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僕のバース

僕はΩ

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「僕、やっぱりΩだった。」

家族が揃った夕食後に、僕は皆の前でバース判定の結果の書類を父さんに差し出して言った。皆は順番に書類を手渡しして回し見しながら、僕のΩ判定を確認した。僕は神妙な皆の顔を見て、ちょっと可笑しくなってクスッと笑ってしまった。

父さんが僕を見つめながら言葉を選ぶ様に話しだした。


「今日のこの日を、私はある種期待しながら、一方でヤキモキしながら迎えたんだ。可愛い理玖がΩかもしれないというのは、ここ数年感じて来た事だった。それは母親と同じように、パートナーと共に愛情に満ちた一生を暮らせるという喜びである一方で、理玖は男だ。

男のΩはそもそも絶対数が少ない上に、妊娠、出産でも危険リスクは高くなる。男性とΩの両方の人生のバランスをとって生きるには、人より困難も有るかもしれない。親としてはそこを心配していたんだ。


でも今、目の前の理玖を見ていたら、そんな心配は必要ないような気がして来たよ。困難があったら、私達家族が必ず助ける。理玖も一人で思い悩まずに何でも相談して欲しい。分かったかい?」

僕は父さんや、家族の温かい眼差しに包まれて胸がいっぱいになった。確かに色々分からないことばかりだけど、ひとつづつ解決していけば良いんだ。僕は父さんに近づいてハグしてもらった。次々に母さんや兄さん達にハグされて、僕は堪えていた涙がこぼれ落ちていくのを感じた。


照れ臭くなって野村さんから渡されたハンカチで涙を拭っていると、ダイニングのドアが開いた気がした。僕が顔を上げてそちらを見ると、そこにはグリーンと白の素敵な薔薇の花束を持ったあっくんが立っていた。

あっくんは涼やかな眼差しで優しく僕を見つめた。僕は何だか複雑な気持ちで、せっかく止まった涙をポロポロ流しながらあっくんの広げた腕の中へ飛び込んでいた。

僕があっくんの腕の中でひとしきり泣きじゃくって気がつけば、ダイニングには誰も居なくなっていた。


「あっくん、僕Ωだったんだ。僕、全然Ωの事知らない。男でΩだなんて大丈夫かな…?あっくん、僕がΩで嫌いになる?本当の事言って?」

あっくんは僕の背中を優しく撫でながら、うん、うんと相槌を打って僕の張り詰めていた心を慰めてくれた。そして僕の顎を指先で持ち上げて言ったんだ。

「…俺は理玖がΩで凄い嬉しいんだ。俺たち、番になれるだろう?一生、理玖と一緒に居られるんだ。理玖、大好きだよ。」

そう言って涙で濡れた僕の唇にそっとキスしたんだ。

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