64 / 104
カップルの定義
清side玲の我儘
しおりを挟む
塾の模試で、疲れた頭と身体を引き摺って家に辿り着いて人心地した時、スマホに玲からメッセージが届いた。
『会いたい。』
たったそれだけの文字が液晶に浮かび上がってきて、俺は眉を顰めた。こんなメッセージは初めて受け取った。いつもは全然関係ないコメントが続いた後、いつ会えるかと湾曲に尋ねてくるのが玲のメッセージだからだ。
何かあったのかと、俺はコンビニに行ってくると家を出ながら、返信した。すると直ぐに玲の家の玄関が開いて、玲が姿を現した。
「キヨくん…。」
特に変わった様子は無さそうだったけれど、俺は会えて嬉しかったせいもあって、にっこり笑うと玲に言った。
「今からコンビニ一緒に行こうか?」
すると玲は頷いて、家の中にひと声掛けると玄関から出て来た。髪が濡れていたので、風呂から出たばかりなんだろう。甘い香りの玲を感じながら、俺たちはコンビニまでゆっくり歩き出した。
「どうした?何かあった?」
俺がそう尋ねると、玲は俺をじっと見つめて、暗い夜道でも赤みを感じる唇を開いて囁いた。
「…キヨくんに凄く会いたくなっただけ。」
俺は心臓がドキドキしてきて、何ならムラムラもしてきた。目の前の玲が凄く可愛く見えて、自分のものにしたかった。でもここは公道で、例え男女間だとしてもイチャイチャは憚られる。
そんな俺の状況を置いておいても、やっぱりいつもの玲じゃない気がした。俺が戸惑っているうちに、コンビニに到着してしまった。玲と俺は目についた飲み物を買うと、時間を惜しむように店を出た。
俺は玲の様子も気になったし、どこかでイチャイチャ出来る場所はないかと視線を彷徨わせた。そうは言ってもこの辺りは住宅地で、この時間は案外家路を急ぐ人の往来がある。俺は思い切って玲に言った。
「…うちに寄ってく?」
玲はハッとして俺を見つめたけど、少し迷った顔をした後コクリと頷いた。俺はやっぱり変な様子だなと思って、玲に尋ねた。
「やっぱり、何かあったんだろ?話して。」
それから玲はポツリ、ポツリと後輩に付き合ってくれと告られた事、好きな人がいると断った事、後輩が初めて男を好きになって苦しそうだった事、自分は好きになったのが俺で、たまたま男だったんだともう一度はっきり自覚した事などを話してくれた。
玲が告られた事は、聞いてて焦るばかりだったけれど、玲は俺に言った。
「僕、キヨくんの事一体いつから好きになってたんだろう。何だか僕の中には全然迷いがなかったから不思議な気がして…。そしたら無性にキヨくんに会いたくなっちゃって。これは僕の我儘なんだけど。今日会えて嬉しかった。」
そう言って、恥ずかしそうに笑ったんだ。ああ、もう絶対部屋に引き摺り込んでチュウするから。
『会いたい。』
たったそれだけの文字が液晶に浮かび上がってきて、俺は眉を顰めた。こんなメッセージは初めて受け取った。いつもは全然関係ないコメントが続いた後、いつ会えるかと湾曲に尋ねてくるのが玲のメッセージだからだ。
何かあったのかと、俺はコンビニに行ってくると家を出ながら、返信した。すると直ぐに玲の家の玄関が開いて、玲が姿を現した。
「キヨくん…。」
特に変わった様子は無さそうだったけれど、俺は会えて嬉しかったせいもあって、にっこり笑うと玲に言った。
「今からコンビニ一緒に行こうか?」
すると玲は頷いて、家の中にひと声掛けると玄関から出て来た。髪が濡れていたので、風呂から出たばかりなんだろう。甘い香りの玲を感じながら、俺たちはコンビニまでゆっくり歩き出した。
「どうした?何かあった?」
俺がそう尋ねると、玲は俺をじっと見つめて、暗い夜道でも赤みを感じる唇を開いて囁いた。
「…キヨくんに凄く会いたくなっただけ。」
俺は心臓がドキドキしてきて、何ならムラムラもしてきた。目の前の玲が凄く可愛く見えて、自分のものにしたかった。でもここは公道で、例え男女間だとしてもイチャイチャは憚られる。
そんな俺の状況を置いておいても、やっぱりいつもの玲じゃない気がした。俺が戸惑っているうちに、コンビニに到着してしまった。玲と俺は目についた飲み物を買うと、時間を惜しむように店を出た。
俺は玲の様子も気になったし、どこかでイチャイチャ出来る場所はないかと視線を彷徨わせた。そうは言ってもこの辺りは住宅地で、この時間は案外家路を急ぐ人の往来がある。俺は思い切って玲に言った。
「…うちに寄ってく?」
玲はハッとして俺を見つめたけど、少し迷った顔をした後コクリと頷いた。俺はやっぱり変な様子だなと思って、玲に尋ねた。
「やっぱり、何かあったんだろ?話して。」
それから玲はポツリ、ポツリと後輩に付き合ってくれと告られた事、好きな人がいると断った事、後輩が初めて男を好きになって苦しそうだった事、自分は好きになったのが俺で、たまたま男だったんだともう一度はっきり自覚した事などを話してくれた。
玲が告られた事は、聞いてて焦るばかりだったけれど、玲は俺に言った。
「僕、キヨくんの事一体いつから好きになってたんだろう。何だか僕の中には全然迷いがなかったから不思議な気がして…。そしたら無性にキヨくんに会いたくなっちゃって。これは僕の我儘なんだけど。今日会えて嬉しかった。」
そう言って、恥ずかしそうに笑ったんだ。ああ、もう絶対部屋に引き摺り込んでチュウするから。
1
お気に入りに追加
705
あなたにおすすめの小説
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる