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ターゲットは僕?

僕の三文芝居

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僕とアーサー卿が仲直りをして微笑みあっていた時、執事が慌てた様に部屋に入ってきた。

「旦那様、今こちらにリチャード殿下がアボード家と向かっていると情報が入りました。いかがいたしますか?」

アーサー卿はため息をつくと、僕に言った。

「私はマモルを拐ってきた罪を償わなければならない。済まなかった、本当に。」

アーサー卿が部屋を出て行こうとするのを、僕は思わず止めた。


「アーサー卿、僕たちは和解しました。ですから、僕がなんとかします。僕の言う通りにして下さい。執事さん、この部屋じゃない客室へ簡単なお茶と軽食の用意をお願いします。僕たちはそちらへ移ります。

アーサー卿、もし殿下が来たら、何も言わずにその客室へ案内して下さい。僕は殿下にも心配かけたくないですし、アーサー卿にも公の処分を受けて欲しくないんです。

僕に任せていただけますか?」


少し迷った様子だったが、結局アーサー卿と執事は頷くと僕の言う通りにしてくれた。後は僕の一世一代の演技力が勝負だ。

そして今、目の前にどうなっているのか分からないと言うような顔をしたリチャードが立っていた。僕はリチャードに抱きつきたくなった。きっと僕のことを心配して急いで来てくれたんだろう。

もしアーサー卿が話の通じる相手でなかったら、僕を助けてくれただろうって嬉しくなったんだ。


僕はリチャードに近づくと、手を引っ張って無理やり椅子に座らせて美味しい紅茶を飲ませた。急遽用意したとはいえ、紅茶もバターケーキも一級品なのは、さすがの侯爵家なんだろう。

僕は打ち合わせ通り、アーサー卿に目配せした。アーサー卿と執事は用があるからと部屋を出て行った。

リチャードは流石に王子だ。僕たちの三文芝居もお見通しと見て、立ち上がると僕を睨みつけながら尋ねた。


「…マモル。説明してもらおうか。」

僕はにっこり笑うと、リチャードに抱きついて言った。

「説明する様な酷いことは何も無かったよ。ただちょっとした誤解があっただけ。それとちょっとした驚きもね?僕を助けに来てくれたんでしょう?ありがとう、リチャード。」


リチャードはやっぱり何かまずい事があったんじゃないかと、ぶつぶつ言ってたけど僕をぎゅっと抱きしめるとホッとした様に言った。

「…とにかく無事で良かった。本当に。」

僕はリチャードの声が震えてることに気づいて、顔を見上げた。そこには友達以上の表情で僕を見つめるリチャードが居た。僕は思わずチャードの首に手を伸ばすと、つま先立ってその形の良い唇にキスしたんだ。



  ~お知らせ~

6/8(水)7:30に新作投稿開始いたします♡

『馬の皮をかぶった大学生ですが、なにか?』です。

馬に転生してしまった大学生の「僕」の波瀾万丈な日々と、ご主人様を押し倒したい「僕」のファンタジーBL物語です!どんなだ!笑
良かったら覗いてみてください(°▽°)よろしくお願いします!





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