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公私混同は禁止

ミハエル司祭

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 「この衣装、思ったより生地が薄いと思ったんですけど、この方が筋肉が浮き出てゲーム通りなんですね。プリンちゃんさすがだわ。」

 そう言いながら、裕樹さんの肩から胸元を生地の密着度を確認しながら撫で下ろしていると、裕樹さんは私の手をぎゅっと握って掠れた声で言った。

「あ、あの、そんなに撫で回されると俺、変な気持ちになっちゃいそうだから…。」

 私は自分の手が裕樹さんの胸を撫で回していたことに気付くと、ハッと飛び退いて慌てて言った。

「ご、ごめんなさいっ!夢中になっちゃって。…あの変態じゃないですから!生地のヨレとか見てるだけなんで!」 


 多分私の顔は真っ赤かもしれない。…熱い。私は慌てて側にあったカツラを手に取ると振り向いて、同じく赤い顔をした野村さんに見せて装着させてもらえるように、ダイニングチェアに座ってもらった。

 金髪の短髪のカツラは野村さんによく似合った。目元が優しくて少し甘すぎる気もするけれど、これはこれで人気が出そうなミハエル司祭だ。私は裕樹さんに簡単にメイクをさせてもらった。鼻筋と眉骨を引き立たせる陰影をつけて、頬骨を強調させる。さっきよりグッとミハエル司祭だ。

 私はニマニマしながら、最後の仕上げのブルーコンタクトを入れようと説明した。

「裕樹さんて、コンタクトでしたっけ?入れたことは?…じゃあ、私が入れますからじっとしててくれますか?」


 そうお願いすると、綺麗な真っ青のコンタクトレンズを自分の清潔な指先につけると、そっともう片方の手で目を開かせてゆっくり入れた。コンタクト未経験の裕樹さんは何度か目をパチパチさせていたけれど、大丈夫そうだった。

 もう一方も同じようにゆっくりコンタクトを入れ込むと、大きく深呼吸した裕樹さんは立ち上がって姿見に映る自分の姿を見て唸った。

「…凄いな。自分じゃないみたいだ。」

 そう嬉しそうに笑うと、私を見つめて手を差し出した。

「美那ちゃん、こっち来て一緒に見てごらんよ。きっと完璧だから。」


 私は裕樹さんの完成度にニマニマしながら、抱き寄せられるように姿見に映る私たちを見た。あー、最高かも。裕樹さんは想像以上にミハエル司祭っぽいし、セシリーと司祭のマッチングは最高のペアコスプレだった。

 私はプリンちゃんに感謝して隣の裕樹さんを見上げて言った。

「最高!イベントが凄く楽しみになっちゃいました。」

 裕樹さんは私の腰に手を回してグッと引き寄せてささやいた。

「俺、イザッキゲーム調べたんだ。セシリーとミハエル司祭ってロミオとジュリエット的な恋愛関係のターンもあるっぽいって知ったんだけど。…ミハエル司祭ってセシリーに恋してもいいんだよね?」

 いつの間にか優しげなミハエル司祭は目の前から消えて、雄の眼差しをしたミハエル司祭が私を食べたそうに見つめていた。

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