124 / 127
再びの異世界
王宮騎士団
しおりを挟む
僕は大きなテーブルに座って周囲を見回した。うっ、騎士や、兵士たちの視線が突き刺さる。僕は得意の日本人的愛想笑いで切り抜けようと、一番近くに座っている騎士に微笑んで言った。
「皆さん、お疲れ様です。すみません、突然お邪魔してしまって。僕のあるじがこちらに挨拶するとの事で一緒に来たのですが。あ、僕、フォーカス様の従騎士のシン タチバナです。」
僕が挨拶すると周囲が騒ついたのが分かった。そっか、こんな格好しているから、従騎士だと分からなかったに違いない。僕は更に愛想笑いをパワーアップして言った。
「僕は黒騎士団の範疇しか存じませんが、王宮騎士団は精鋭の集まりだと聞いています。皆さんはきっと素晴らしい騎士なのでしょうね。」
隣の騎士は視線を周囲に飛ばしていたが、咳払いをすると僕に話し出した。
「ゴホン。お褒め頂きありがとうございます。こちらこそ名高いフォーカス様の従騎士にお会いできて光栄です。武運名高いフォーカス様だけでなく、従騎士であるあなたも有名ですよ。あ、失礼しました。私はルキア シーベットです。王宮騎士団で近衛をしております。」
そう言って微笑む騎士は近衛だけあって、見目も麗しかった。僕がボーッとなっていると、あちこちから席を立って挨拶に騎士たちが来てくれて、僕はそれこそコメツキバッタの様に、挨拶に追われた。
僕たちが挨拶を交わしていると、ジュリアンが王宮騎士団長と共に戻ってきた。騎士団長が咳払いするとさっきまでにこやかに笑っていた騎士たちが一瞬で真顔になり、緊張感を滲ませた。
僕がジュリアンの側に寄ると、ジュリアンは僕を騎士団長に紹介した。
「団長、こちらが話に出たシン タチバナだ。今はリール公爵が後見していて、夫人は末っ子の子息の扱いだ。」
騎士団長は片眉を上げてニヤリと笑うと言った。
「そうか、ルカだな?あいつの考えそうなことだ。公爵夫人はさぞかしお喜びであろうな。」
僕は腰を折って王宮騎士団長に礼を取ると言った。
「フォーカス様より紹介いただきました、シン タチバナです。フォーカス様の従騎士を務めさせて頂いてます。異界からの侵入者の私を、王を始めとして皆様に良くしていただいております。今日は謁見の帰りにて、この様な異端の格好で伺ってしまい申し訳ありません。」
騎士団長はニヤリと笑うと言った。
「良い。噂の従騎士どのに一目会えてこちらも喜んでおる。それに、お陰でむさ苦しいこの場所も華やかになろうぞ。まぁ、フォーカスの心境は穏やかではないだろうがな。ハハハ。」
「皆さん、お疲れ様です。すみません、突然お邪魔してしまって。僕のあるじがこちらに挨拶するとの事で一緒に来たのですが。あ、僕、フォーカス様の従騎士のシン タチバナです。」
僕が挨拶すると周囲が騒ついたのが分かった。そっか、こんな格好しているから、従騎士だと分からなかったに違いない。僕は更に愛想笑いをパワーアップして言った。
「僕は黒騎士団の範疇しか存じませんが、王宮騎士団は精鋭の集まりだと聞いています。皆さんはきっと素晴らしい騎士なのでしょうね。」
隣の騎士は視線を周囲に飛ばしていたが、咳払いをすると僕に話し出した。
「ゴホン。お褒め頂きありがとうございます。こちらこそ名高いフォーカス様の従騎士にお会いできて光栄です。武運名高いフォーカス様だけでなく、従騎士であるあなたも有名ですよ。あ、失礼しました。私はルキア シーベットです。王宮騎士団で近衛をしております。」
そう言って微笑む騎士は近衛だけあって、見目も麗しかった。僕がボーッとなっていると、あちこちから席を立って挨拶に騎士たちが来てくれて、僕はそれこそコメツキバッタの様に、挨拶に追われた。
僕たちが挨拶を交わしていると、ジュリアンが王宮騎士団長と共に戻ってきた。騎士団長が咳払いするとさっきまでにこやかに笑っていた騎士たちが一瞬で真顔になり、緊張感を滲ませた。
僕がジュリアンの側に寄ると、ジュリアンは僕を騎士団長に紹介した。
「団長、こちらが話に出たシン タチバナだ。今はリール公爵が後見していて、夫人は末っ子の子息の扱いだ。」
騎士団長は片眉を上げてニヤリと笑うと言った。
「そうか、ルカだな?あいつの考えそうなことだ。公爵夫人はさぞかしお喜びであろうな。」
僕は腰を折って王宮騎士団長に礼を取ると言った。
「フォーカス様より紹介いただきました、シン タチバナです。フォーカス様の従騎士を務めさせて頂いてます。異界からの侵入者の私を、王を始めとして皆様に良くしていただいております。今日は謁見の帰りにて、この様な異端の格好で伺ってしまい申し訳ありません。」
騎士団長はニヤリと笑うと言った。
「良い。噂の従騎士どのに一目会えてこちらも喜んでおる。それに、お陰でむさ苦しいこの場所も華やかになろうぞ。まぁ、フォーカスの心境は穏やかではないだろうがな。ハハハ。」
17
お気に入りに追加
2,693
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 〜強面、筋骨隆々、とても強い。 でもとっても優しい男が異世界でのんびり暮らすお話〜
かむら
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞にて、ジョブ・スキル賞受賞しました!】
身長190センチ、筋骨隆々、彫りの深い強面という見た目をした男、舘野秀治(たてのしゅうじ)は、ある日、目を覚ますと、見知らぬ土地に降り立っていた。
そこは魔物や魔法が存在している異世界で、元の世界に帰る方法も分からず、行く当ても無い秀治は、偶然出会った者達に勧められ、ある冒険者ギルドで働くことになった。
これはそんな秀治と仲間達による、のんびりほのぼのとした異世界生活のお話。
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる