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ウォーウルフ2
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「ゴンゾウ!!」
【打撃耐性】のおかげだろうか?!!かろうじて生きている。
だが、かろうじてだ。もう動けそうにない。
ウォーウルフは先ほどの攻撃の後ヨロヨロとまた、ふらついているが殺気は幾分も落ちていない。
アレンはニアとゴンゾウに目をやり一つの覚悟を決める。
ウォーウルフはつたない足元でゆっくりとアレンたちのもとへ近づいてくる。
斬られた目からは血がしたたり落ちている。
多少苦戦したが戦力は根こそぎ刈り取った。
焦る必要はないとゆっくり、、
二人をウォーウルフから離すように運ぶアレン。
「ありがとな。ゴンゾウ。ニア。」
自分を冒険者にしてくれたのはこの二人だ。
こんな時だからこそ感謝があふれてくる。
「な、何する、気、なの?、、、」
恐怖からかうまく話せないニア。
「大丈夫。今度は俺が助ける番だ。安心して見ててくれよ。」
脅威が迫る中、アレンはゴンゾウが持って手放さなかった雷切を手にする。
絶望的なこの状況、だがニアはこの男に初めに感じた偉大な冒険者のにおいを再び感じていた。
どんな状況からも生還する強い生命力を感じた。
その背中を見ながら涙が出るのを抑えられなかった。
アレンのスキル【王の所有物】が発動する。
【王の所有物】
絶対の忠誠を与えた魔物のスキルを自らも使用できる。
ゴンゾウのスキル
【全武器,防具装備可能】
を発動し雷切を手になじませる。
ゴンゾウがなんのスキルを持っているのかは何となくだがわかった。
これはアレンの魔物使いとしての職業の力なのか?
続けて【王の所有物】
【黒魔法 Lv5】
アレンが雷切に黒魔法サンダーボルトを打込む。
バシュ!!バシッ!!
何度も何度も打ち込まれるサンダーボルト。
雷切は秘められた武器特性、【帯電】の能力によりおぞましい放電現象を見せ始める。
そして先ほどゴンゾウが使った時と同じように雷切の刀身が赤みを帯び始め、金切り音で鳴き始める。
ギリィィィァァァアアアアアアア!!!!!!!
その音に反応しウォーウルフは敵意をアレンに定める。
グオオオォォォォォァァアアアアアアア!!!!!
雷切の音に反応しけたたましく吠えるウォーウルフ。
バシュ!!!バシィィ!!!
かまわずサンダーボルトを打ち込んでいくアレン。
今や雷切の放電現象はダンジョンの壁や天井にまで達している。
その雷切を握っているアレンに目を疑ってしまうニア。
おぞましい金切り音に耳をふさぐ手に力が入る。
やっぱりアレンは、、、!!!
ニアは震え力が入らない足を引きづり自身の杖が転んでいるところへ向かう。
ウォーウルフの前では自分は足手まといでしかない。
何度心を折られても、自身が冒険者である限り立ち上げあるしかない。
今自分にできることをやらなければ。
アレンのただならぬ姿を見てそう思ったニアは必死に足を引きずり杖のところへ向かう。
一方アレンは雷切に今自分ができる最大限の魔力を送り込んだことを確認し剣を構える。
体には刀から跳ね返った魔力が容赦なくアレンを襲っている。
「避けたりするなよバカヤロウ!!!」
アレンの足元の土砂が騒ぎ出す。
雷切の放電はやむことがない。ゴンゾウのレベルまではこの技を使い切れていないことを感じる。
ゴンゾウの一撃にも耐えたウォーウルフだ。この1撃は果たして通用するのか。
それでも今はやるしかない。ここを超えて、みんなでまた冒険を続けるために。
最後にグッと沈み込んだアレンはスキル【王の所有物】を使用しゴンゾウからスキルを引き出す。
猛獣が獲物を狙うかの如く低く姿勢をとっているアレン。
あまりある可能性を乗せた進撃の1撃。
「縮地!!!!」
ボンッ!!!!
