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「婚約破棄だ!俺はアリスと結婚する!」
周りの人々はその唐突で一方的な破棄宣言に動揺を見せる。彼はなにをいきなり言っているんだ?と、驚いている人もいれば、まぁこうなるだろう、と納得の表情の人も少なからず見受けられる。
そんな中、当の私は…彼の口からその言葉が紡がれた瞬間、思わずニヤリとしてしまいました。
だって、あまりにもうまくいくのですもの。私達の計画が。これで彼等に痛い目を見せる下準備が整いましたわ。ふふっ。
そんな気持ちを悟られまいと、急いで表情を少し悲しそうに、だけれども真摯にも見えるように取り繕い、承諾の意を見せる。
「わかりましたわ。承りましょう。」
そう答えると、彼は長年の望みが叶ったかのような満面の笑みを浮かべた。
「そうか。お前もわかってくれたか。お前なんぞ俺には釣り合わないからな。これでようやくお前から開放される。今までは親に言ってもよく考えろとしか言われなかったからな。両者の合意があれば流石に良いだろう。」
あら、やはりあんなお話をしたのですから、彼の家族はやはり少しは抑えようとしていたのですね。なんだかんだでやはり息子というのには情があるのでしょう。
しかし当の本人は全く理解していなかったようですけどね……残念な方。
「それではアリス、俺と結婚してくれませんか?」
そんな中、空気を欠片も読まずにそう言われたアリスは少し周りの目を気にして戸惑いつつも最終的にはふんわりと笑ってよろしくお願いします!と答えた。
そんな彼らを祝福しようとする者はほんの極僅かな一握りで、ほとんどはこの急な展開についていけず呆然としている。
それにしても呆れた人たちですわね。これだけの騒ぎを起こしていながら二人の世界に入りきっていますわよ?
私との婚約破棄が自らにどのような結果をもたらすかも知らずに。なんとも愚かなこと。
こんな男と結婚することにならなくて良かったと心の底から思いますわ。
……そろそろ良い頃合いですわね。
さぁ、反撃ですわ!
彼らを絶望の淵に落としてやりましょう!
「さて、クロム様。この状況、どう収拾してくれますの?」
「はあ?なんの話だ。」
「この状況です。私は濡れ衣を着せられ、罵倒され、さらに婚約破棄までされるという辱めを受けていますの。どうしてくれますか?」
私が悲しげな雰囲気でそう聞くと、彼はもはやデフォルトとなったあの侮蔑の表情を浮かべ、耳障りな声で私を嘲るように喋る。
「はっ、何を言っている。そんなの俺の知ったことではないだろう。俺と婚約破棄したお前にはなんの関わりもなくなったのだからなっ!しかも濡れ衣だ?全てお前が元凶のくせに何を言っている!」
「ほう。その証拠はお有りで?」
「証拠なんてアリスの証言で十分だ!しかもなぁ、周りには実際にインクにまみれたアリスやアリスの私物を持ったお前を見ている者がいるんだよ!これで十分か?」
あまりにも思う通りに話が進んでいっているのでつい笑ってしまいそうになる。その笑いを堪えるためグッと体に力を入れると彼は自分の良いように解釈したようで
「何も言えないようだな!それじゃあ俺はこれにて失礼するぞ。濡れたままのアリスを放置なんぞできないしな!」
そう言ってこの場を去ろうとする。流石にそうされるとまずいため、静止の言葉をかけ、反論する。
「お待ちくださいませ。アリス様。それらの私がした嫌がらせ、というのはまさか私が貴女のインク瓶に軽くぶつかったときのことだったりはしませんよね?私、あの時は確かにぶつかりはしましたけれど……インク瓶は欠片も動いてはいませんでしたよ?私、それくらいしか心当たりがありませんし、確かその次の日くらいから私がインク瓶を貴女にぶちまけた、という噂を聞くようになりましたけど…」
「何を言っている!アリスはインクを頭からかぶっていたのだぞ!実際にお前が出てきた後の教室にインクを被ったアリスが一人泣いていたのだ!なぁ、アリス。」
「はい……私、本当に驚きましたの。そんなことをされるとは思ってもいなかったのです……」
あら、墓穴。想定通りの答えを返され、私は大袈裟なほど驚いた顔を作り、独り言のように大きめの声で呟く。
「えっまさかアリス様……私がしたと広めるためにその後自分でかぶったのですか?」
「なっ!デマカセを言うな!」
アリスは、ずっと「私…怖いっ!」といった表情でクロムに縋っていたが、私の言葉を聞くとその顔が、ほんの少し、注意して見ないと気づかないくらい微かに強張った。
周りで見ている観衆達は、私のあまりにも堂々とした物言いにどちらを信じればいいか、微妙に混乱してきている。
そんな雰囲気をアリスも感じ取ったのであろう。彼女の顔に焦りが見えるようになってきていた。
「そんな、ち、違う!私は、本当に」
「そういえば、私が貴女の物を隠して捨てただとか言う話もございましたけど……まさか落とし物を届けたときの話でもしてらして?確かそれが盗まれてゴミ箱にあった…とかいう噂になっていたような……まったく、善意でしたことですのにそんな言い方をされるなんて……信じられませんわ。」
再び大袈裟なほど悲しそうな声でそう言い、残念そうにしていると観衆もどんどん混乱していき、アリスにも疑いの目が向けられるようになる。それを感じ、彼女の顔もどんどん強張っていく。
そんな瞬間、唐突に低く鋭く、そして覇気を感じる声が飛んできた。
