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モテ期到来

征一side早い者勝ち?

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 打ち合わせの後に連れて行かれた店は、最近人気があるとメンバーが言ってただけあって賑わっていた。相手先の女性陣に囲まれた事に、少々決まりが悪い心持ちにはなったけれど仕事だと割り切った。

 しばらくして、私の斜め前に座っている柴田が、目線で私の横並びの少し離れたテーブル席を示した。柴田は社内でも有名な女好きで、遊んでる割に女から恨まれたりしないという奇特な男だ。


 しょっちゅうアンテナを伸ばしてる様で、今みたいに周囲に女性達がいてもお構いなしだ。ただ、柴田が目をつけるのは確かに目の保養にもなる女性が多いので、私たちはついつい柴田の目利きをチェックしてしまう。

 私はそれとなく柴田の目線の先を見遣った。そこには楽しそうにグループで談笑する田辺美那の姿があった。

 四対四のいかにも合コンめいた食事会は、男達も生きの良い奴らばかりだった。男達はしきりに美那を笑わせて関心を誘っているのが見え見えで、私はそんな光景になぜかジクジクした胸のざわつきを覚えた。


 私が見ていたのを感じたのか、ふと美那がこちらへ視線を動かした。私を見た美那の顔が笑顔から急に眉をひそめたのを見て、私はなぜか失望が胸に広がって行くのを感じた。気づけば美那は席を立って遠い位置へ移動してしまって、私は何だか美味しく感じていた料理も味気なく感じた。

「あれ、もしかして知り合い?」

 目ざとい柴田がニヤついて私に声をかけてきた。


 周囲の女性たちが急にその言葉に反応したので、私は言葉を濁して柴田の考え込む様な視線から逃れた。あいつは妙に鋭い所があるから、美那との事を知られたくなかった。私は意識のどこかで美那のグループの動向を気にしていた様に思う。

 店を出た所で、美那たちのグループの一人のマッチョな男が、彼女と二人で親密に話をしているのを見るともなしに見ていた。いつの間にか側に立っていた柴田が、私の肩越しに聞こえよがしに呟いた。


 「あの子ぐらい綺麗な子はたまにいるけど、あの子ほど魅力が滲み出てる子もそう居ないよね。あんなに美人なのに本人はあんまり気付いてない感じだ。

橘、知ってる子なんだろ?あの子の事ずっと目で追いかけてるぜ?今日だって合コンみたいだし、早い者勝ちなんじゃないの?」

 柴田のその呟きが私の行動を変えたのかは分からないけれど、私は気付けば美那を追いかけて彼女の腕を掴んでいた。

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