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貴族学院

ぎこちない二人

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学院合同演習が終わってからしばらく、僕にまた二つ名が出来た。

『人魚の皮を被った天使』と何度呼び掛けられたことか。僕は苦笑いでそれに応えるしかなかった。

嘘や誤魔化しはするものじゃないね。結果自分の首を絞めるだけだ。

僕はしみじみとそれを噛み締めていた。


特に辛かったのは同室のユアとの関係だ。

ユアは演習の夜以来、僕にあれこれ文句を言うわけじゃない。

けれど僕に向ける視線や、ぎこちない態度が僕を責め立てているようで居た堪れない。

1番に愛する人がユアだと言ってあげられないのも、その事をユア自身が分かっているのも僕の後ろめたさを加速させるんだ。



僕は一度ユアとこのハッキリしない関係について話し合った方がいいのかな?

自分でもハッキリしない気持ちをユアに説明出来るのかな?

それなのに、僕はユアに抱きしめられたいとか甘やかして欲しいとか、勝手な事を思ってるんだ。

アーサーとキースがそんな僕たちの間に挟まれて、困っているのは分かるんだ。

でもどうしていいのか僕たち2人には分からなかった。

そして今日も僕はため息をつく…。



「リオン、今度僕に泳ぎを教えてくれないかい?」

そしてそんな時に限って余計な事を言い出す奴がいるんだ。

「ジュード…。僕、泳げるけど、教えることは出来ないよ。僕、誰かに習ったわけじゃないから。」

「そうなのかい?今度白騎士団の方で初めて泳法の訓練があるって聞いたから、僕も習いたいと思ってたんだけど。」

「え?白騎士団で?」

隣に座っていたユアが身体を強張らせたのを感じた。なんかそっちもこっちもやばい予感がする。


「てっきりリオンが訓練に参加するんだと思ったんだけど…。リオンのお父上、スペード伯爵は白騎士団長だよね。

僕の父上の手紙には、今王宮で『リオン様が人魚なら泳ぎを騎士団に教えられる』って話が出てるらしいよ。

まだ聞いてないのかい?」

ジュードは辺境伯の令息だ。話は本当だろう。父上の立場から考えると、僕がそれを断ることは出来ない気がした。

きっと今日明日にでも連絡がくるかもしれない。

僕はますます嫌な予感に眉を顰めながら、訓練が現実になるならその前にユアとの関係を何とかしなければと僕は決心した。


僕は身体を強張らせて、僕の方を見ないようにしてるユアの隣に座ると、ユアの大きな手を包んで言った。

「ユア、今夜僕たち、ちゃんと話をしよう。ね?」

ユアはやっぱり前を見たままゆっくりと頷いた。


















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