と空気が爆発したかのような音とともにアレンが消える。
物理的な速度を超えたこのスキルは目的地までの空間をゆがめ距離をなかったことにし移動するいわばテレポートのようなものだ。
しかしテレポートと全く異質な部分がある。
テレポートとは自らの構成物質を分解し別のところにコピーし再構築する頂上級の魔法術である。
しかし縮地とはこの距離をなかったことにする。という事が恐ろしいのである。
実際距離がなかったことになる事象を体験しているのは使用者だけで、物理的に不可能である距離の短縮は実際には目的地まで移動した事になっている。
この世は”世界”と呼ばれる物理演算システムが物事の事象を決定つけている。
実際起こっているが起こせるはずがない。
そう言った矛盾を収束させるため”世界”が使用者に速度をつけ無理やりに事象をこじつけている。
このスキルは本当は目的地までの到達時間は0秒になる。
しかしそれはさすがに更なる物理演算のバグを生むことになる。
ゆえに使用者の縮地の練度によって付加される速度が変わっていき到達時間もラグが出てくる。
そしてその間に付加された速度。
使用距離が長くないと言えどその人間離れした速度での1撃がおぞましいのは言うまでもない
もちろんそんなおぞましい威力が”世界”に修正されないはずはない。
だが修正しても有り余る力、冒険者が”世界”の演算を逆手に取り発現させたスキル。
いわばバグのようなこのスキルではあるがアレンにその感覚を理解していたのかと言わればもちろんしていなかったというのが正解である。
アレンは自身のスキルによって強制的にスキルを使えるようにしている。
スキルの力によって使えるように動かされている。
もちろんゴンゾウもすべては理解していないが感覚という範囲ではある程度大体こんな感じというくらいでは認識できている。
だから使用できるという事でもあるが。
とにかくその差、ゴンゾウとアレンの理解の差によるスキルの練度には大きく差があり、先ほどから何度も【縮地】を見せられているウォーウルフにとっては
すでに捕らえられないスピードではなかった。
目で確実にアレンを捕らえたウォーウルフの破壊的な噛みつきがアレンを襲う。
タイミングは寸分狂いもない。
しかしその時、ウォーウルフの顔が横殴りでもされたように吹き飛ぶ。
すぐに何をされたか気が付いた。
涙と恐怖でぐちゃぐちゃになった顔をしっかりとウォーウルフに向け地面をはいずりながら震える手で杖を持ちウォーウルフの横顔にウインドバースト叩きこんだのだ。
ウォーウルフはすぐにニアに殺意を向けた。
ニアはその巨大な殺意に当てられ息もできなくなった。
しかしその一瞬のやり取りは致命的だった。
アレンがウォーウルフのこめかみに体ごと突進し雷切を突き立てるまでに必要な時間を十分すぎるほど確保させてしまったからだ。
激しく放電する雷切。
その刃がウォーウルフに到達する。
深く突き刺さり確かな手ごたえを感じるアレン。
ぐぉっぉっぉおおおお!!!!!!!!!
暴れるウォーウルフ。雷切にしがみつきながら飛ばされないように耐える。
しかしすぐに雷切に蓄積されている電撃がウォーウルフの体内を駆け走る。
グギャギャギャギャアアアアアア!!!!!!!
声にならないウォーウルフの悲鳴がダンジョンに響く。
ヨロヨロと足元をが定まらないウォーウルフだがまだ倒れない。
頭を振り回し暴れ回る。
振り落とされては終わりだ。必死にこらえるアレン。
もう一度手に魔力を込める。
「これでもくらえ!!!!サンダーボルト!!!!」
残り僅かな魔力のアレンだが渾身の力でサンダーボルトを雷切に叩きこむ。
雷切を伝ってウォーウルフの体内に電撃が流れる。
グギャァァァアアアオオオオオオ!!!!!!
苦しみもだえるウォーウルフだが、、、まだ倒れない。
頭を振りながらダンジョンの壁に頭を叩きつける。
「ぐほお!!!」
アレンは壁とウォーウルフに挟み込まれ体中の骨がバラバラになったかのような感覚を覚える。
吐血し霞む意識でアレンは、もう少しのはずなんだ。もう少し。
必ず倒す!必ずお前らを救う!!!
