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祭りの後始末

キヨくんの気持ち

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幼馴染の関係を壊したのは自分だと告白した僕を、キヨくんは黙って見つめた。そしてため息をつくとデスクチェアに座って、探る様に僕をマジマジと見た。

「僕とキヨくんがどんどん違ってしまう事が悲しくて、怖くて、僕はキヨくんと離れようと一生懸命だった。キヨくんはそんな僕を悲しそうに見ていたね。今なら良く分かる。

キヨくんは僕を突き放す事なんてこれっぽっちも言わなかったし、しなかった。僕が必死でしてただけ。ごめん。」


キヨくんは突然顔を手で覆って呟いた。

「…俺どうして良いか全然分からなかった。急に玲に突き放されて、俺のこと、もう全然見てくれなくなって。俺なんてそこに存在しないかの様に対応されて、最初は悲しかったのに、ムカついて…。」

そして顔を上げて僕を見つめて言った。


「でも、中学生になる前に一度玲と話しただろう?あの時玲言ったよな。俺の友達にもう悪口言われたくないって。あの時全部腑に落ちたんだ。俺の側に居たら、きっと玲が辛くなるんだって。…だから、中学はダメでも高校はせめて一緒の所に行けたらって思ったんだ。」

僕は何だかキヨくんが凄く真っ直ぐに心の内を告白してくれて、びっくりしたし、キヨくんが戸惑っていたのを知って凄く反省した。そしてやっぱり、一緒の高校へ行きたかったんだと知って何だかドキドキした。


そんな僕を見て、キヨくんは苦笑して言った。

「でも、玲が松陰高校合格圏内だって母親に聞いた時は、正直焦った。俺はまだB判定でヤバかったから。自分から言い出して行けないのってカッコ悪過ぎるだろ?もしこれで高校別になったら、どうやって玲ともう一度仲良くなるか全然思い浮かばなかったし。

でも入学式にこの写真撮っただけで、結局三年に同じクラスになっても、この夏まで俺たちは余所余所しいままだった。」

そう言って、机の上の本の間から写真を一枚取り出した。僕に差し出された写真には強張った僕の顔と、少し拗ねた様な顔の今より少し子供っぽいキヨくんが二人並んで写っていた。


「この写真、僕見たことない…。この時、キヨくんがおばさんに揶揄われていたでしょ。僕、キヨくんが僕のこと少しは幼馴染として考えてくれてるのかなって嬉しかったんだ。ふふ。でも僕とキヨくんって不器用すぎない?こんなに仲直りするのに何年も時間掛かって。まぁ全部僕のせいかも…。」

言っててしょぼくれてきた僕を見て、キヨくんはデスクチェアから立ち上がって、僕の隣に座って僕をそっと抱きしめた。

「俺も、もう一度玲に冷たく突き放されたら耐えられないだろうって、勇気が出なかったんだ。どっちもどっちだよ。」

僕はキヨくんのひとまわり大きな身体の厚みを感じて、何だか許されて、甘やかされてホッとした。でも一方で、幼馴染ってこんな風に抱き締め合うものだろうかって、ドキドキしたんだ。




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