「そこまでだ。」
周りの人々はその唐突で一方的な破棄宣言に動揺を見せる。彼はなにをいきなり言っているんだ?と、驚いている人もいれば、まぁこうなるだろう、と納得の表情の人も少なからず見受けられる。
そんな中、当の私は…彼の口からその言葉が紡がれた瞬間、思わずニヤリとしてしまいました。
だって、あまりにもうまくいくのですもの。私達の計画が。これで彼等に痛い目を見せる下準備が整いましたわ。ふふっ。
そんな気持ちを悟られまいと、急いで表情を少し悲しそうに、だけれども真摯にも見えるように取り繕い、承諾の意を見せる。
「わかりましたわ。承りましょう。」
そう答えると、彼は長年の望みが叶ったかのような満面の笑みを浮かべた。
「そうか。お前もわかってくれたか。お前なんぞ俺には釣り合わないからな。これでようやくお前から開放される。今までは親に言ってもよく考えろとしか言われなかったからな。両者の合意があれば流石に良いだろう。」
あら、やはりあんなお話をしたのですから、彼の家族はやはり少しは抑えようとしていたのですね。なんだかんだでやはり息子というのには情があるのでしょう。
しかし当の本人は全く理解していなかったようですけどね……残念な方。
「それではアリス、俺と結婚してくれませんか?」
そんな中、空気を欠片も読まずにそう言われたアリスは少し周りの目を気にして戸惑いつつも最終的にはふんわりと笑ってよろしくお願いします!と答えた。
そんな彼らを祝福しようとする者はほんの極僅かな一握りで、ほとんどはこの急な展開についていけず呆然としている。
それにしても呆れた人たちですわね。これだけの騒ぎを起こしていながら二人の世界に入りきっていますわよ?
私との婚約破棄が自らにどのような結果をもたらすかも知らずに。なんとも愚かなこと。
こんな男と結婚することにならなくて良かったと心の底から思いますわ。
……そろそろ良い頃合いですわね。
さぁ、反撃ですわ!
彼らを絶望の淵に落としてやりましょう!
「さて、クロム様。この状況、どう収拾してくれますの?」
「はあ?なんの話だ。」
「この状況です。私は濡れ衣を着せられ、罵倒され、さらに婚約破棄までされるという辱めを受けていますの。どうしてくれますか?」
私が悲しげな雰囲気でそう聞くと、彼はもはやデフォルトとなったあの侮蔑の表情を浮かべ、耳障りな声で私を嘲るように喋る。
「はっ、何を言っている。そんなの俺の知ったことではないだろう。俺と婚約破棄したお前にはなんの関わりもなくなったのだからなっ!しかも濡れ衣だ?全てお前が元凶のくせに何を言っている!」
「ほう。その証拠はお有りで?」
「証拠なんてアリスの証言で十分だ!しかもなぁ、周りには実際にインクにまみれたアリスやアリスの私物を持ったお前を見ている者がいるんだよ!これで十分か?」
あまりにも思う通りに話が進んでいっているのでつい笑ってしまいそうになる。その笑いを堪えるためグッと体に力を入れると彼は自分の良いように解釈したようで
「何も言えないようだな!それじゃあ俺はこれにて失礼するぞ。濡れたままのアリスを放置なんぞできないしな!」
そう言ってこの場を去ろうとする。流石にそうされるとまずいため、静止の言葉をかけ、反論する。
「お待ちくださいませ。アリス様。それらの私がした嫌がらせ、というのはまさか私が貴女のインク瓶に軽くぶつかったときのことだったりはしませんよね?私、あの時は確かにぶつかりはしましたけれど……インク瓶は欠片も動いてはいませんでしたよ?私、それくらいしか心当たりがありませんし、確かその次の日くらいから私がインク瓶を貴女にぶちまけた、という噂を聞くようになりましたけど…」
「何を言っている!アリスはインクを頭からかぶっていたのだぞ!実際にお前が出てきた後の教室にインクを被ったアリスが一人泣いていたのだ!なぁ、アリス。」
「はい……私、本当に驚きましたの。そんなことをされるとは思ってもいなかったのです……」
あら、墓穴。想定通りの答えを返され、私は大袈裟なほど驚いた顔を作り、独り言のように大きめの声で呟く。
「えっまさかアリス様……私がしたと広めるためにその後自分でかぶったのですか?」
「なっ!デマカセを言うな!」
アリスは、ずっと「私…怖いっ!」といった表情でクロムに縋っていたが、私の言葉を聞くとその顔が、ほんの少し、注意して見ないと気づかないくらい微かに強張った。
周りで見ている観衆達は、私のあまりにも堂々とした物言いにどちらを信じればいいか、微妙に混乱してきている。
そんな雰囲気をアリスも感じ取ったのであろう。彼女の顔に焦りが見えるようになってきていた。
「そんな、ち、違う!私は、本当に」
「そういえば、私が貴女の物を隠して捨てただとか言う話もございましたけど……まさか落とし物を届けたときの話でもしてらして?確かそれが盗まれてゴミ箱にあった…とかいう噂になっていたような……まったく、善意でしたことですのにそんな言い方をされるなんて……信じられませんわ。」
再び大袈裟なほど悲しそうな声でそう言い、残念そうにしていると観衆もどんどん混乱していき、アリスにも疑いの目が向けられるようになる。それを感じ、彼女の顔もどんどん強張っていく。
そんな瞬間、唐突に低く鋭く、そして覇気を感じる声が飛んできた。
「そこまでだ。」
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