その思いが体を動かす。
そしてアレンの右腕に再び魔力が集まりだす。
そして怒涛の連続攻撃。
「サンダーボルト!!サンダーボルト!!サンダーボルト!!サンダーボルト!!!!」
残りの魔力を振り絞るような連続詠唱。
これにはたまらずウォーウルフも片膝を折る。
だがまだ倒しきるには至らない。
アレンは痺れる体に鞭を打ち、最後の詠唱を唱える。
「これが最後だ!!ライトニングボルトォォォォ!!!!」
今までのサンダーボルトの数倍の力の電撃がウォーウルフを襲う。
グラグラとゆったりした動きで横に倒れこもうとするウォーウルフ。
しかしとっさに足を出し倒れることを拒む。
「化け物かよ、、、、」
アレンはすべての魔力を絞り切り生命力まで搾り取った最後の一撃を放った後、
雷切から手が離れウォーウルフの頭から転げ落ちる。
ウォーウルフは転げ落ちたアレンが自分の口の前に落ちてきたのを確認すると同時に、アレンを大きな口へ誘い込んだ。
その時、恐るべきスピードでウォーウルフのこめかみに飛び込む水色の影があった。
【自動修復】により最低限動けるようになったゴンゾウだった。
【縮地】を使い目にも止まらないスピードでウォーウルフのこめかみにとりつく。
もう動けないはずだった。
死んでもおかしくないような1撃を食らいもう1センチだって体は動かなかった。
アレンが命を懸けているときに自分が動けない現状が情けなかった。
アレンが初めの森で自分を救ってくれたことをゴンゾウは1日たりとも忘れたことはなかった。
すべてはアレンのために!!この命尽きようとも!!
そんな時ゴンゾウの思いに答えるがごとくもう一つのスキルが発動する。
【絶対の忠誠】
マスターへの忠誠が高いほどステータスが飛躍的に上昇する。
無限に上昇するゴンゾウのステータス。
あふれる力を感じる間もなく飛び出していた。
「キュピィィィィ!!!!!」
こめかみにとりついたゴンゾウは渾身の力を込め、先ほどのアレンとは比べ物にならないほどの大きなライトニングボルトを雷切に向けて叩き落す。
雷切から伝い、体内に直接流れ込む超電撃。あまりの威力に全身の毛が逆立つウォーウルフ。
電撃が走り抜け終わり口の中から ぶしゅぅぅぅ と焼けた肉のにおいを発しながら
今度こそ地面に ドシン!!! と地響きをたて声もなく体から大きく横倒しになった。
ゴンゾウも魔力を使い切り力なくウォーウルフと共に地面に叩きつけられた。
ニアは倒れたウォーウルフをしばらく見つめていたがやっとのことで恐怖の呪縛が解けすぐに我に返り急いでアレンとゴンゾウの倒れているところに駆け寄る。
ゴンゾウは地面に叩きつけられはしたが持ち前の打撃耐性と自己修復により何とかヨロヨロと立ち上げりアレンとニアのところへすり寄ってきた。
しかしアレンはぐったりとしており力なく倒れている。
アレンもゴンゾウ同様にウォーウルフの頭の高さから受け身も取れず落ちてしまい地面に叩きつけられていた。
倒れている場所に血溜まりができていてそれは今も広がっている。
アレンを抱き寄せたニア。
「どうしよう!!!頭から血がいっぱい出てる。息もしてない!!」
パニックで何をしていいかわからなくなる。魔力がなくヒールを唱えることができない。
もちろんゴンゾウにも魔力は残っておらずその力はない。
「落ち着いて。今自分にできることをするのよ。」
ニアはこんな時だからこそと自分を落ち着けた。
必ず何か方法はある。
そう言い聞かせ慌てながらもアレンの魔晶石から必ずあるはずとあるものを探した。
私の感が当たってるなら、アレンの事だから。
一つの可能性にニアは必死で魔晶石からあれを探した。
あそこはあれが豊富な場所だから必ず依頼量より多く採取してるはず。
そしてそれはすぐに見つかった。
「やっぱりあった!」
ニアは濃い緑色の草を握っていた。
これはアレンが冒険者になった初めのクエストで集めていた薬草だった。
