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84話
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コンコン。
「リリー様、お時間になりました。移動をお願いします」
扉の向こうからハリスが声をかけてきた。そうか、もうそんな時間か・・・。
「・・・はい、今行きますわ」
今更、おじけずいてもしょうがないわね!女は度胸よ!!
私は扉を勢いよく開け、重さ約十キロのドレスを軽やかになびかせ出陣した。
「・・・リリー様、お顔が戦さ場に行く顔になっているので笑顔でお願いします。今から行くのは教会ですよ?」
「はっ?!緊張でつい顔が強張っていたわ!・・・でも、しょうがないじゃない?人生初の結婚式よ?緊張するのよ」
「リリー様、大丈夫です。教会でご主人様も緊張したお顔でお待ちになっております。なのでリリー様、笑顔で!気楽に向かって下さいませ」
そう言われても緊張で笑顔が不自然な感じになってしまう。私は教会の入り口に着くまで笑顔の練習をしながら向かった。
とうとう着いてしまった。この扉の向こうには沢山の招待客とディアス様が待っているのね・・・。
「ふぅ・・・いよいよね」
「では、合図をしたらこちらから入場をお願いいたします」
メイド達が最後にベールをかけてくれて、準備完了だ。
キィィ・・・と、重い扉が開き祝福の音が聞こえる。合図があり私は身体強化を施し、扉をくぐった。
コツ、コツとゆっくり歩いて祭壇の一番上で待っているディアス様の元へ行く。
ディアス様も緊張しているのか顔が硬い。私は何だか安心して、ディアス様に微笑んだ。
私の顔を見てディアス様も緊張が解れたのか微笑み返してくれた。
「リリー、とても綺麗だ。こんなに綺麗なリリーを皆に見せているのは嫉妬してしまいそうだ」
私がディアス様の横に着くとこちらを見ながらディアス様が言った。
「ふふ、ディアス様もとてもかっこいいですわ」
ディアス様は漆黒の軍服みたいな服を着てマントを羽織っていた。凛々しくてドキドキしてしまうほどかっこいい・・・。
私達は教壇にいる神父様に向き直り、二人で婚姻の誓いをしあった・・・。
二人で病める時も、健やかなる時もお互いに尊重し合い、死が二人を分かつ時まで・・・愛しあいます。
「ふふ、リリーちゃんとっても綺麗だったわよー!」
「ありがとうございます、お義母様・・・」
無事に教会での誓いも終わり、今は私とディアス様の祝賀パーティーの真っ最中です。
一通り挨拶も終わって何故かお義母様に捕まり、ほんわかと話しかけられていた。
「うふふ、本当にディアスったらこんな素敵な番いを見つけるなんて流石よね~。良い、リリーちゃん?あの子が強引に迫って来たら逃げるのよ!龍人の体力と力は人族よりも多いからね。先に抜いて体力を削いでおくと良いわよ!」
「えっと、お義母様?何の話をしていますの・・・?」
前半は良いけど後半はまさか夜伽の話しかしら?私が聞き返すとキョトンとした顔をした。
「何って、初夜とその後の夜伽について助言をしているのよ?」
「・・・お義母様、せめて人気の無いところでお願いしますわ。周りの方がドン引きしてます」
前女王が現女王に夜伽の助言をするなんて誰も思い至らなかったから周りを見ると顔を赤らめた紳士淑女が顔を背けていた。
「そうですよ、母上。そんな事を言われなくても俺はリリーを甘やかす予定なのですから無理強いなんかしませんよ」
「あら、ディアス様もうお話しは終わりましたの?」
後ろからディアス様が来て話しに加わった。それにしても、甘やかすって怖いわね・・・たぶん、ドロドロに甘やかされるのだろうな。
「ああ、とりあえず終わってリリーを探しに来た」
「お疲れさまですわ」
ディアス様がニコリと笑い、私の腰を抱き寄せお義母様に言った。
「母上、リリーを返していただきますよ。さ、行こう」
「うふふ、ディアスったら私と話していただけで嫉妬しちゃって可愛んだから、もう!分かったわ、私は旦那様の所に戻るからどうぞ行ってらっしゃい」
お義母様はそう言うと私の頭をポンポンと撫でて去って行った。
「ふぅ、すまんな。母上は見た目に騙されるくらい強引で俺でも面倒な時があるんだ。少し、外の空気を吸いに行こうか?」
ディアス様はため息を一つついて言った。お義母様、赤裸々過ぎて私でも恥ずかしくなりましたものね。
「ええ、ご一緒いたしますわ」
ディアス様が腕を出し、エスコートしてくれた。私はその腕を取り歩き始め、二人で外に空気を吸いに向かった。
「リリー様、お時間になりました。移動をお願いします」
扉の向こうからハリスが声をかけてきた。そうか、もうそんな時間か・・・。
「・・・はい、今行きますわ」
今更、おじけずいてもしょうがないわね!女は度胸よ!!
