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二度目の砦生活

命の確かめ合い※

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私の首元ですすり泣きながら、顔をうずめるシンの甘い香りに私は胸を締め付けられていた。

シンは私を信じられたと言うけれど、今回の脱出を大きく成功へと導いたのは、ほとんどシンの行動に寄るものだった。シン自身はその事に気づいていないかも知れないが、シンは立派な戦略家に成長していた。

私は自分の幕内にたどり着くと、焦れる気持ちのままシンを抱きしめて口づけた。シンの唇は涙の味がして、私はシンの顔を撫でると潤んだ黒い瞳を見つめて言った。


「シン、ここに私とシンが居る。それが全てだ。…愛してる、シン。」

シンはハッとした様に目線を下げると口籠もりながら言った。

「…僕、逃げるためとはいえ、王子に身体をまさぐられました。…口づけも。王子の胸の奥に闇の塊が見えたので、白魔法を注ぎ込むために敢えて誘ったんです。効果があるか分からなかった…。もし効果が無ければ、ジュリアンが助けに来てくれなかったら、僕は…。」

段々言いながら青褪めていくシンの額に優しく口づけながら、私は言った。

「シン、よく耐えた。…私がその時の全てを浄化してやろう…。」


そう言って慰めながら、シンと自分の服を脱ぎ捨てながら、簡単に湯浴みした。浄化の魔法よりもシンが好きな湯浴みで癒やしてやりたかった。シンは私の脚の間でホッと息を吐いた後、私の方に向き直って言った。

「ジュリアン、口づけて…。」

私は湯の中でシンを抱きかかえると赤く扇情的な唇を貪った。柔らかで滑らかなシンの唇はいつでも甘くて、私に食べられたいと伸ばしてくる小さめの舌は悪戯な生き物だった。シンの弱い上顎をくすぐると、大きく喘いで胸を突き出した。シンの胸の尖りはいつも以上に色づいて、硬く立ち上がっていて、私が指で弾くと嬌声を上げながらお湯を揺らした。


私はザブリとお湯を撒き散らしながらシンをベッドへ連れていくと、水気を拭うのももどかしく思いつつ、シンに覆い被さった。シンのちくびを舌で舐め回すとシンは腰をひくつかせながら、昂りを揺らした。もうすっかり先走りで濡れたソレは旨そうにビクついていた。

私はシンの尖りを何度も交互に吸い上げた。シンは嬌声をあげて綺麗な昂りから白濁を飛ばした。

私もいつもより我慢が出来ずに、シンの白濁を窄みに塗りつけて私のいつもより大きく育った昂りを押し当てて言った。

「シン、私を感じるんだ。ここにシンと私がいる事を感じろ…。」

そう囁くと、シンは潤んだ瞳から一粒綺麗な雫を転がり落として頷いた。



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