しかしこの傷は魔物ならともかくアレンを治すには量が足りない。
ゴンゾウを治療するにも時間がかかりすぎる。
その薬草をニアはすぐに自分で食べる。
野臭い苦みがあったが今は全く気にならない。
それを飲み込みあることを待った。
数秒間制振を落ち着けて効果を待った。
「、、、、よし!!!少し戻った!!!」
薬草は微量ながら体の魔力を回復させる効果もある。
だがあまりに微量すぎてヒール一つ唱えるにも大量の薬草がいる。
どう考えても今の薬草の量では回復しきれないはず。
しかしこの薬草はダンジョン近くの野生生物も近寄らない場所で採取したもの。それはゴンゾウと知り合った話で知っていた。
だとしたらこの薬草は少なからずダンジョンから出た魔力を蓄え成長しているはず。
そしてニアのこの予想は当たっていた。
ほんのわずかな回復なので実用的ではないが今はこの効果を重宝した。
「お願い助かって、、、ヒール!!!」
たった1度のヒールならこの薬草からの魔力でも可能なはず。
手からあたたかな光が充満しアレンを包む。
全快とまではいかないが最低限、出血も止まり大きな傷口もふさがっていた。
しかしアレンの呼吸は戻らずピクリともしない。
「ウソ、、、間に合わなかった、、、」
ニアはアレンの胸に顔をうずめワンワンと泣いてしまった。
一番肝心な時に恐怖で怯え、役に立たなかった自分。
その結果が招いた結果だ。
自分が足を引っ張らなければどこかのタイミングで彼らは逃げ出すことができたかもしれない。
自分がいなければアレンは死ぬことはなかったかもしれない。
悔しくて情けなくて罪悪感で涙が止まらなかった。
しかし、、、、
「ニア、、ありがとう、、もう大丈夫。」
その声と共にポンと頭を撫でられたニア。
聞きたかった声だ。
その声の持ち主を見ることなくアレンの胸を借り泣くニア。
「よかった。ほんとによかった、、、」
かすれた声でそう言い続ける。
しばらくアレンとゴンゾウが動けるようになるまでずっと泣いていたニアだった。
【打撃耐性】のおかげだろうか?!!かろうじて生きている。
だが、かろうじてだ。もう動けそうにない。
ウォーウルフは先ほどの攻撃の後ヨロヨロとまた、ふらついているが殺気は幾分も落ちていない。
アレンはニアとゴンゾウに目をやり一つの覚悟を決める。
ウォーウルフはつたない足元でゆっくりとアレンたちのもとへ近づいてくる。
斬られた目からは血がしたたり落ちている。
多少苦戦したが戦力は根こそぎ刈り取った。
焦る必要はないとゆっくり、、
二人をウォーウルフから離すように運ぶアレン。
「ありがとな。ゴンゾウ。ニア。」
自分を冒険者にしてくれたのはこの二人だ。
こんな時だからこそ感謝があふれてくる。
「な、何する、気、なの?、、、」
恐怖からかうまく話せないニア。
「大丈夫。今度は俺が助ける番だ。安心して見ててくれよ。」
脅威が迫る中、アレンはゴンゾウが持って手放さなかった雷切を手にする。
絶望的なこの状況、だがニアはこの男に初めに感じた偉大な冒険者のにおいを再び感じていた。
どんな状況からも生還する強い生命力を感じた。
その背中を見ながら涙が出るのを抑えられなかった。
アレンのスキル【王の所有物】が発動する。
【王の所有物】
絶対の忠誠を与えた魔物のスキルを自らも使用できる。
ゴンゾウのスキル
【全武器,防具装備可能】
を発動し雷切を手になじませる。
ゴンゾウがなんのスキルを持っているのかは何となくだがわかった。
これはアレンの魔物使いとしての職業の力なのか?
続けて【王の所有物】
【黒魔法 Lv5】
アレンが雷切に黒魔法サンダーボルトを打込む。
バシュ!!バシッ!!
何度も何度も打ち込まれるサンダーボルト。
雷切は秘められた武器特性、【帯電】の能力によりおぞましい放電現象を見せ始める。
そして先ほどゴンゾウが使った時と同じように雷切の刀身が赤みを帯び始め、金切り音で鳴き始める。
ギリィィィァァァアアアアアアア!!!!!!!