私は扉を勢いよく開け、重さ約十キロのドレスを軽やかになびかせ出陣した。
「・・・リリー様、お顔が戦さ場に行く顔になっているので笑顔でお願いします。今から行くのは教会ですよ?」
「はっ?!緊張でつい顔が強張っていたわ!・・・でも、しょうがないじゃない?人生初の結婚式よ?緊張するのよ」
「リリー様、大丈夫です。教会でご主人様も緊張したお顔でお待ちになっております。なのでリリー様、笑顔で!気楽に向かって下さいませ」
そう言われても緊張で笑顔が不自然な感じになってしまう。私は教会の入り口に着くまで笑顔の練習をしながら向かった。
とうとう着いてしまった。この扉の向こうには沢山の招待客とディアス様が待っているのね・・・。
「ふぅ・・・いよいよね」
「では、合図をしたらこちらから入場をお願いいたします」
メイド達が最後にベールをかけてくれて、準備完了だ。
キィィ・・・と、重い扉が開き祝福の音が聞こえる。合図があり私は身体強化を施し、扉をくぐった。
コツ、コツとゆっくり歩いて祭壇の一番上で待っているディアス様の元へ行く。
ディアス様も緊張しているのか顔が硬い。私は何だか安心して、ディアス様に微笑んだ。
私の顔を見てディアス様も緊張が解れたのか微笑み返してくれた。
「リリー、とても綺麗だ。こんなに綺麗なリリーを皆に見せているのは嫉妬してしまいそうだ」
私がディアス様の横に着くとこちらを見ながらディアス様が言った。
「ふふ、ディアス様もとてもかっこいいですわ」
ディアス様は漆黒の軍服みたいな服を着てマントを羽織っていた。凛々しくてドキドキしてしまうほどかっこいい・・・。
私達は教壇にいる神父様に向き直り、二人で婚姻の誓いをしあった・・・。
二人で病める時も、健やかなる時もお互いに尊重し合い、死が二人を分かつ時まで・・・愛しあいます。
「ふふ、リリーちゃんとっても綺麗だったわよー!」
「ありがとうございます、お義母様・・・」
無事に教会での誓いも終わり、今は私とディアス様の祝賀パーティーの真っ最中です。
一通り挨拶も終わって何故かお義母様に捕まり、ほんわかと話しかけられていた。
「うふふ、本当にディアスったらこんな素敵な番いを見つけるなんて流石よね~。良い、リリーちゃん?あの子が強引に迫って来たら逃げるのよ!龍人の体力と力は人族よりも多いからね。先に抜いて体力を削いでおくと良いわよ!」
「えっと、お義母様?何の話をしていますの・・・?」
前半は良いけど後半はまさか夜伽の話しかしら?私が聞き返すとキョトンとした顔をした。
「何って、初夜とその後の夜伽について助言をしているのよ?」
「・・・お義母様、せめて人気の無いところでお願いしますわ。周りの方がドン引きしてます」
前女王が現女王に夜伽の助言をするなんて誰も思い至らなかったから周りを見ると顔を赤らめた紳士淑女が顔を背けていた。
「そうですよ、母上。そんな事を言われなくても俺はリリーを甘やかす予定なのですから無理強いなんかしませんよ」
「あら、ディアス様もうお話しは終わりましたの?」
後ろからディアス様が来て話しに加わった。それにしても、甘やかすって怖いわね・・・たぶん、ドロドロに甘やかされるのだろうな。
「ああ、とりあえず終わってリリーを探しに来た」
「お疲れさまですわ」
ディアス様がニコリと笑い、私の腰を抱き寄せお義母様に言った。
「母上、リリーを返していただきますよ。さ、行こう」
「うふふ、ディアスったら私と話していただけで嫉妬しちゃって可愛んだから、もう!分かったわ、私は旦那様の所に戻るからどうぞ行ってらっしゃい」
お義母様はそう言うと私の頭をポンポンと撫でて去って行った。
「ふぅ、すまんな。母上は見た目に騙されるくらい強引で俺でも面倒な時があるんだ。少し、外の空気を吸いに行こうか?」
ディアス様はため息を一つついて言った。お義母様、赤裸々過ぎて私でも恥ずかしくなりましたものね。
「ええ、ご一緒いたしますわ」
ディアス様が腕を出し、エスコートしてくれた。私はその腕を取り歩き始め、二人で外に空気を吸いに向かった。
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