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70話

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モニターを観ながら怪我をしている人を救護場所に、ディアス様の飛ばした鳥で誘導していたらあっという間に朝になっていた。弱いモンスターが先に倒されていき、どんどん強めのモンスターばかり残っていたから死人は出ていないが、大怪我をする人が出て来てしまった。

「うぅ・・・分かっていたけれど徹夜ですわ。次に開催するときは一日で終わるようにしましょう!」

「ふっ、リリーはまだまだお子様だな。だがそんな所も可愛いくて好きだぞ?ふむ、昼まで後、六時間か・・・」

徹夜慣れしているディアス様には敵いませんわ・・・。どうせまだディアス様からしたらお子様よね。あまり気にしていなかったがディアス様の歳は二十二歳、私が十六歳の六歳差だ。

「怪我をしたりモンスターが強すぎて倒せなくなったりして、途中で断念したグループもいるみたいですしモニターを観るのが楽になりましたわね」

最初六百人くらいだったのが半分以下になっているから見落としも無くて順調だ。

「そうだな。今回のイベントは質より量だからそろそろ苦しいだろうな・・・リリー、義兄上が危険だ!」

モニターを観ながらディアス様が険しい顔で危険を知らせた。

「どこですの!?・・・チッ、新しいドラゴンが頂上に住み着いていたのね。ディアス様、私が行って来ますわ!ここでサポートをお願いします」

ガタリと立ち上がり私は身につけていたドレスを脱ぎ捨てた。念のため着ていて良かったわ。ムスカお手製のボンテージ・・・相変わらずの着心地の良さ、最高ね。

「リリー・・・急ぎなのは分かるがドレスをそんな風に脱ぎ捨てたら皆が驚くぞ?」

・・・しまった!?つい、勢いで脱いでしまったわ!

「すみませんでしたわ。急を要するので脱いでしまいましたの・・・ディアス様、私をお兄様の元に飛ばしていただけませんか?」

「ああ、くれぐれも怪我をしないように気をつけるのだぞ?」

ディアス様も立ち上がり私を抱きしめ鼓舞してくれた。

「はい。では、お願いします」

私は少し離れ転移魔法を待った。

「いってらっしゃい、リリー」

ディアス様が見送り、私はお兄様の元へ転移した。



ディアス様に転移させてもらい、最初に目にした光景はドラゴンの頭だった。

「まさかの上空転移ですの!?不意打ちするにはもってこいですけど・・・はぁ、行きますわよ!!」

最初から全力で一直線にドラゴンへ急降下し、鞭に風を纏わせカマイタチを発生させる。

「はあぁぁーーっ!!」

私はドラゴンに向かってカマイタチを乱れ打ちした。皮膚が硬いから細かい傷にしかならなかったがダメージは入った!

「お兄様っ!無事ですか?」

地上に無事に着地し、お兄様の元へ駆け寄ると攻撃をもろに受けた後なのか口から血を流して倒れていた。

「・・・っ、リリー?おまえ、なんで来たんだ。逃げろ・・・」

「モニターでお兄様がドラゴンと戦っていて、危ないとディアス様が教えて下さったのです。お兄様は戦いが得意では無いのですから無理をなさらないで下さい!・・・後は、私が仕留めます。お兄様はそこで休んでいて下さい」

「クッ、妹がどんどん男前に・・・済まないが頼んだ」

お兄様が申し訳なさそうに言ってきた。私は頷きドラゴンへ目を向ける。ドラゴンは私を獲物を見る目でみていた。

「さぁ、お兄様に怪我をさせた分たっぷりとお仕置きしてあげるから覚悟しなさい!」

「グオォーッ!!」

私とドラゴンはお互い間合いを取りつつ場所を変えた。さっきの場所は少し足場が悪かったしね・・・ここならまだ動きやすい。

スパンッと鞭を鳴らし集中した。私は鞭に魔力を込め強度を上げ、ドラゴンへ攻め始めた。

「グオォ!・・・ガァッ!?」

鞭を頑丈にした事で打撃率も上がる、さらに風も纏っているから切り傷も深くなった。私が一振りすれば無数のカマイタチが飛びドラゴンを血だらけにしていった。

「オーホッホッホ!さぁ、これで終わりよ!!」

血だらけのドラゴンへとどめを刺すため私はドラゴンの真下、丁度首の下に滑り込み鞭を振り上げた!

「グガッ、グオォーッ!!」


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