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篤哉side海

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「わー!最高だねっ、あっくん。」

そう言いながら背伸びして深呼吸する理玖は、沈む夕日に照らされて綺麗だ。結局、ゆっくりここまで来たせいで、こんな時間になってしまった。でも、この景色が見れて良かった。


理玖はΩだけど、頑張って50番内に成績を残している。それがどれだけ努力した結果なのか、俺にじっくり解説してくれたのは理玖が中学の頃よく相談に乗ってくれた清水だ。

結局Ωの清水は、当時付き合っていたαの楠木と大学になってから番になった。今は婚約中で、相変わらずイチャイチャしている。一緒に住んでいるのが本当に羨ましい。


『理玖くんは本当に凄いんだよ?Ωって、ヒートの時に何も出来ないだけじゃないんだ。普段もホルモンバランスは崩れがちだし、はっきりいって、勉強どころじゃない日の方が多いくらいなんだから。

その中で鬼勉してないと、あの順位は取れないと思うよ。勿論小さい頃からの学力の積み重ねもあるだろうし、そもそも地頭も良いんだと思う。

でもそれだけじゃ、あの順位は無理だ。だから、東にはちゃんと理玖くんの努力を認めてやって欲しいし、褒めてあげて欲しい。やっぱり一番好きな人が分かってくれるのが嬉しいだろ?』


俺も理玖が集中して勉強しているのは良く知っていたけれど、Ωとしての身体の影響までは考えてあげられてなかった。清水には本当に感謝だ。

俺は理玖に近寄ると後ろからぎゅっと抱きしめて言った。

「理玖がテスト中、勉強めっちゃ頑張ったんだろうなって思って。だから、その分のんびりして欲しくって…。非日常なのも気分転換になるかなって思ったんだけど…。」


理玖は海を見つめながら言った。

「それで海に連れてきてくれたの?ふふ、ありがとう、あっくん。僕ね、海が好きなんだ。この波の音がスーって心に染み込むような気がして、凄いリラックス出来る。

なかなか来れないけどね。実際、夏の海とかはやばいかも。僕、日焼けに弱いから。だからこの季節の、こんな夕日が見れて本当に最高だよ。ありがとう、あっくん。」


そう言って理玖は俺の方に振り返ると、潮風で潤んだ瞳をキラキラさせながら俺を見つめた。腕を伸ばして俺の首に手を掛けると理玖から珍しく熱い口づけをしてくれたんだ。

ああ、理玖。俺が出来る事は何でもしてあげるよ。理玖の喜びが俺の幸せなんだから。愛してる。


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