ぼく、魔王になります

楢山幕府

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 半透明なトカゲ姿で、火の上級精霊が現れる。
 炉の火を守っていた精霊のようだ。
 火を消して、ぼくの元にきてくれたらしい。
 トカゲがしきりに首を傾げて戸惑う様子に、この国が火の精霊に愛されていることを知る。

「ごめんね」

 それでもぼくは、やる。

「早くしないと、どんどん炉の火を消していくよ」

 また一体、半透明なトカゲが増える。
 精霊の姿が見えるわけでもないのに、ドワーフたちの怒号は悲鳴に変わった。炉の火が消えたことを知らされたんだろう。
 ほどなくして、回復薬が届けられる。
 その次には、一際大柄なドワーフが、ぼくの前で地面に頭をついた。

「この国の王様です。炉に火を戻して欲しいと言っています」
「ディンブラの傷が完治したら、戻すと伝えて」

 何度も何度もドワーフの王様はぼくに頭を下げる。
 けれど答えは変わらない。
 ガルも冷たい目で王様を見下ろしながら、ルフナに向けて口を開く。

「休める場所を用意させてくれ。いつまでもディンブラを地面に寝かせておけないだろ」

 ディンブラは気を失っていた。
 回復薬を飲ませたから、もう大丈夫だと思うんだけど……。
 できた傷口は閉じ、血も止まっている。
 鉄の槍を受けたものの、幸い傷は深くなかったようだ。
 一先ず、ほっと息をつく。
 ガルがディンブラを横抱きにし、ぼくたちは王様の案内でその場をあとにした。

「他に必要なものはあるかと訊いています」
「じゃあ薬を調合するから、器具を用意してもらって」

 案内された部屋は広かった。
 床には絨毯が敷かれ、通路が無骨だった分、洗練された趣がある。
 ガルがディンブラをベッドに寝かせる。
 すぐに調合用の器具も用意されたので、ぼくは準備に取りかかった。

「王様はもういいよ。今はドワーフを視界に入れたくないんだ」
「外に人を置いておくので用があればそちらに、とのことです」

 ルフナに頷きだけで答える。
 自分でも態度が悪いと思うけど、薬の調合に神経を集中させた。
 そうしていないと、すぐにまた感情が荒れ狂いそうだった。
 手が器具に当たり、カチャンと音を立てる。

「リゼ、止めとけ。調合は繊細な作業なんだろ?」
「でもガル……っ」

 抱き寄せられて、唇を塞がれる。
 ぼくは珍しくガルを押し返した。

「ガル、そんな、気分じゃない」
「だからだろ。嫌な気分は全部、吐き出しちまえ」

 乱暴にスカートを捲られ、自身を握られる。
 ガルの大きな手に包まれて肩が跳ねた。

「ガル……っ」
「いいから。俺に任せろ」

 ベッドに座らされたと思ったら、ガルが膝立ちでぼくを跨ぐ。
 いつの間に潤滑油を手にしていたのか、滴る感触を得たときには挿入がはじまっていた。
 ぬっ……と、ガルに自身が飲み込まれていく。

「は……ガル……」
「大丈夫だ。おら、その気になってきただろ?」

 挿れたまま腰を揺らされれば、体が勝手に反応した。

「っ、中で、大きくなってるぞ……っ」

 急な展開に頭がついていかない。
 けれどガルは、それを望んでいるようだった。

「何も考えず、腹の底に溜まったもんは、俺にぶつけりゃいい」

 頭におっぱいが押し付けられ、鼻先が谷間に沈む。
 ぼくは何故か泣きたくなった。
 包まれる温もりに、ポロポロと涙が溢れていく。

「はっ……ぁあ、リゼ、奥……突いてくれよ」
「ん」

 泣きながら、ぼくは腰を揺すった。
 それに合わせてガルも上下に動く。
 ガルのいいところに自身が当たると、きゅうっと強く肉壁に締め付けられた。

「んぁあっ、あっ、あっ……リゼ、もっとだ、もっと……お前をくれ」

 答える代わりに、力いっぱいガルに抱き付いた。
 腰を振って、ぼくももっとガルが欲しいと伝える。

「んおっ、お……! いいっ……リゼの、硬いのが……奥にっ」
「ガル、ガル……っ」

 譫言のように名前を呼ぶ。
 ぼくはただ闇雲にガルを求めた。

「くっ、ぁ……あっ! リゼ、りぜぇ……!」

 ガルが嬌声を上げる。
 振動に、ベッドが軋んだ。
 熱い。
 熱が、全てを飲み込んでいく。
 怒りも、悲しみも……守れなかった情けなさも、全部。
 丸呑みにして、ぶつかり合う。