その音に反応しウォーウルフは敵意をアレンに定める。
グオオオォォォォォァァアアアアアアア!!!!!
雷切の音に反応しけたたましく吠えるウォーウルフ。
バシュ!!!バシィィ!!!
かまわずサンダーボルトを打ち込んでいくアレン。
今や雷切の放電現象はダンジョンの壁や天井にまで達している。
その雷切を握っているアレンに目を疑ってしまうニア。
おぞましい金切り音に耳をふさぐ手に力が入る。
やっぱりアレンは、、、!!!
ニアは震え力が入らない足を引きづり自身の杖が転んでいるところへ向かう。
ウォーウルフの前では自分は足手まといでしかない。
何度心を折られても、自身が冒険者である限り立ち上げあるしかない。
今自分にできることをやらなければ。
アレンのただならぬ姿を見てそう思ったニアは必死に足を引きずり杖のところへ向かう。
一方アレンは雷切に今自分ができる最大限の魔力を送り込んだことを確認し剣を構える。
体には刀から跳ね返った魔力が容赦なくアレンを襲っている。
「避けたりするなよバカヤロウ!!!」
アレンの足元の土砂が騒ぎ出す。
雷切の放電はやむことがない。ゴンゾウのレベルまではこの技を使い切れていないことを感じる。
ゴンゾウの一撃にも耐えたウォーウルフだ。この1撃は果たして通用するのか。
それでも今はやるしかない。ここを超えて、みんなでまた冒険を続けるために。
最後にグッと沈み込んだアレンはスキル【王の所有物】を使用しゴンゾウからスキルを引き出す。
猛獣が獲物を狙うかの如く低く姿勢をとっているアレン。
あまりある可能性を乗せた進撃の1撃。
「縮地!!!!」
ボンッ!!!!
と空気が爆発したかのような音とともにアレンが消える。
物理的な速度を超えたこのスキルは目的地までの空間をゆがめ距離をなかったことにし移動するいわばテレポートのようなものだ。
しかしテレポートと全く異質な部分がある。
テレポートとは自らの構成物質を分解し別のところにコピーし再構築する頂上級の魔法術である。
しかし縮地とはこの距離をなかったことにする。という事が恐ろしいのである。
実際距離がなかったことになる事象を体験しているのは使用者だけで、物理的に不可能である距離の短縮は実際には目的地まで移動した事になっている。
この世は”世界”と呼ばれる物理演算システムが物事の事象を決定つけている。
実際起こっているが起こせるはずがない。
そう言った矛盾を収束させるため”世界”が使用者に速度をつけ無理やりに事象をこじつけている。
このスキルは本当は目的地までの到達時間は0秒になる。
しかしそれはさすがに更なる物理演算のバグを生むことになる。
ゆえに使用者の縮地の練度によって付加される速度が変わっていき到達時間もラグが出てくる。
そしてその間に付加された速度。
使用距離が長くないと言えどその人間離れした速度での1撃がおぞましいのは言うまでもない
もちろんそんなおぞましい威力が”世界”に修正されないはずはない。
だが修正しても有り余る力、冒険者が”世界”の演算を逆手に取り発現させたスキル。
いわばバグのようなこのスキルではあるがアレンにその感覚を理解していたのかと言わればもちろんしていなかったというのが正解である。
アレンは自身のスキルによって強制的にスキルを使えるようにしている。
スキルの力によって使えるように動かされている。
もちろんゴンゾウもすべては理解していないが感覚という範囲ではある程度大体こんな感じというくらいでは認識できている。
だから使用できるという事でもあるが。
とにかくその差、ゴンゾウとアレンの理解の差によるスキルの練度には大きく差があり、先ほどから何度も【縮地】を見せられているウォーウルフにとっては
すでに捕らえられないスピードではなかった。
目で確実にアレンを捕らえたウォーウルフの破壊的な噛みつきがアレンを襲う。
タイミングは寸分狂いもない。
しかしその時、ウォーウルフの顔が横殴りでもされたように吹き飛ぶ。
すぐに何をされたか気が付いた。
涙と恐怖でぐちゃぐちゃになった顔をしっかりとウォーウルフに向け地面をはいずりながら震える手で杖を持ちウォーウルフの横顔にウインドバースト叩きこんだのだ。
ウォーウルフはすぐにニアに殺意を向けた。
ニアはその巨大な殺意に当てられ息もできなくなった。
しかしその一瞬のやり取りは致命的だった。
アレンがウォーウルフのこめかみに体ごと突進し雷切を突き立てるまでに必要な時間を十分すぎるほど確保させてしまったからだ。
激しく放電する雷切。
その刃がウォーウルフに到達する。
深く突き刺さり確かな手ごたえを感じるアレン。
ぐぉっぉっぉおおおお!!!!!!!!!
