【完結済み】 ５０のオッサン 異世界に行く

転生と転移

夕食を終えて、１人書斎で歴史書を読み漁る。

とにかく俺には、この星での知識が圧倒的に足りていない。

ただ、いくつもの歴史書や文献を漁っていて気が付いた節もある。


転生者と、転移者の違い。


転生者。　地球で何らかの事情で死亡した人物を、この星に生まれ変わらせるのだが。

その際に、転生者の場合には、地球での記憶が薄れている事。

これは、イライザ、ソニア、アレス、スタン、セリアの５人に共通しているのだが。

地球での記憶は残っているのだが、どうにも記憶がハッキリしないと言う事。

自分が死んだ時の年月日と、なんで死んだのかは覚えているのに。

家族構成、知人関連などは思い出せないらしい。

ただ、地球での日常生活で使用していた数々の道具の事は覚えている。

当然だが、地球での道具などは持って産まれない。


これが、俺みたいな転移者だと。　家族構成も、知人関連も忘れてなどは居ないし。

地球から、持ってた道具なども所持したままだ。

まぁ、年で多少の記憶の欠如は有るかも知れないが。

今この場には、俺しか転移者は居ない。

歴史書や文献を見る限り、勇者と呼ばれる転移者たちも、俺と同じだったと考えている。

そう考えれば、この星の文明レベルの ちぐはぐ差 にも納得ができる。

小さな集落や村とかは別だが。

人が多く集まる、王都や都市では、地球での先進国とまでは行かないけれど、ある程度の設備の整ったライフラインが確立されている。

用水路や下水などとかね。

大陸間商業組合プラントを創立したのも１０００年前の勇者との事。

最初は、冒険者ギルドって呼び方だったらしいけど。

時代の流れと共に、いまの大陸間商業組合プラントと言う呼び方に定着したらしい。

うん、判るよ。　冒険者って、職業や仕事を指す言葉じゃないしね。

それに、食事関連。

この星には、普通に地球での調味料がある。

もちろん、化学調味料や、現代日本に在る調味料みたいに洗練はされていないが。

醤油に、味噌に、米に、マヨネーズ。普通に存在する。

また、食材の方も地球と似たようなものが。　と、言うより。　呼び方が、多少違うだけで同じ物しか俺は見た事が無い。

食材の方も、現代地球の様に洗練された味ではないが。

そりゃそうだ。　数々の品種改良がされて、今の日本での食材なのだから。

ただ、この星の料理は味が大雑把すぎるのだっ！

アメリカンに近い味付けが多くて、正直年配層にはキツイっ！

城で俺が重用されたのも、俺が作った料理の受けが良かったからだ。

こう見えて、２４歳までは調理師をしていたので、料理の腕には結構自信がある。

中でも評判が良かったのが、出汁ダシの取り方だった。



恐らく、この星に転移された勇者と言うのは、俺と同じく一般人。

それも、かなり年代の若い。そう、高校生や大学生辺りと言った所だと思う。

しかも、専門的な知識や技術など持ち合わせていない。

多分、この星の神で在るカルドラが。　この星の文明レベルが急激に進展するのを望んでいないのだと思う。

保冷庫に保温庫などの、数々の便利魔道具も在る事から、多少の文明レベルの発展はあるのだと思う。

今回、俺が持ち込んだ荷物でも、急激に文明レベルが上がりそうな物なんて無い。

精々、スマホを解析したイライザが、魔法的な物で通話機構を向上させるくらいだろう。

現在、試行錯誤中らしい。

　＊　＊　＊　＊　＊　＊

余談。

イクルの住んでいる家の広さ。

庭付き（２０メートル四方前後）、一軒家で２階建て、地下室在り。

部屋数：８ＬＤＫ。　風呂トイレ付のセパレード。

地下室に、転移用の魔法陣設置。