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竜と暮らすのは楽しいね
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僕はテーブルの上のごはんを指差して竜に食べるか聞いたら、竜が首を伸ばして興味を示した。僕は竜を抱え上げると、僕の膝に抱っこして座ってみた。うん、無理かもしれない。重すぎる。
どうやってごはんを食べさせようかと考えて、僕は竜を床に下ろすとスペースを空けた。そして敷物を敷いて、ピクニックランチと洒落込んだ。
僕は竜の口の前にごはんを差し出しながら、一緒に食べた。竜は好き嫌いが無いようで、何でも食べた。余るかもと思ったご飯も全然余らなかった。ていうか、足りなかったかもしれない。
僕は好物のブドウを美味しいねと笑いながら、交互に一粒づつ食べた。
こんなに呑気な気分で他人と楽しい食事は久しぶりだった。あ、竜だけど。
僕は成人したばかりの17歳で、3ヶ月前に叔父さんの家から独立した所だった。叔父さんは随分僕を心配して、まだ家に居るように勧めたし、独立するなら叔父さんちの側に住むようにと何度も説得された。
従兄弟達も末っ子の様な僕を心配してたのは分かった。でも僕は街の外れに建っている、一目惚れした小さな赤いお家にどうしても住みたかった。結局、週に1度は叔父さんの家に顔を出すという条件で渋々独り立ちを許された。
叔父さん達が僕にこんなに過保護なのは、僕が母そっくりなのもあるかもしれない。
僕は柔らかな明るい金髪で、優しい緑色の目をしてるんだ。生まれつきだから僕にとっては見慣れたものだけど、前世持ちの後遺症?で、時々鏡に映る自分の姿にギョッとする時がある。妖精が居るかと思って。…自分のこと妖精とか言ったら痛いやつだよね、気をつけよう。
もちろん僕は立派な男だけど、筋骨隆々な叔父さんや従兄弟たちと違って、筋肉はつきにくかった。まぁ前世で言う細マッチョなんだけど、こっちの世界基準で言うと華奢になるかも…。女の人でさえ、そこそこ細マッチョ以上の人が多いから…。
だもんで、僕は女の人には見向きもされない。うっ、辛い。その代わり、マッチョな兄貴たちに見向きされ過ぎる。うん、辛い。
この世界は特に恋愛に性別は関係ないようなんだけど、なんせ僕は前世持ち。前世では女の子が好きだったのもあって、マッチョな兄貴たちにそれっぽい視線を受けると怯むと言うか。だってそれって、僕が女の子になるって事でしょ。怖いよ。経験ないけど。
近所に住むロンさんは、変わり者でそっちの色気のある気配が全く無いから、僕は安心して近所付き合い出来る唯一の人。年齢も不詳だし。実はハッキリ顔とか見たことない。髭が凄いからよく見えないし、僕の中では偏屈なマッドサイエンティストってイメージ。これは僕の妄想。ふふ。
そんなこんなで、僕は結構普段から警戒して人付き合いも最低限なんだ。叔父さんや従兄弟もうるさいし。
僕が成人と同時に、赤い可愛いお家を手に入れたのは、ノン印の薬草クリームを作って売っているからなんだ。街のお店に卸して売ってる。このお店が叔父さんの経営する商店で、ノン印は僕の名前シャノンをもじったものだから、誰が作ってるとか叔父さん達以外知らないんだ。
結構人気があるみたいで、叔父さんが僕が作ってるって知られない方が良いって言うからね。僕は人生経験の豊富な叔父さんの言うことは信じてるから、その通りにしたんだ。
僕はそれから毎日、ぽっちゃり竜と仲良く暮らした。
寝る時ももちろん一緒に眠る。ちょっと青がかった銀色の竜の鱗はひんやりしていて撫でると気持ちいい。それに凄く良い匂いがする。なんていうか、美味しそうな果実みたいな匂い?だから僕は竜と一緒に眠るのがすっかり気に入っていた。
お風呂はシャワーしか無いんだけど、僕がひとりで立って浴びてると足元にのそのそやって来る。僕はしゃがんで、石鹸を泡立てて洗ってあげる。竜は気持ち良さそうに目をパチパチすると、僕にまとわりついて来る。ほんと、すっかり竜は僕のかわいいペットになっていた。
でもそんな楽しい毎日もそう長くは続かなかったんだ。僕はふと、竜の足の傷がすっかり治っているのに気づいた。
僕は竜の頭を撫でながら言った。
「ねぇ、僕は君と一緒にいてとっても楽しい。でもね、君が本当にいる場所はここじゃ無いでしょ?傷が治ったら自分の仲間の所に帰らなくっちゃ。僕も寂しいけど、君がここにいる事がバレたら悪い人に捕まっちゃう。」
僕は涙をこぼしながら、来た時とはひと回り大きくなって、僕をじっと見つめる青い目の竜に抱きついて囁いた。
「…さようなら。…僕のかわいい竜さん。」
そうして僕とぽっちゃり竜は短い同居生活を終えたんだ。
それからの僕は寂しかったのもあって、人との付き合いを積極的にする様になった。もちろん僕に色目を使うマッチョ兄貴たちも居たけれど、そうで無い人達もいる事に僕は気づいた。僕は気の合う友達と楽しく出かける様になったんだ。