暴れるウォーウルフ。雷切にしがみつきながら飛ばされないように耐える。
しかしすぐに雷切に蓄積されている電撃がウォーウルフの体内を駆け走る。
グギャギャギャギャアアアアアア!!!!!!!
声にならないウォーウルフの悲鳴がダンジョンに響く。
ヨロヨロと足元をが定まらないウォーウルフだがまだ倒れない。
頭を振り回し暴れ回る。
振り落とされては終わりだ。必死にこらえるアレン。
もう一度手に魔力を込める。
「これでもくらえ!!!!サンダーボルト!!!!」
残り僅かな魔力のアレンだが渾身の力でサンダーボルトを雷切に叩きこむ。
雷切を伝ってウォーウルフの体内に電撃が流れる。
グギャァァァアアアオオオオオオ!!!!!!
苦しみもだえるウォーウルフだが、、、まだ倒れない。
頭を振りながらダンジョンの壁に頭を叩きつける。
「ぐほお!!!」
アレンは壁とウォーウルフに挟み込まれ体中の骨がバラバラになったかのような感覚を覚える。
吐血し霞む意識でアレンは、もう少しのはずなんだ。もう少し。
必ず倒す!必ずお前らを救う!!!
その思いが体を動かす。
そしてアレンの右腕に再び魔力が集まりだす。
そして怒涛の連続攻撃。
「サンダーボルト!!サンダーボルト!!サンダーボルト!!サンダーボルト!!!!」
残りの魔力を振り絞るような連続詠唱。
これにはたまらずウォーウルフも片膝を折る。
だがまだ倒しきるには至らない。
アレンは痺れる体に鞭を打ち、最後の詠唱を唱える。
「これが最後だ!!ライトニングボルトォォォォ!!!!」
今までのサンダーボルトの数倍の力の電撃がウォーウルフを襲う。
グラグラとゆったりした動きで横に倒れこもうとするウォーウルフ。
しかしとっさに足を出し倒れることを拒む。
「化け物かよ、、、、」
アレンはすべての魔力を絞り切り生命力まで搾り取った最後の一撃を放った後、
雷切から手が離れウォーウルフの頭から転げ落ちる。
ウォーウルフは転げ落ちたアレンが自分の口の前に落ちてきたのを確認すると同時に、アレンを大きな口へ誘い込んだ。
その時、恐るべきスピードでウォーウルフのこめかみに飛び込む水色の影があった。
【自動修復】により最低限動けるようになったゴンゾウだった。
【縮地】を使い目にも止まらないスピードでウォーウルフのこめかみにとりつく。
もう動けないはずだった。
死んでもおかしくないような1撃を食らいもう1センチだって体は動かなかった。
アレンが命を懸けているときに自分が動けない現状が情けなかった。
アレンが初めの森で自分を救ってくれたことをゴンゾウは1日たりとも忘れたことはなかった。
すべてはアレンのために!!この命尽きようとも!!
