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三好家の末っ子

僕の決心

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最近僕は、やっぱりベッドの中でうだうだと考え込むことが多くなった。僕たちは三年生で、涼兄とあっくんは中学部へ行ってしまってなかなか学校で会うことが無い。僕はそれが寂しいのか、悲しいのか、ホッとしてるのかよく分からなかった。

だって、いつでも会えるのに、あっくんが僕に会いたく無いとか言われたら多分泣く。今もちょっと想像しただけで涙が出てきた。こんなの涼兄にバレたら絶対大事になるから内緒なんだ。

僕が会いたいのは困った顔のあっくんじゃなくて、小さい頃に可愛がってくれた僕のこと大好きだって言うような笑顔のあっくんだから。


三年生になると急に悠太郎もミコトも背が伸びてきた。僕も伸びてるけど、いつの間にか差をつけられてる。しかも悠太郎の過保護が加速した。僕は女の子じゃ無いのに、あーだ、こーだってうるさい。

僕のこの長い髪が良く無いのかな。前から長かったけど、後ろから見たら多分女の子にしか見えないかも。母さん似のこの茶色くてふわふわの髪はお気に入りだけど、最近は女の子たちから睨まれるし。何なんだろう一体。


僕は工作用のハサミを取り出して、鏡の前に立った。思い立ったら吉日って誰の言葉だったろうか。僕はジョキジョキと大きな画用紙の上で髪を切り続けた。

切り始めると楽しくなって、僕は何なら鼻歌混じりで切っていたんだ。部屋のドアが開いた気がして振り返ったら、野村さんがびっくりした顔をして次の瞬間、家中に響き渡る大声で叫んだ。

「理玖お坊ちゃん!」



僕は美容室で刈り上げてもらった髪型が意外によく似合う気がして、夕食で久しぶりに顔を揃えた家族の前でご機嫌に夕食を食べていた。

「父さん、今日は随分お早いお帰りだったんですね?僕一緒にご飯食べられて嬉しいです。」

僕がにっこり微笑んで父さんに話しかけると、父さんは嬉しそうな顔をしたけど、次の瞬間には複雑そうな顔をして僕に尋ねた。


「…今日は可愛い理玖が髪を切ったって聞いてね。仕事してられなかったんだ。自分でだいぶ切ったって聞いたけど、一体どうして切ろうと思ったんだい?」

僕が髪を切ったくらいで仕事を休んじゃうなんて、父さん大丈夫かな。僕は父さんを安心させたくて明るい口調で言った。

「最近、クラスの女の子たちが僕の事睨むんです。男のくせに女の子みたいだって。僕もそう言われてみればそうだなぁって思って切ったんです。僕カッコよくなったでしょう?」
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