輩にとっては一回完全に涼介を失う覚悟をしたんだ。それって誰でも出来るわけじゃない。…俺には無理だ。くそっ、完敗だよ。」


俺は強張った顔を歪めて、今にも泣き出しそうな蓮をあっけに取られて見つめていた。マジか。こんな事になってたなんて、全然気づかなかった。

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