「ガル……っ!」
「んっ、んぅぅううう!」

 そして最奥で、熱は弾けた。
 チカチカと瞼の裏で光が明滅する。
 星空を見上げて感じた眩しさが思いだされた。

「ふっ……」

 ガルが息を漏らしながら、腰を上げ、中からぼくを引き抜く。
 抜けた瞬間、ガルの蕾から白濁とした液が溢れた。
 音が聞こえそうなほどの量が、褐色の肌に流れる。

「うお、もったいねぇ」
「緩くなっているんじゃありませんか?」
「あ゛?」

 ルフナの指摘で、ガルの額に血管が浮き出た。
 今度はルフナがぼくに跨がる。

「お手本をお見せしましょう」
「え、ルフナ!?」

 ぼくの竿を手で支えながら、一気にルフナは腰を下ろした。

「はぁぁあん! あ、ぁあ……! 感じます、中で、リゼ様の脈動を……!」

 ダラダラと尖端からカウパーを流し、身悶える姿を眺めていると、悩むのがバカらしくなってくる。

「もう、ルフナも……容赦しないからね」
「はい、リゼ様! この肉便器を、リゼしゃまの精液で、満たしてくだしゃい……!」

 部屋の明かりは壁にかけられた松明だけ。
 煌々とした炎に、ルフナの白い肢体が浮かび上がる。
 ガルのあとだと、より一層細く見える腰を両手で掴んだ。
 手が触れただけで、ルフナは体を弾ませる。

「ぁあっ……!」
「ルフナは、少し痛いくらいが好き?」

 答えの前に、服の上から乳首に噛みついた。
 ルフナが前のめりになって、ぼくにしな垂れる。
 加えて腰を振れば、ルフナの反応は顕著だった。

「ひぁあ、あっ……! リゼしゃまぁ……っ、あ、イッちゃう、イッちゃいますぅうう」
「まだダメ」

 片手を放し、きゅっとルフナの根元を指で絞める。

「ひぅううん! しょんなっ……あっ、あっ、あっ」

 それでも快感が止まないのか、ルフナの腰は小刻みに跳ね続けた。
 ぐっと、ぼくが自身を最奥へ押し込むと、前のめりだった姿勢から、反対にルフナは背中を大きく反らせる。ポニーテールが、宙を舞った。

「はぁんっ! ぁあ! イクっ、イキゅぅうううっ!」

 ルフナは、お尻だけでイッたみたいだ。
 ガクガクと震えるルフナの口からヨダレが滴る。

「ぁああ……ひく、いくの、とまらな……っ」

 感じ続けているせいか、中のうねりも止まらない。
 熱を取り戻したぼくは、問答無用にルフナを打った。

「ひあっ、い、いってるのに……あっ、あっ、おく、おくつかれたら……おかしく、おかしくなりゅ……ぅぅうううっ」

 ルフナがしがみついてくる。
 一度ルフナから手を離したぼくは、次に柔らかい臀部を持った。
 手を開き、ルフナのお尻に指を埋めて、最後の追い込みをかける。

「んあっ、あっ、あっ!」

 汗で指が滑りそうだった。
 また服の上からルフナの乳首を噛む。
 ルフナには、それが決め手になったみたいだ。

「ひんっ……! ぁ……ふっ、んんんん!」

 ルフナの熱が、ぼくの顔にもかかる。
 唇にまで滴るそれを舌で舐め、最奥を穿つと、束の間、ぼくは意識を手放した。
 熱が弾け、朦朧とする。

「あぁ……りぜしゃま……」

 ルフナも余韻に浸っているようだった。
 力の入らないルフナの体を、誰かが持ち上げる。
 視界の端に、漆黒の尻尾が見えた気がした。

「……リゼ、是も」
「ディンブラ?」

 もう起きて大丈夫なのか訊く前に、口を塞がれる。
 ディンブラの長い舌が、ぼくの舌を絡めて離さない。

「んっ、んっ……」

 唾液の一滴もこぼさないよう、吸われ、舐め取られる。
 屹立したディンブラの中心が、ぼくの腹に当たっていた。

「もう……我慢できない……」

 口が新鮮な空気に触れたときには、自身がディンブラの口内に収まっていた。
 綺麗にするかのように、竿に舌が巡らされる。

「は……ディンブラ……無理しないで……」

 輪郭をなぞるように、ディンブラの頭を撫でる。
 ぼくが彼の黒髪を指で梳くと、翼が僅かに開閉した。
 気持ちいいのかな?
 そのまま指で尖った耳や、頬、顎のラインを辿っていく。

「ん、んぅう……」

 ぼくを咥えたまま、ディンブラが長い睫毛を震わせるのが見えた。
 視線を向けられて目が合うと、お返しと言わんばかりに、深く飲み込まれる。
 溜まらず、湿った息が漏れた。

「はぁあ……っん、ディンブラ、気持ちいい……っ」

 ぢゅっ、ぢゅっと水音を立てて、亀頭が喉奥に到達する。
 長い舌を竿に絡まされたまま顔を上下されると、こめかみを汗が伝った。

 気が付いたときには、壁にかけられた松明の火は消え、窓から見える空は白んでいた。
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