…それがあんな事になるなんて全然予想もしなかったけれど。
どうやってごはんを食べさせようかと考えて、僕は竜を床に下ろすとスペースを空けた。そして敷物を敷いて、ピクニックランチと洒落込んだ。
僕は竜の口の前にごはんを差し出しながら、一緒に食べた。竜は好き嫌いが無いようで、何でも食べた。余るかもと思ったご飯も全然余らなかった。ていうか、足りなかったかもしれない。
僕は好物のブドウを美味しいねと笑いながら、交互に一粒づつ食べた。
こんなに呑気な気分で他人と楽しい食事は久しぶりだった。あ、竜だけど。
僕は成人したばかりの17歳で、3ヶ月前に叔父さんの家から独立した所だった。叔父さんは随分僕を心配して、まだ家に居るように勧めたし、独立するなら叔父さんちの側に住むようにと何度も説得された。
従兄弟達も末っ子の様な僕を心配してたのは分かった。でも僕は街の外れに建っている、一目惚れした小さな赤いお家にどうしても住みたかった。結局、週に1度は叔父さんの家に顔を出すという条件で渋々独り立ちを許された。
叔父さん達が僕にこんなに過保護なのは、僕が母そっくりなのもあるかもしれない。
僕は柔らかな明るい金髪で、優しい緑色の目をしてるんだ。生まれつきだから僕にとっては見慣れたものだけど、前世持ちの後遺症?で、時々鏡に映る自分の姿にギョッとする時がある。妖精が居るかと思って。…自分のこと妖精とか言ったら痛いやつだよね、気をつけよう。
もちろん僕は立派な男だけど、筋骨隆々な叔父さんや従兄弟たちと違って、筋肉はつきにくかった。まぁ前世で言う細マッチョなんだけど、こっちの世界基準で言うと華奢になるかも…。女の人でさえ、そこそこ細マッチョ以上の人が多いから…。
だもんで、僕は女の人には見向きもされない。うっ、辛い。その代わり、マッチョな兄貴たちに見向きされ過ぎる。うん、辛い。
この世界は特に恋愛に性別は関係ないようなんだけど、なんせ僕は前世持ち。前世では女の子が好きだったのもあって、マッチョな兄貴たちにそれっぽい視線を受けると怯むと言うか。だってそれって、僕が女の子になるって事でしょ。怖いよ。経験ないけど。
近所に住むロンさんは、変わり者でそっちの色気のある気配が全く無いから、僕は安心して近所付き合い出来る唯一の人。年齢も不詳だし。実はハッキリ顔とか見たことない。髭が凄いからよく見えないし、僕の中では偏屈なマッドサイエンティストってイメージ。これは僕の妄想。ふふ。
そんなこんなで、僕は結構普段から警戒して人付き合いも最低限なんだ。叔父さんや従兄弟もうるさいし。
僕が成人と同時に、赤い可愛いお家を手に入れたのは、ノン印の薬草クリームを作って売っているからなんだ。街のお店に卸して売ってる。このお店が叔父さんの経営する商店で、ノン印は僕の名前シャノンをもじったものだから、誰が作ってるとか叔父さん達以外知らないんだ。
結構人気があるみたいで、叔父さんが僕が作ってるって知られない方が良いって言うからね。僕は人生経験の豊富な叔父さんの言うことは信じてるから、その通りにしたんだ。
僕はそれから毎日、ぽっちゃり竜と仲良く暮らした。
寝る時ももちろん一緒に眠る。ちょっと青がかった銀色の竜の鱗はひんやりしていて撫でると気持ちいい。それに凄く良い匂いがする。なんていうか、美味しそうな果実みたいな匂い?だから僕は竜と一緒に眠るのがすっかり気に入っていた。
お風呂はシャワーしか無いんだけど、僕がひとりで立って浴びてると足元にのそのそやって来る。僕はしゃがんで、石鹸を泡立てて洗ってあげる。竜は気持ち良さそうに目をパチパチすると、僕にまとわりついて来る。ほんと、すっかり竜は僕のかわいいペットになっていた。
でもそんな楽しい毎日もそう長くは続かなかったんだ。僕はふと、竜の足の傷がすっかり治っているのに気づいた。
僕は竜の頭を撫でながら言った。
「ねぇ、僕は君と一緒にいてとっても楽しい。でもね、君が本当にいる場所はここじゃ無いでしょ?傷が治ったら自分の仲間の所に帰らなくっちゃ。僕も寂しいけど、君がここにいる事がバレたら悪い人に捕まっちゃう。」
僕は涙をこぼしながら、来た時とはひと回り大きくなって、僕をじっと見つめる青い目の竜に抱きついて囁いた。
「…さようなら。…僕のかわいい竜さん。」
そうして僕とぽっちゃり竜は短い同居生活を終えたんだ。
それからの僕は寂しかったのもあって、人との付き合いを積極的にする様になった。もちろん僕に色目を使うマッチョ兄貴たちも居たけれど、そうで無い人達もいる事に僕は気づいた。僕は気の合う友達と楽しく出かける様になったんだ。
…それがあんな事になるなんて全然予想もしなかったけれど。
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