そんな時ゴンゾウの思いに答えるがごとくもう一つのスキルが発動する。
【絶対の忠誠】
マスターへの忠誠が高いほどステータスが飛躍的に上昇する。
無限に上昇するゴンゾウのステータス。
あふれる力を感じる間もなく飛び出していた。
「キュピィィィィ!!!!!」
こめかみにとりついたゴンゾウは渾身の力を込め、先ほどのアレンとは比べ物にならないほどの大きなライトニングボルトを雷切に向けて叩き落す。
雷切から伝い、体内に直接流れ込む超電撃。あまりの威力に全身の毛が逆立つウォーウルフ。
電撃が走り抜け終わり口の中から ぶしゅぅぅぅ と焼けた肉のにおいを発しながら
今度こそ地面に ドシン!!! と地響きをたて声もなく体から大きく横倒しになった。
ゴンゾウも魔力を使い切り力なくウォーウルフと共に地面に叩きつけられた。
ニアは倒れたウォーウルフをしばらく見つめていたがやっとのことで恐怖の呪縛が解けすぐに我に返り急いでアレンとゴンゾウの倒れているところに駆け寄る。
ゴンゾウは地面に叩きつけられはしたが持ち前の打撃耐性と自己修復により何とかヨロヨロと立ち上げりアレンとニアのところへすり寄ってきた。
しかしアレンはぐったりとしており力なく倒れている。
アレンもゴンゾウ同様にウォーウルフの頭の高さから受け身も取れず落ちてしまい地面に叩きつけられていた。
倒れている場所に血溜まりができていてそれは今も広がっている。
アレンを抱き寄せたニア。
「どうしよう!!!頭から血がいっぱい出てる。息もしてない!!」
パニックで何をしていいかわからなくなる。魔力がなくヒールを唱えることができない。
もちろんゴンゾウにも魔力は残っておらずその力はない。
「落ち着いて。今自分にできることをするのよ。」
ニアはこんな時だからこそと自分を落ち着けた。
必ず何か方法はある。
そう言い聞かせ慌てながらもアレンの魔晶石から必ずあるはずとあるものを探した。
私の感が当たってるなら、アレンの事だから。
一つの可能性にニアは必死で魔晶石からあれを探した。
あそこはあれが豊富な場所だから必ず依頼量より多く採取してるはず。
そしてそれはすぐに見つかった。
「やっぱりあった!」
ニアは濃い緑色の草を握っていた。
これはアレンが冒険者になった初めのクエストで集めていた薬草だった。
しかしこの傷は魔物ならともかくアレンを治すには量が足りない。
ゴンゾウを治療するにも時間がかかりすぎる。
その薬草をニアはすぐに自分で食べる。
野臭い苦みがあったが今は全く気にならない。
それを飲み込みあることを待った。
数秒間制振を落ち着けて効果を待った。
「、、、、よし!!!少し戻った!!!」
薬草は微量ながら体の魔力を回復させる効果もある。
だがあまりに微量すぎてヒール一つ唱えるにも大量の薬草がいる。
どう考えても今の薬草の量では回復しきれないはず。
しかしこの薬草はダンジョン近くの野生生物も近寄らない場所で採取したもの。それはゴンゾウと知り合った話で知っていた。
だとしたらこの薬草は少なからずダンジョンから出た魔力を蓄え成長しているはず。
そしてニアのこの予想は当たっていた。
ほんのわずかな回復なので実用的ではないが今はこの効果を重宝した。
「お願い助かって、、、ヒール!!!」
たった1度のヒールならこの薬草からの魔力でも可能なはず。
手からあたたかな光が充満しアレンを包む。
全快とまではいかないが最低限、出血も止まり大きな傷口もふさがっていた。
しかしアレンの呼吸は戻らずピクリともしない。
「ウソ、、、間に合わなかった、、、」
ニアはアレンの胸に顔をうずめワンワンと泣いてしまった。
一番肝心な時に恐怖で怯え、役に立たなかった自分。
その結果が招いた結果だ。
自分が足を引っ張らなければどこかのタイミングで彼らは逃げ出すことができたかもしれない。
自分がいなければアレンは死ぬことはなかったかもしれない。
悔しくて情けなくて罪悪感で涙が止まらなかった。
しかし、、、、
「ニア、、ありがとう、、もう大丈夫。」
その声と共にポンと頭を撫でられたニア。
聞きたかった声だ。
その声の持ち主を見ることなくアレンの胸を借り泣くニア。
「よかった。ほんとによかった、、、」
かすれた声でそう言い続ける。
しばらくアレンとゴンゾウが動けるようになるまでずっと泣いていたニアだった。
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隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
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