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受験生

我慢

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キヨくんに最後までしたいかと聞かれて、僕は直ぐにイエスとは頷けなかった。僕たちは受験生で、僕は良いとしてもキヨくんは、これからが正念場だった。

僕はキヨくんに正直な気持ちを言った。恋をしていたら受験に落ちると言うのは、案外間違ってない気もしたんだ。何もかも投げ打って勉強しなければ受からない、それが受験だった。特にキヨくんは難関大学だったから、脇目も振らずに取り組む必要があるだろう。


キヨくんは僕の首に顔を埋めてボソリと言った。

「今更足掻いたって違わない気もするけど、もしこのまま玲を手に入れて受験に失敗したら、玲が自分のせいだって後悔しそうな気がする。…玲の言うことも分かるんだ。玲とのキスひとつでも、もう知らない頃には戻れない。いつだってイチャイチャしてキスして、その先を望んでしまう。あー!もうほんと受験なんて何であるんだろうな!?」


僕はキヨくんをぎゅっと抱きしめて、見た目より柔らかな髪を撫でながら言った。

「僕もキヨくんには後悔してほしくない。だから受験が終わったら、一緒に温泉行こう?ね?」

そう僕が囁くと、キヨくんはムクリと起き上がって言った。

「絶対約束。俺、それだけを楽しみに頑張るから。…でも今日は良い?今日は最後まではしないけど、玲の事可愛がりたい。…ダメ?」


まるで駄々っ子の様に少し赤らんだ顔で、僕に甘えてくるキヨくんは可愛いかった。僕は心臓が途端に速くなった気がして喉をコクリと動かすと、キヨくんから目を逸らして言った。

「…分かった。先に僕の部屋に行ってて?…僕、一応シャワー浴びてきたい。」

すると、目の前のキヨくんはバッと起き上がって、僕をソファから引き起こした。


「…俺、ちょっとベッドで仮眠取ってるから。寝不足なんだ。上で待ってるな?」

そう、早口で言うと、僕に背を向けて階段を上がって行ってしまった。僕は興奮してしまって、身体が脈打つ感覚に少し呆然としてしまってから、慌てて玄関の鍵を確認すると、シャワーを浴びた。一応念入りに洗ったけれど、多分これから2ヶ月はイチャイチャしないだろうと思うと、時間が勿体無いような気がした。


着ていた大きめのトレーナーを取り敢えずもう一度着ると、少しお尻が出てしまったけれど、もう一度脱いだ下着を履くのは嫌だったので、腰にタオルを巻いてトントンと階段を登って行った。

ソロリと部屋のドアを開けると、ベッドからキヨくんの頭が覗いていた。僕は部屋の暖房を入れると、そっとベッドに近づいた。キヨくんはぐっすりと眠っていて、僕は何だかドキドキと期待していた気持ちが空ぶった気がして、恨めしい気までした。

それでも僕は、少しやつれた顔のキヨくんに愛しい気持ちで、頬にそっと唇を落とした。

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