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僕らの未来?
あっくんに招かれて
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「あ、ここだよ。」
あっくんがそう言って、大きな美しい高層ビルを指差した。今日はあっくんが自分の仕事場を見せたいと、僕を連れてきてくれたんだ。
身体にピッタリした、オーダーメイドのスーツを着こなしているあっくんはいつ見てもカッコいい。僕もこんな場所で場違いになるのは嫌だったから、幾つか持ってるスーツの地味なものを着て来た。
「…理玖のそんな姿も良いね。やっぱり連れてくるんじゃなかったかなぁ。可愛い綺麗過ぎて、注目されちゃいそうだ。いいかい?理玖。俺の側から離れちゃダメだからね?」
あっくんの心配事がまるで父親のそれで、僕は思わずクスクス笑った。ビルの入り口を入ってすぐに外来受付があって、あっくんは僕をそこに連れて行った。
受付には僕から見ても、誰からも好感を持たれそうな見目麗しい男女が座っていて、あっくんを見ると手元からネックホルダー付きの仮社員証を差し出した。
「東さん、こちらご用意しておきました。どうぞ。」
あっくんはそれを受け取ると、僕の首に掛けてにっこり笑った。それから備え付けのモバイルに何か打ち込むと受付が完了したみたいだ。
僕に注目している受付の二人に、あっくんは言った。
「彼が三好くんです。これからも出入りすると思うから、色々戸惑っていたら教えてあげて下さい。さぁ理玖行こうか。」
僕は二人に会釈すると、慌ててあっくんの後をついて行った。あっくんは僕を見下ろして言った。
「あの二人は優秀だから色々言わないと思うけど、理玖は可愛くてどうしても目立っちゃうな。さっきもじっと見られてただろう?はぁ。これから社員が話しかけて来ても、理玖は答えなくて良いから。ね?」
僕はあっくんがちょっとピリピリしてる気がして、あっくんに尋ねた。
「あっくん、今日僕をここに連れてきたのって、理由聞いてないけど…。」
あっくんは微笑むと言った。
「理玖が進路迷ってるって言っただろ?これも選択肢のひとつに入れて欲しくて。学部選択の材料になるかと思って連れて来たんだ。」
僕はあっくんが何を言いたいのかはっきりしないなと思いつつ、物珍しげに周囲を見回しながらあっくんの後を着いて行った。あっくんの東グループは傘下に多くの会社を従えているけれど、統括の本部があっくんの仕事場だ。
急にさっきまでのオフィスらしい場所から、落ち着いたホテルの様な上位社員の個別オフィスが立ち並ぶ廊下に切り替わった。
あっくんはそのひとつの重厚なドアの前に立つと、天井までの大きな扉を開きながら僕を招き入れた。
「ようこそ、私のオフィスへ。」
あっくんがそう言って、大きな美しい高層ビルを指差した。今日はあっくんが自分の仕事場を見せたいと、僕を連れてきてくれたんだ。
身体にピッタリした、オーダーメイドのスーツを着こなしているあっくんはいつ見てもカッコいい。僕もこんな場所で場違いになるのは嫌だったから、幾つか持ってるスーツの地味なものを着て来た。
「…理玖のそんな姿も良いね。やっぱり連れてくるんじゃなかったかなぁ。可愛い綺麗過ぎて、注目されちゃいそうだ。いいかい?理玖。俺の側から離れちゃダメだからね?」
あっくんの心配事がまるで父親のそれで、僕は思わずクスクス笑った。ビルの入り口を入ってすぐに外来受付があって、あっくんは僕をそこに連れて行った。
受付には僕から見ても、誰からも好感を持たれそうな見目麗しい男女が座っていて、あっくんを見ると手元からネックホルダー付きの仮社員証を差し出した。
「東さん、こちらご用意しておきました。どうぞ。」
あっくんはそれを受け取ると、僕の首に掛けてにっこり笑った。それから備え付けのモバイルに何か打ち込むと受付が完了したみたいだ。
僕に注目している受付の二人に、あっくんは言った。
「彼が三好くんです。これからも出入りすると思うから、色々戸惑っていたら教えてあげて下さい。さぁ理玖行こうか。」
僕は二人に会釈すると、慌ててあっくんの後をついて行った。あっくんは僕を見下ろして言った。
「あの二人は優秀だから色々言わないと思うけど、理玖は可愛くてどうしても目立っちゃうな。さっきもじっと見られてただろう?はぁ。これから社員が話しかけて来ても、理玖は答えなくて良いから。ね?」
僕はあっくんがちょっとピリピリしてる気がして、あっくんに尋ねた。
「あっくん、今日僕をここに連れてきたのって、理由聞いてないけど…。」
あっくんは微笑むと言った。
「理玖が進路迷ってるって言っただろ?これも選択肢のひとつに入れて欲しくて。学部選択の材料になるかと思って連れて来たんだ。」
僕はあっくんが何を言いたいのかはっきりしないなと思いつつ、物珍しげに周囲を見回しながらあっくんの後を着いて行った。あっくんの東グループは傘下に多くの会社を従えているけれど、統括の本部があっくんの仕事場だ。
急にさっきまでのオフィスらしい場所から、落ち着いたホテルの様な上位社員の個別オフィスが立ち並ぶ廊下に切り替わった。
あっくんはそのひとつの重厚なドアの前に立つと、天井までの大きな扉を開きながら僕を招き入れた。
「ようこそ、私のオフィスへ。」
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