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カップルの定義

告白

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鈴木君の、僕が男を好きなのかと言う問いに、僕は首を傾げて答えた。

「…どうなんだろ。僕にもそこら辺が分からないんだけど。好きになったら男だとか女だとか、そんな事どうでも良い気がして。あは、でも鈴木君みたいに女の子と付き合った事もないから、ハッキリした事は言えないけどね。
…でも、初めて人を好きになったから、この気持ちは大事にしたいと思ってるんだ。」


僕がそう答えると、僕の言葉をじっと聞いていた鈴木君は、ため息をついて言った。

「俺がくよくよ悩んでるところを、橘先輩は簡単に飛び越えていくんですね。そんな先輩だから、俺好きになったのかもしれないです。…失恋ついでに聞いても良いですか?その、先輩は好きな人と付き合ってるんですか?」

僕は一瞬で顔が熱くなったのを感じて、両手で頬を隠して呟いた。

「…た、たぶん?付き合ってる…かな?」


照れてしまって、そんな言い方しか出来なかった僕を見つめて、鈴木君は大きく伸びをして言った。

「あーあ、何か橘先輩を、そんな風に可愛くするその相手に嫉妬しちゃうな。もっと早く告白してたら、俺にもチャンスあったのかな…。」

そう言うと、スクっと立ち上がった。釣られる様に立った僕に向き合って、鈴木君は少し苦しげな表情で僕に手を差し出して言った。


「俺、先輩に告った事、後悔してませんから。こうして話してみて、やっぱり先輩の事好きだなって思うし。先輩、もし彼氏に酷いことされたら、直ぐに俺に連絡してくださいね。俺、チャンスは活かしたいタチなんで。」

僕は鈴木君の手をそっと握った。鈴木君は僕の手をぎゅっと握ると、にっこり笑って言った。

「まだ、先輩の事諦められませんけど、先輩の幸せを願ってます。」


そう言うと、踵を返して広場を出て行った。僕は鈴木君の後ろ姿を見つめながら、何だか急にキヨくんに会いたくなった。僕の大好きなキヨくんに抱きしめてもらいたくなった。

今日は会えない日なのに…。僕はぼんやり電車に揺られて家に帰り着くと、無意識に日課の受験勉強をした。母親に夕食に呼ばれるまで、時間の観念を失っていた事に気がつくくらいだった。


入浴を済ませて、ふと時計を見ると夜の10時だった。僕はスマホにポツポツとメッセージを打ち込んだ。直ぐにスマホが震えて、僕は慌てて部屋を飛び出した。

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