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高等貴族学院

数術研究室への招待

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僕は研究室の扉の前で身支度を整えるとドアをノックした。

待つ間もなく開かれたそこには懐かしい顔があった!

「ヘンリックお兄様!どうしてここに⁉︎」

笑顔で飛びつく僕にヘンリックお兄様は僕をちょっと眩しげに見下ろすと優しく抱きしめた。

「久しぶりだね、リオン。私はここの研究員をしてるんだ。しょっちゅうは来られないけれど、たまに顔を出してるんだよ。」

ヘンリックお兄様は親友であるリュードお兄様が留学してしまって凹んでいた僕の所に度々慰めに来てくれていたんだ。

僕はその時の事を思い出してヘンリックお兄様を見上げた。

ヘンリックお兄様は昔と変わらぬ優しい微笑みと、艶めく黒い瞳を煌めかせたけれど、すっかり精悍な大人の男を感じて僕は急に馴れ馴れしくしたのが恥ずかしくなってしまった。

「すみません、何だか子供っぽい振る舞いをしてしまって。…ヘンリック様。」


「ふふ、もうお兄様とは呼んでくれないのかい?僕にとっては可愛いリオンだが、そろそろお兄様から昇格したい気もするね?」

大人の色気とは…僕がちょっと顔を赤らめて呆けていると、奥から白髪の紳士が現れた。


「やぁ、待ってたよ。リオネルン スペード君。君を数術研究室に迎えることが出来てこの上ない喜びだよ。

君の提案してくれた数々の考察書は、近年稀に見る革新的提案が多いから、早くここで一緒に研究したかったんだよ。

早速だが、君の…。」

「教授、いきなりそんなに言われてもリオンは今日は挨拶だけだったんじゃないですか?

それに後ろの研究員たちもリオンに紹介されるのを待ってますよ。」

ヘンリック様は苦笑して他の研究員を紹介してくれた。

貴族生は三年の先輩が一人いるだけで、他はヘンリック様のように財務部で働く王宮勤めの方や、直属の研究員だった。

僕は数術に関して考えるのが好きなので、この研究室に関われる事にワクワクしてあまり周囲のことに気を払えなかった。

皆は呆気にとられたのか、気づくと話しているのは僕と教授だけだった。

「す、すみません。僕すっかり夢中になっちゃって。これからよろしくお願いします。」

研究員たちはまじまじとこちらを見つめていたが、ハッとしたように我にかえって自分たちの仕事に帰っていった。


「リオンがここに来るのは嬉しいけど、色々と心配でもあるね。」

ヘンリック様は苦笑しながら僕の髪を撫でると、挨拶だけに来た僕を寮の入り口まで送ってくれた。

「ヘンリック様、僕もいつまでも泣きべそかいてた子供じゃありませんからね。すっかり大人ですから。」

僕が胸を張って悪戯な目つきでウインクすると、ヘンリック様は胸を押さえてモゴモゴ言うと手を上げて戻っていった。

『リオンの攻撃力が増してる…。まずいな…。』







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