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モテ期到来

これはデートですね

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 「今日は来てくれてありがとうございます。俺、ダメ元で誘って良かった…。」

 そう言って、私の前で子犬の様な可愛い満面の笑みを見せるのは、先日の食事会で知り合った野村さんだ。何回かのSNSでのやり取りの後、夕食に誘われた。断る理由もなかったので、こうして待ち合わせしたのだけど。一応デート?になるのかな?

 翼は私から話を聞いて妙にはしゃいで、パウダールームで私のメイク直しをしてくれたんだけど…。ちょっと頑張りすぎなんじゃないかな…。そんな私をじっと見つめて野村さんは少しはにかんで言った。


 「食事会の時も目が離せなかったんですけど、やっぱり田辺さんって美しいだけじゃないって言うか、滲み出る何かがありますよね…。俺、今日朝から舞い上がっちゃって、先輩に随分揶揄われたんですよ。

 ははは。じゃあ、いきましょうか?今日は水族館のイブニングペアチケットとったんです。水族館はお好きですか?」

 そう言って私に手を差し出した。うーん、これは手を繋ぎましょうってことかなぁ?お試しデートだから、これもアリかもしれないな。野村さんの可愛い感じもあって、私はにっこり笑って差し出された野村さんの大きな手をそっと握った。


 野村さんは私の手をそっと包み込むと、行きましょうと歩き出した。それから私たちは1時間ぐらい水族館を楽しんだ。久しぶりの水族館は夜という事もあって、大人のデートにピッタリだった。クラゲの水槽の前で興奮した野村さんに何枚か写真を撮られて、記念に一緒に撮って。

 私はこんな場所でコスプレ出来たら最高なのにと考えながら、いつになくはしゃいでいた。


 「田辺さんは、実は子供っぽいところがありますね。俺の前でそんな無邪気な顔するから、俺、胸が痛いくらいドキドキしてます。俺、田辺さんに本気になっても良いですか?

昨日今日会ったくらいで、結婚を前提に付き合ってくれって言うのは図々しいと思うので、あと2回デートして本気で考えて貰えませんか。」

 私は野村さんの後ろで綺麗なクラゲが泳いでいたせいなのか、野村さんの真剣な気持ちにちゃんと向き合おうと思ったのか、知らずに頷いていた。

 「やった‼︎じゃあ、よろしくお願いします。…やばい。すっかり舞い上がってて、予約した食事の時間ギリギリになりそうです。いきましょうか、田辺さん。」

 少し顔を赤らめて、柔らかく垂れた目元が可愛い野村さんは私の手を握ったまま、食事に連れて行ってくれた。
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